司法書士は独学でも合格可能?独学のポイントやメリット・デメリットを徹底解説!
文系の国家資格のなかで、最難関資格のひとつに位置づけられる「司法書士」。司法書士試験に独学で合格するためには、広範囲に及ぶ膨大な量の知識の習得以外にも、スケジューリング力やコントロール力など、たくさんの力が求められます。
本記事では、司法書士試験の合格を独学で目指す場合のメリットとデメリットを紹介。合格率や独学のポイントについてもまとめています。
司法書士を独学で目指そうと考えている人は、ぜひ本記事を参考に、今後の方針を検討してみてください。
目次
独学で司法書士試験に合格することは可能なのか?
司法書士試験に独学で合格するのは難しいですが、不可能というわけではありません。司法書士は超難関資格であり、司法書士試験は、そもそも突破の難易度が高い試験です。しかし、独学で合格を掴み取っている人も多からず存在しているのが事実です。
司法書士試験の合格率は毎年4〜5%であり、合格率からも、司法書士試験に合格するのは相当難しいことがわかります。合格のためには11科目に及ぶ試験範囲を網羅する必要があり、まとまった勉強時間が必要です。
独学でも司法書士試験に合格できる可能性はありますが、相当な努力と精神力を必要とします。
司法書士の合格率
司法書士の合格率は、毎年4〜5%前後です。直近5年間の「司法書士試験の結果」をまとめると、以下の通りです。
申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
平成30年度 | 17,668 | 14,387 | 621 | 4.31% |
平成31年度 | 16,811 | 13,683 | 601 | 4.39% |
令和2年度 | 14,431 | 11,494 | 595 | 5.17% |
令和3年度 | 14,988 | 11,925 | 613 | 5.14% |
令和4年度 | 15,693 | 12,727 | 660 | 5.18% |
※法務省が公開している「司法書士試験の最終結果」より作成
合格者は、例年600〜650人前後で推移しています。司法書士試験は、同じく国家資格である社労士や行政書士の試験と比べても合格率が低く、難易度が高いのが特徴です。
合格ラインは毎年変化し、受験者の平均点を考慮して設定されています。
司法書士の受験資格
司法書士試験に受験資格はありません。「○年以上の実務経験」や「指定研修の受講修了者」といった条件がないので、受験しようと思ったときに誰でも挑戦できます。
司法書士試験の合格を独学で目指すメリット
司法書士試験に独学で臨むのは難しいといえますが、独学ならではのメリットもあります。以下で3つ紹介します。
コストがかからない
コストをおさえて勉強できるのは、独学のメリットのひとつです。スクールや講座を利用する場合、費用面の負担が大きく、通学による交通費が発生することも考えられます。
一方で、独学の場合は、テキストや問題集、文房具代の負担のみで勉強がはじめられます。スクールや講座に比べて金銭的な負担を大幅に減らすことができるので、金銭面に不安がある人や長期戦を想定して勉強したい人には独学がおすすめです。
自分のペースで学習することができる
自分のペースで勉強を進められるのも、独学の大きなメリットです。司法書士試験の勉強は広範囲に及び、人によって得意分野・苦手分野が異なります。
独学であれば、理解度に合わせて学習を進めることができ、苦手分野に比重をおくことも可能。苦手な分野や理解不足の分野を克服できるまでじっくり集中的に対策できるので、講座内容のカリキュラムについていけないという不安を抱える必要もありません。
また、知識レベルに合ったテキストを自由に選択できるのも独学ならではのメリットです。自分に合った勉強方法を取り入れやすいので、人によっては、独学のほうが勉強の進みが良くなるケースがあります。
仕事との両立をしやすい
場所や時間のしばりがない独学は、仕事と勉強を両立したい人におすすめです。仕事が忙しいと、時間が合わず通学講座に通えなかったり、スクールまでの通学が苦になったりするケースが考えられます。
独学の場合は、自宅で学習できるうえに、好きな時間に勉強できます。隙間時間を少しでも学習時間にあてたいという人にも、独学はおすすめです。
司法書士試験の合格を独学で目指すデメリット
司法書士試験は難易度が高いので、独学の方向性を誤ると合格が遠のいてしまいます。以下で、司法書士試験に独学で臨むデメリットを3つ紹介します。
モチベーションの維持が難しい
独学の場合、モチベーションを保つのが大変です。司法書士試験を突破するためには、広範囲の知識を習得する必要があり、自ずと勉強時間が長くなります。
スクールや講座では、受験者との情報収集や交流の時間があり、それがモチベーションアップにつながることもあるでしょう。
しかし、独学の場合は、周りに士気を高めてくれる存在がいなかったり、自身の成長度合いがわからなくなったりすることで、モチベーションを保てずに挫折してしまうリスクが発生します。
司法書士試験に独学で合格するためには、自律心が求められます。挫けそうになったら、合格するという目標を改めて思い出すことが重要。相談できる人を見つけておくこともポイントです。
最新の法改正への対応が難しい
最新の法改正への対応と勉強を両立しなければいけない点は、独学のデメリットです。
司法書士試験に合格するためには、毎年行われる法改正を逐一おさえておくことが必要です。スクールだと常にアップデートされた最新情報が提供されますが、独学の場合は、情報のキャッチアップを一人で行う必要があります。
情報収集に追われるあまりに、勉強に集中できなくなるのは本末転倒です。司法書士試験に独学で臨む場合は、最新情報を提供してもらえるサービスや手段を確保しておくことを意識してみてださい。
スケジュールの管理が難しい
スケジュールの管理が難しい点も、独学のデメリットです。
司法書士試験に合格するためには、約3000時間の勉強時間を確保しなければなりません。さらには、11科目の内容をすべて網羅する必要があり、長期的な学習計画を立て、着実に学習を進めることが重要です。
独学のメリットとしてマイペースに学習できる点がありますが、自分で学習スケジュールを管理しなければいけない点は、人によってはデメリットにもなり得ます。全体の学習スケジュールが押してしまうと、対策が不十分なまま試験日を迎えることになりかねません。
学習方針の見極めやスケジュール管理が苦手な人にとっては、独学は難しいといえます。
司法書士試験の合格を独学で目指すポイントは?
