保育士試験は独学でも合格できる?メリットや勉強法などを徹底解説!
「保育士試験の難易度はどれくらいなのか?」「保育士試験の効率の良い勉強法は?」など、保育士試験を独学で受験しようと考えたとき、さまざまな疑問が生じてくるのではないでしょうか。
保育士試験は、一般的な資格試験よりも難易度が高い試験なので、独学で勉強するときには、効率よく勉強を進めていく必要があります。
そこで、今回は、保育士試験は独学でも合格できるのか解説していきたいと思います。独学で試験を受けるメリットや勉強法についてもまとめていますので、ぜひご参考にしてみてください。
目次
保育士試験は独学で合格できる?
独学で保育士資格を取得するには、年に2回実施される保育士試験に合格する必要があります。保育士試験の合格率は20%ほどなので、一般的な資格試験と比べると難しい試験といえるでしょう。
しかしながら、スケジュールをしっかりと組み、効率よく学習すれば、独学でも合格できる可能性がある試験です。保育士試験は、筆記試験と実技試験の両方の試験に合格しなくてはなりません。筆記試験は9科目あり、すべての科目で合格する必要があります。
ただし、1度合格した科目に関しては、3年間の免除が受けられます。1発で合格できなくても、次回からは合格した科目は受験しなくても良いので、2回目以降は負担を減らすことができるでしょう。
保育士の資格は、独学以外にも養成学校を卒業することで取得することができます。もし、独学では難しいと感じたときは、養成学校に通うことを検討すると良いでしょう。
養成学校(専門学校、短大・4年制大学)を卒業する
保育士資格は、厚生労働大臣の指定する養成機関である学校に入学し、保育に関する授業の必要な単位を取得できれば、試験を受けなくても卒業とともに資格を取得できます。
大学では4年間、短期大学と専門学校では2年で資格をとれることになります。独学で資格を取得するより、長い期間を要しますが、試験の対策をする必要がなく、単位をとれば保育士資格を取得できるのは、学校に通う大きなメリットといえるでしょう。
ただし、独学とは違い、学校に通う場合は、実習科目が含まれます。実習科目では、実際の保育の現場で、保育技術を身につける必要があります。
保育士試験の受験資格
保育士試験の受験資格は以下の通りです。
最終学歴 | 受験資格 |
大学卒業 | どの学部でも受験資格あり |
大学在学中 | 2年以上在学して62単位取得済みであれば保育士とは関係のない学部・学科でも受験資格あり |
大学中途退学 | 2年以上在学して62単位以上取得済みであれば受験資格あり |
短期大学卒業 | どの学部でも受験資格あり |
短期大学在学中 | どの学部でも受験資格あり |
専門学校卒業 | 学校教育法に基づいた専修学校で、卒業した課程が修業年限2年以上の専門課程であれば、受験資格あり
平成3年3月31日以前に高校を卒業している人は受験資格あり |
専門学校在学中 | 学校教育法に基づいた専修学校で、卒業した課程が修業年限2年以上の専門課程であれば、受験資格あり
平成3年3月31日以前に高校を卒業している人は受験資格あり |
高等学校卒業 | 平成3年3月31日以前に高校を卒業している人は受験資格あり
保育科であれば、平成8年3月31日以前に卒業していれば受験資格あり 2年以上かつ2880時間以上、児童福祉施設での勤務経験があれば受験資格あり |
中学卒業 | 5年以上かつ7200時間以上、児童福祉施設での勤務経験があれば受験資格あり |
大学や短期大学を卒業していれば、学部問わず受験することは可能です。最終学歴が、専門学校や高校、中学卒業の人は、学部や卒業した時期によって、受験資格があるかどうかが変わります。
児童福祉施設での勤務経験も受験資格ありとみなされることがありますので、上記の表に該当するか、勉強をはじめる前に確認しておくようにしましょう。
保育士試験の合格点や難易度
保育士試験の勉強をはじめる前に、合格点や難易度についてもチェックしておきましょう。ここでは、保育士試験の合格点や合格率を解説してまいります。
筆記・実技の合格点は6割
筆記試験は、100点満点中60点をとれば合格できます。ただし、教育原理と社会的養護の科目に関しては、各分野50点満点で30点以上とると合格となります。
この2科目は2つで1科目とみなされるため、どちらか1科目不合格となってしまうと、2科目とも不合格となってしまいます。教育原理で50点をとれていても、社会的養護で10点しかとれないと、2科目とも再受験となるため、注意が必要です。
