公開:2023.3.8 更新:2025.12.15
公開:2023.3.8
医療事務資格は独学で合格できる?試験内容から学習方法まで徹底解説
医療機関で働く資格のひとつ「医療事務資格」は、医師や看護師、薬剤師のような国家資格ではなく民間資格です。
医療事務資格には複数の種類があり、いずれも受験資格に制限がないのが特徴です。独学で学んで取得することも可能ですが、医療事務資格の取得を検討するうえで「どの医療事務資格を取得するのか」が重要なポイントとなります。
このページでは、医療事務資格の種類と難易度、そして、独学で取得を目指す場合の学習方法などをご紹介します。本記事が、独学で医療事務資格の取得を目指す方々の参考になれば幸いです。
目次
医療事務資格は独学で合格できる?
医療事務資格の試験を受けるにあたって、大学や専門学校卒といった学歴や単位認定は必要ありません。誰でも独学で取得できる資格です。
医療事務資格は民間資格で、様々な医療事務資格があります。それぞれ、難易度や試験の内容、そして、受験資格などが異なります。
どの医療事務資格も独学で取得を目指せますが、学習の方法や試験の内容などが大きく異なります。そのため、まずは「どの医療事務資格を取得するのか」を決めることが資格取得の第一歩と言っても良いでしょう。
医療事務資格の5つの種類と違い
ここでは、医療事務を比較し資格で代表的な5つの試験をご紹介します。試験の内容や合格の基準などがそれぞれ異なるため、しっかりと確認し、比較検討してください。
医療事務検定試験
医療事務検定試験は、日本医療事務協会が主催している医療事務資格です。未経験の方や、医療事務資格を初めて受験する方に人気が高い資格です。
合格率は9割程度と非常に高いため、医療事務に関する基礎的な知識を問われる問題が多く、挑戦しやすいのが特徴です。難易度も高くないため、短期間の独学で合格を目指しやすい医療事務資格と言えます。
| 試験難易度 | 合格率も高く難易度は低め |
| 主催・運営元 | 日本医療事務協会 |
| 受験料 | 7,700円(消費税込) |
| 受験資格 | 特になし
(日本医療事務協会が認定する医療事務講座を修了した者 受験申請のあった高校・専門学校・短期大学・大学等 受験申請のあった一般受験申込み者) |
| 実施時期 | 会場受験(年6回) 在宅受験(年12回) |
| 試験時間 | 2時間 |
| 合格率 | 90%前後 |
| 合格基準 | 問題の総得点の70%程度を基準にして、問題の難易度で補正 |
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出典元:日本医療事務教会
H3:医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)
医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)は、医療事務資格の中でも歴史が長い資格です。受験する人も多く、合格率は6割程度となっています。
医療事務全般に関する広い知識と能力が問われる資格で、受験時間も長めです。また、在宅受験が可能です。そして、試験は年に12回実施されているため、自分のペースで学習して受験しやすい医療事務資格です。
| 試験難易度 | 合格率6割で比較的難易度低め |
| 主催・運営元 | 一般財団法人 日本医療教育財団 |
| 受験料 | 7,700円(税込) |
| 受験資格 | なし |
| 実施時期 | 在宅受験(年12回)
医科 年12回(毎月) |
| 試験時間 | 実技I
患者接遇/筆記(記述式)/2問/50分 学科 医療事務知識/筆記(択一式)/25問/60分 実技II 診療報酬請求事務/診療報酬明細書点検/4問/70分 |
| 合格率 | 60~70% |
| 合格基準 | 学科試験および実技試験I・IIのすべての得点率が70% |
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出典元:一般財団法人 日本医療教育財団
医療事務管理士®技能認定試験
医療事務管理士®技能認定試験は、技能認定振興協会 (JSMA) が実施する民間資格で、医療機関で働く際に必要な基礎知識や技術が問われる試験です。
受験方法は、在宅試験とインターネット受験の2種類があり、学科試験と実技試験を通じてスキルが判断されます。
合格率は70%〜80%と高いため、比較的取得しやすい試験と言えます。
| 試験難易度 | 合格率7~8割で難易度低め |
| 主催・運営元 | 技能認定振興協会 (JSMA) |
| 受験料 | 7,500円(税込)(学科・実技)
5,400円(税込)(学科免除あり・実技免除あり) |
| 受験資格 | なし |
| 実施時期 | 在宅受験(年12回)