司法書士試験の合格を独学で目指す際のポイントを4つ紹介します。学習の参考にしてみてください。
法改正への対策をする
毎年さまざまな法改正が行われているので、改正のポイントを確認し、試験への影響を考えることが重要です。
具体的には、どの法律がどう変わったのか、法改正が受験時の出題範囲に含まれるかどうかを確認する必要があります。勉強時には、手持ちのテキストが法改正に対応しているかどうかを必ずチェックするようにしてください。
また、法改正の情報をキャッチアップできる仕組みづくりを行うことがポイントです。最新かつ必要な情報が得られる手段を探し、上手に活用することで、勉強効率を上げられます。
学習計画をしっかりと立てる
司法書士試験に合格するための学習時間は、約3000時間とされています。もともと知識がある人でも約2000時間が必要とされ、毎日必ず5時間ずつ勉強する場合、学習期間は2年前後となる見込みです。
司法書士試験を突破するためには、年単位の長期的な学習計画を立てることが必要です。さらに、11科目という広範囲を網羅するために、科目ごとの時間配分まで考慮する必要があります。
また、長期的かつ緻密な計画を、着実に実行する遂行力も必須。体調管理も重要なので、適度な休息を取り入れながら、メリハリをつけて勉強することを意識してみてください。
独学でも答練・模試は受ける
独学の場合でも、答練・模試を受けることがポイントです。司法書士試験は、例年、過去問にはない未出問題が出題されるのが特徴です。
答練・模試では、出題傾向を踏まえて、出題可能性が高い問題が出題されます。答練・模試で出た問題が本番でも出題される可能性も考えられるので、ある程度学習が進捗したら、受けてみるのがおすすめです。
また、受験生との比較ができ、力試しになるのもメリットです。学習の進捗具合がわからずに不安になりがちな独学者だからこそ、模試で自身の実力を客観的にはかるようにしてください。
信頼できる教材を選ぶ
独学で勉強する人にとっては、テキスト選びが合格の鍵を握っています。
選んだテキストによっては、勉強効率や理解度が大きく変わります。基礎内容が充実しているものや、イラスト・図解によって内容を視覚的にとらえやすいものを選ぶのがおすすめです。
最終的には、実際に参考書に目を通してみて、自身にとってわかりやすく、理解が深まりそうかどうかで判断してみてください。
どんな人が、司法書士の独学に向いている?
以下では、司法書士試験を独学で目指すメリット・デメリットを踏まえたうえで、独学に向いている人の特徴を紹介します。
学習のスケジューリングと実行が得意な人
司法書士試験に独学で合格するためには、幅広い法律の知識を習得する必要があります。したがって、具体的な学習計画を立て、それを着実に遂行できる人が独学に向いているといえます。
学習のスケジュールを握るのはもちろん、場合によっては、模試の結果を考慮して学習計画の練り直しが必要になることも。独学には、自分をコントロールする力が必要であり、精神力が試されます。
モチベーション維持が得意な人
独学の場合、どうしても挫折のリスクが高まります。学習の理解度が深まらなかったり、誘惑に負けて勉強が進まなかったりすると、試験自体を諦めてしまうことにつながります。
独学成功のための必須条件は、モチベーションをうまく維持し、挫折しそうになったときに立て直せることです。「合格する」という目標に向かって、ひたすらコツコツと努力できる人は、独学で司法書士を目指してみてもいいかもしれません。
まとめ
少数派であるとはいえ、司法書士試験に独学で臨むことは可能であり、実際に合格を勝ち取っている人は存在します。司法書士試験に合格するためには、学習計画をしっかりと立て、自身にとってわかりやすい教材を使用して着実に知識を積み上げることが大切です。
独学で司法書士を目指すのにはメリット・デメリットがあるので、それらを理解したうえで、自身にもできそうかどうかを判断することをおすすめします。
本記事では、司法書士を独学で目指すポイントもまとめているので、ぜひ試験対策の方向性を定めるための参考にしてみてください。