筆記試験に合格すると、実技試験に進むことができます。音楽表現と造形表現、言語表現の3つの試験から2つを選択して受験します。実技試験では50点満点中30点で合格です。資格を取得するためには、2つの試験に合格する必要があります。
得点に関しては、合格通知書で確認できますが、得点の詳細については伝えられません。減点されていた場合、どの部分で減点対象となっているのかが、受験者には伝わらないようになっています。
保育士試験の合格率は2割
保育士試験の実施状況は以下の通りになります。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成29年 | 62,555人 | 13,511人 | 21.5% |
平成30年 | 68,388人 | 13,500人 | 19.7% |
令和元年 | 77,076人 | 18,330人 | 23.7% |
令和2年 | 44,914人 | 10,890人 | 24.2% |
令和3年 | 83,175人 | 16,600人 | 19.9% |
過去の試験をさかのぼってみても、合格率は20%前後を推移していて、難易度が高い試験だという事がわかります。保育士試験は筆記試験と実技試験の2つの試験に合格しなくてはなりません。
加えて、範囲が広く、科目数も多いので、幅広い知識が求められます。1発で合格することは難しく、1科目でも合格ラインに達さないと不合格となってしまう点が、合格率の低い要因といえるでしょう。
保育士試験合格に必要な勉強時間・期間の目安
保育士試験に合格するには、100〜150時間程度の勉強時間が必要です。毎日1時間勉強すると4〜5ヶ月かかります。毎日勉強する時間が確保できない人や、しっかりと基礎を固めたい人は、半年ほどの期間で準備すると良いでしょう。
保育士試験は1年に2回しか実施していないので、スケジュール管理が大切になります。科目数も多いので、半年間で出題範囲を網羅できるように、計画的に勉強をすすめましょう。
合格の可能性を左右する3つの要素
保育士試験は、合格率が低く難しい試験であることがわかりました。筆記試験と実技試験の2種類の試験に合格する必要があり、資格を取得するには、合格するポイントを理解して、対策をすすめることが大切です。
ここでは、合格の可能性を左右する3つの要素について解説してまいります。
筆記試験の出題科目をバランスよく勉強する
保育士試験は9科目と科目数が多く試験範囲が広いので、バランスよく勉強する必要があります。加えて、すべての科目で6割以上得点がとれないと合格できないので、幅広い知識が求められます。
1つ1つの分野を深く勉強していると間に合わないので、試験範囲を網羅できるように、過去問を活用しながら出題傾向をつかむことに注力すると合格へと近づけるでしょう。浅く広く勉強することが保育士試験の合格の鍵となります。
筆記試験合格後の実技試験対策をどう取るか
実技試験は「音楽表現」「造形表現」「言語表現」の3つの分野から2分野を選択します。音楽表現は弾き歌いをする試験です。造形表現は出題テーマに関する絵を描き、言語表現は3歳児クラスの園児を想定して昔話をします。
いずれの試験も、6割以上の得点をとると合格できます。ただし、実技試験は、どのように採点されているかがわからないので、1人で対策するには難しい面があるでしょう。
対策として、実技は他の人にも評価してもらうことをおすすめします。ピアノや昔話であれば、ビデオ撮影したものをみせても良いですし、絵は写真にとってみせると良いでしょう。
違った視点から見てもらうことで、自分の悪い点を是正することができ、クオリティをあげられます。実技試験の対策は、他の人にも協力してもらいながら、対策をすすめていきましょう。
筆記試験の対策に必要な学習計画を立てる
試験当日までは、短くても3〜4ヶ月は勉強する必要があります。保育士試験の範囲を網羅するためにも学習計画をたてることが大切です。
保育士試験の問題は、9科目と数が多く、覚えることが多いため1科目に時間をかけすぎないように注意しましょう。効率的に勉強をすすめるためにも、得意科目と苦手科目を理解し、苦手科目を中心に勉強をすることをおすすめします。
例えば、栄養学の知識がある人は、栄養に関する知識を問われる「子どもの食と栄養」の科目に関しては、あまり時間を割かなくても得点をとれる可能性があります。
同様に、育児の経験がある人は、「子どもの保健」の科目はイメージがつきやすく、勉強をすすめやすいでしょう。
このように、自分の今までの経験が試験に活きる可能性もありますので、テキストをすべて流し読みしたうえで、どの科目を中心に勉強を進めていくか計画をたてると、合格への近道となるでしょう。
独学で保育士試験に合格するための勉強方法とは?