インターネット試験(好きな時に受験可能) |
| 試験時間 | 実技120分、学科60分 |
| 合格率 | 70~80% |
| 合格基準 | 在宅試験
実技試験:点検・各作成問題ごとに約60%以上の得点をし、且つ3問の合計で約80%以上 学科試験:約80%以上 インターネット受験 学科試験および実技試験の総合計が70%以上の得点 |
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出典元:JSMA 技能認定振興協会
診療報酬請求事務能力検定試験
診療報酬請求事務能力検定試験は、厚生労働省が認可する団体の一つ公益財団法人 日本医療保険事務協会が主催する医療事務資格です。
医療事務全般の広い知識が必要とされ、実技試験も実施されるため、難易度はかなり高く、合格率も低めです。
医療事務資格の最難関と言われる資格であり、初心者向けの資格ではありません。すでに他の資格を持っている方や、医療事務現場での経験がある方が、さらなるスキルアップを目指して取得する資格とされています。
| 試験難易度 | 合格率も低く最難関 |
| 主催・運営元 | 公益財団法人 日本医療保険事務協会 |
| 受験料 | 9,000円(税込) |
| 受験資格 | 特になし |
| 実施時期 | 年2回(7月、12月)、日曜日または祝日 |
| 試験時間 | 3時間 |
| 合格率 | 25~35% |
| 合格基準 | 学科100点満点中60点以上かつ実技100点満点中85点以上 |
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医療事務認定実務者®試験
医療事務認定実務者®試験は全国医療福祉教育協会が主催する医療事務資格試験です。
医療事務の基本やレセプト作成など、業務に必要な基礎知識が問われ、医療事務の実務における基本習熟度を判断するための試験です。
年に12回開催され、会場受験と在宅受験から選択することができます。合格基準は6割以上で、合格率は60~80%と高めです。
| 試験難易度 | 合格率6~8割で難易度低め |
| 主催・運営元 | 全国医療福祉教育協会 |
| 受験料 | 5,000円(税込)
※団体受験(認定機関の通信・通学受講生の方 ):4,500円(税込) |
| 受験資格 | 特になし |
| 実施時期 | 年12回(毎月) |
| 試験時間 | 90分 |
| 合格率 | 60~80% |
| 合格基準 | 原則として、学科、実技それぞれ正答率6割以上を合格
※問題の難易度等により変動する場合あり |
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医療事務資格を取得するまでの流れ
医療事務資格を取得するまでの具体的な流れについて紹介します。
①まずは試験の資料や申込書を取り寄せる
試験ごとに異なりますが、公式サイトからのダウンロードや、郵送で資料を取り寄せることができます。
②受験料を支払い、申込書を提出する
受験料を支払った後、受験申込書に必要事項を記入し、提出するのが一般的です。申し込みが受理されると、後日、受験票が送付されます。
③試験を受験する
受験方法は、会場試験、在宅試験、インターネット試験など、資格によって異なります。自分が受験する試験の実施方法を事前にしっかりと確認しておきましょう。
④合否判定
試験終了後、一定の期間を経て合否が通知されます。無事合格すると合格証書が交付されますので、なくさないよう大切に保管しておきましょう。
医療事務資格の試験内容と傾向
医療事務資格は、一般的に学科試験と実技試験で構成されています。
それぞれの出題内容や傾向について説明します。
学科問題の傾向
学科試験では、医療事務における基礎的な知識や専門用語が問われます。
最も出題頻度が高いのは医療保険制度に関する分野で、制度の仕組み、公費負担医療、医療費の算出方法などが出題されます。
その他、医療法規や用語に関する問題も多く、医療法などの法律や医療に関する専門用語など、正確な暗記が試される分野もあります。
さらに、実技試験の土台となる診療報酬点数表に関する問題も出題されます。点数表の見方や算定ルールといった、実技でも必要なスキルが問われることがあります。
実技問題の傾向
実技試験では、実際に診療報酬明細書(レセプト)を作成する能力が問われます。カルテの内奥に基づいて診療報酬点数を算定し、明細書に書き出す作業が中心となります。いかに早く、かつ正確にレセプトを完成させるかが試されるため、時間内に終えるための練習が必要です。
また、資格の種類によっては、受付や会計などの医療機関の窓口業務における対応スキル(接遇やコミュニケーション能力)が問われることもあります。
医療事務の資格試験に合格するには独学と通学、どちらがいい?
医療事務の資格を取得する場合に「独学」と「通学」のどちらがいいのか悩まれる方も多くいらっしゃいます。独学でも取得可能な資格ではありますが、もちろん、学校や通信講座を利用して学ぶ方法も選択できます。
独学で学ぶ場合と、誰かに教えてもらいながら学ぶ方法のどちらが適しているかは、人それぞれです。ひとりでコツコツと学習するほうが集中できる人にとっては独学が良いでしょう。一方、誰かに教えてもらう方が頭に入りやすいと感じる場合は、教室などに通って学習する方が効果的かもしれません。
医療事務を独学で学習するメリット3つ
医療事務の資格取得を独学で学習するメリットをみてみましょう。
コストを抑えられる
独学で学習をする場合、教室などに通う方法と比べてコストを低く抑えられます。もちろん、独学の場合でもテキスト代などは必要となりますが、コストは必要最低限で済みます。
また、教室に通う場合は指定されたテキストで学習しますが、独学であれば自分でテキストを選べるのもメリットです。できるだけコストをかけずに資格取得をしたいのであれば、独学が適していると言えます。。
自分のペースで学習することができる
独学の場合、自分のペースで好きなときに学習できます。教室に通う場合は、教室のスケジュールに合わせて学習しますが、独学であれば時間があるときにまとめて学習時間を確保することもできます。
自分が分からないところや苦手なところを納得できるまで繰り返し学習できるため、理解が不十分なまま先に進むといったことがありません。自分のペースで学習を進められるのは、集団で学習する教室にはないメリットといえます。
仕事との両立をしやすい
お仕事をしながら医療事務資格を学習する場合は、教室より独学のほうが両立しやすいでしょう。独学であればお休みの日など、自分で好きなタイミングで学習時間を確保できます。
決まった時間に学習しなければならないというわけではないため、お仕事と両立させたいという方にとっては大きなメリットです。自分で計画的に学習スケジュールを立てて実行する必要はありますが、教室で学習するより自由度が高く、仕事の状況に合わせて調整できます。
医療事務を独学で学習するデメリット
医療事務を独学で学習するメリットをご紹介しましたが、独学にはデメリットもあります。
モチベーションの維持が難しい
独学の場合、基本的にひとりでコツコツと学習をすることになるため、モチベーションの維持が難しいといった側面があります。教室であれば、合格という同じ目標を持った仲間や、講師からのサポートを受けることができます。
独学の場合は、ひとりで知識と理解を積み上げていくため、学習意欲やモチベーションが失われることも少なくありません。いかにして自分の学習に対するモチベーションを維持するかが、独学の大きな課題となります。合格後の自分をしっかりイメージするなどして、モチベーションの維持に努めるようにしましょう。
分からない点をすぐに質問できない
医療事務資格の学習を進めていて、すべての問題をすんなり理解できるということはないでしょう。分からないところがあるのは当然ですが、独学の場合、理解しづらい箇所があってもすぐに質問できる相手がいません。
分からないところを放置して先に進んでしまうのが、いいことではないのは言うまでもありません。ですが、質問する人がいなかったり、すぐに解決できなかったりすると、そのまま先に進んでしまうこともあります。教室のようにすぐに疑問を解消できないのは、独学の大きなデメリットです。
スケジュールの管理が難しい
医療事務資格の学習は、数日や数週間などの短期で終わるものではありません。総学習時間は合格を目指す資格によっても異なりますが、数ヶ月単位でのスケジュール管理が必要です。試験日までに合格水準を満たす理解を得る必要があります。