保育士試験は広く浅く勉強することが合格への鍵となります。1科目でも落としてしまうと不合格となってしまいますので、すべての科目において知識をつけることが大切です。ここでは、独学で保育士試験に合格するための勉強方法について解説してまいります。
教材の選び方
教材を選択する際は、必ず最新版を選ぶようにしましょう。保育士試験は、法改正によって出題内容が大きく変わる可能性があります。そのため、かならずテキストや問題集は最新のものを選ぶことをおすすめします。
また、筆記科目の内容が網羅されていることはもちろん、イラストや図解が使われていると、はじめて取り組む人も勉強をすすめやすいでしょう。合わせて、問題集は過去の出題傾向がわかるものを選択することをおすすめします。
過去問に習った出題をしている問題集は、試験の傾向がつかみやすく得点アップにつながります。また、アウトプットがしやすい問題集を選択することで、知識が定着しやすいといえるでしょう。
教材を読み込む
保育士試験の勉強を効率的にすすめるためにも、教材をしっかりと読み込むようにしましょう。保育士試験は範囲が広いので、すべての範囲を流し読みするだけでも、大変な労力となります。
1つの科目を熟読していると、時間がかかってしまうので、はじめは一通り流し読みをして概要をつかむことが大切です。
数回読み込んだあと、じぶんが苦手だと思う範囲を再度読むことで、知識の定着につながっていくでしょう。
過去問を繰り返し解く
テキストを読み込み、ある程度知識がついたら、過去問を繰り返し解きましょう。間違えた問題は、テキストを振り返り、付箋などでマークしておくと自分の苦手なポイントがわかりやすくなります。
何度も間違えてしまう問題は、テキストを再度読み込むなどして、苦手な部分を克服できるでしょう。
試験はマークシート方式になります。試験が近くなったら、マークシート方式で回答することに慣れておくと、試験本番も落ち着いて問題を解けるでしょう。
保育士試験に合格するためのポイントとは?
保育士試験は合格率が低い試験なので、ポイントをおさえておくと、合格に近づける可能性があります。ここでは、保育士試験に合格するためのポイントについて解説してまいります。
筆記試験の合格科目免除期間制度を活用する
保育士試験は1度に9科目合格しようとすると、合格のハードルが高くなってしまいます。もし、短期間で合格するのが難しいと感じる場合には、合格科目免除期間制度を活用すると良いでしょう。
保育士試験は、合格した科目は3年間合格したことが有効となります。次の試験では、合格した科目を受験する必要はありません。そのため、1回目の試験で5科目合格した場合は、次の試験で残りの4科目を受験すれば良いことになります。
そうすることで、2回目以降の試験勉強の負担を大幅に減らすことができ、ゆとりをもって対策ができるでしょう。
また、対象の期間内に一定の勤務時間、児童等の保護に従事していた場合は、最長で免除期間が5年まで延長が可能です。この期間内にすべての科目を合格すれば良いので、精神面でも余裕が生まれ、学習をすすめやすくなるでしょう。
幼稚園教諭免許を所有している場合は特例制度を活用する
幼稚園教諭免許を所有している場合は特例制度を活用しましょう。臨時免許ではない、幼稚園教諭免許を所有していて、対象施設で3年以上かつ4,320時間以上の実務経験がある場合、特例措置として、「保育の心理学」「教育原理」「保育実習理論」に加え、実技試験が免除されます。
科目数が6科目になり、実技試験の対策をする必要がないので、試験勉強の負担が軽くなるといえるでしょう。そのため、幼稚園教諭免許を所有している人は、勤務時間や勤務している施設が対象となっているかを事前に確認することをおすすめします。
保育士試験を独学で勉強するメリットとは?