試験日を見据えた長期の学習スケジュールを立て、それを日々実行しなければなりません。自分でスケジュールを立てられる自由度は独学のメリットでもありますが、その反面、スケジュール管理の難しさもあります。
医療事務資格を独学で取得するためのポイント
医療事務資格を独学で取得するための学習のポイントは4つあります。ひとつずつ解説します。
まずは医療保険制度の仕組みから理解を深める
医療事務資格の学習を始めるにあたって、最も優先すべきは医療保険制度の仕組みの理解です。診療報酬の算定やレセプト作成は、すべてこの制度の上に成り立っています。
国民皆保険制度や、保険者と被保険者の関係、公費負担医療制度、給付割合など、基本的なルールをしっかりと把握しましょう。
この土台となる部分を理解できていないと、その後の診療報酬点数表の読み方やレセプト作成がすべて手探りになってしまいます。制度の全体像を捉えることで、以降の学習内容がスムーズに頭に入ってくるようになります。
点数表を使いこなせるようにする
医療事務資格の試験では、診療報酬点数表などの資料の持ち込みが可能なケースが多くなっています。点数表は試験中に見ながら回答できるため、暗記する必要はありません。試験でスムーズに問題を解くために「点数表を使いこなせるように」準備しておくのが大切です。
点数表を上手く使いこなせれば、早く正確に問題を解くことができます。試験時間は限られているため、知識の積み重ねだけでなく、点数表の扱いへの慣れといった要素も重要となります。普段から点数表を使った問題を解いて慣れておけば、試験当日の緊張感のある状況下でも、スムーズに解答を進めることができるでしょう。
同じ問題も繰り返し解く
医療事務資格の学習の進め方の基本は、他の資格試験と同様です。まず、テキストを読み込んで全体をしっかりと理解することです。ある程度、理解が進んだところで過去問などの練習問題を解いてみましょう。実際に問題を解いてみると、理解できている部分とまだまだ理解が足りない部分が明確になります。
その後、練習問題を何度も解いて繰り返し学習することで、知識をより確かなものにしましょう。「テキストを読んで理解し、その後に練習問題を解いて定着を図る」というルーティーンを何度も繰り返して学習を進めるのがオススメです。
診療報酬明細書(レセプト)作成の練習をする
医療事務実務の実技試験でも問われる、最も重要なスキルが診療報酬明細書(レセプト)の作成です。点数表の理解が進んだら、すぐにレセプト作成の練習に移りましょう。
レセプト作成は、カルテの内容を正確に読み取り、診療の項目一つひとつに対して適切な点数を算定し、記載ルールに従って書類を完成させるという一連の作業です。
試験時間は限られているため、時間配分を意識した練習が非常に重要です。
過去問や問題集を活用し、点数表を引くスピード、算定の正確さ、記載ルールの順守を意識しながら、何度も繰り返し練習を行いましょう。慣れてくれば、点数表のどこを見れば良いかという検索能力が自然と身についてきます。
まとめ
医療事務資格は独学でも取得を目指すことができる資格です。
医療事務資格には複数の種類があり、初心者でも挑戦しやすい基本的な知識を問う資格から、合格率が3割程度の難関資格まで、幅広く存在します。在宅受験ができる資格も多く、コツコツと自分のペースで学習するのが好きという方であれば、独学で合格を目指すことができます。
医療事務資格はそれぞれ試験内容が異なるため、自分のスキルと目的にあった医療事務資格を見つけるのが第一歩となります。まずは各資格をしっかりと比較検討しましょう。