保育士試験を独学で勉強するメリットを理解すると、あなたが独学に向いているかがわかります。事前にメリットをチェックし、独学で勉強を続けていくか検討するとよいでしょう。ここでは、保育士試験を独学で勉強するメリットについて解説してまいります。
自分のペースで学習できる
独学のメリットは、自分のペースで勉強できることです。スクールに通うと、カリキュラムが決められているので、わからないところがあっても、カリキュラムに合わせた勉強をしていかなければなりません。
人によっては、それがストレスに感じて、モチベーションの低下に繋がる恐れがあります。
独学では、自分のペースで学習ができるので、わからない分野があれば、その分野を重点的に学ぶことができます。他の人に合わせる必要がないのは、独学の大きなメリットといえるでしょう。
費用を抑えられる
コストが抑えられるのも独学のメリットです。必要なものは、テキストや問題集、筆記用具なので、5,000円〜1万円あれば、試験の対策をはじめられます。
不合格だったとしても、追加でかかる費用が少ないのもうれしいポイントです。学校に通うとなると数十万円かかることが多いので、費用を抑えたい人は、独学をおすすめします。
自分に合った勉強方法を選べる
自分で勉強方法を選べるのも独学の魅力といえるでしょう。時間のとれない育児中の人や、社会人の人が学校に通うのは、時間的にも難しい面があります。一方独学であれば、自宅で勉強を進められますし、すきま時間は、アプリや動画視聴などでも学ぶことが可能です。
まとまった勉強時間をとるのが難しい人でも、自分のライフスタイルに合わせて勉強方法を選べるのは、独学の大きなメリットといえるでしょう。
保育士試験を独学で勉強するデメリットとは?
保育士試験の勉強を独学ではじめる前に、独学のデメリットも確認しておきましょう。デメリットを確認しておくことで、あなたに合う勉強方法で勉強をはじめられるでしょう。ここでは、独学で勉強をするデメリットについて解説してまいります。
実技試験対策を1人で取り組むのが難しい
独学で、実技試験の対策をするのは、難しい面があります。1人で練習をしていても、どこをなおせば良いのかがわかりづらいため、対策がとりづらいといえるでしょう。
対策として、家族でも良いので、第三者に見てもらうと、改善点がみえやすくなる可能性があります。実技試験は他の資格試験ではない、特殊な試験ですので、他の人にも協力をしてもらいながら対策をする必要があります。
最新情報を取得する機会が少なく試験を攻略しづらい
保育士試験は法改正で出題内容が大きく変わることがあります。1人で対策をしていると、法改正に対応できずに勉強をすすめてしまう可能性も少なくないでしょう。
また、試験には、時事問題が出題されることも多いので、テキストを読んでいるだけではカバーできない部分があります。独学の人は、情報収集を自ら行い、最新情報を取得する必要があるので、新聞やニュースを日々チェックし、常にアンテナを張っておく必要があります。
モチベーションの維持・管理が難しい
保育士の試験は、1回で合格するのは難しい試験のため、長期間モチベーションを維持していく必要があります。わからない問題が多かったり、スケジュール通り勉強が進められなかったりした場合に、モチベーションの低下につながる可能性があります。
近年では、SNSなどでも、勉強仲間を募れます。もし、独学でモチベーションが低下しそうになったら、SNSで同じ目標をもつ仲間をつくると、独学でもモチベーションを維持できる可能性があるといえるでしょう。
まとめ
今回は、保育士試験は独学でも合格できるのか解説してまいりました。保育士試験は、合格率が低い試験なので1回で合格しようとするとハードルが高い試験であることがわかりました。
保育士試験は、合格した科目は3年間有効となるので、そのような制度を使って、何回かにわけてチャレンジすると、合格に近づけるでしょう。幼稚園教諭の資格を持っている人であれば、特例制度を活用して、科目数を減らすと、勉強の負担を減らせます。
ぜひ、この記事の内容を参考に、独学で保育士資格を取得していただければ幸いです。