栄養士になるには?資格取得の方法や主な就職先について解説
栄養指導や栄養管理などができる「栄養士」。栄養士を目指す方の中には「栄養士の資格は独学で取れるのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
残念ながら、栄養士資格は独学で取ることができません。養成施設と呼ばれる学校で2年以上学ぶことが、資格取得の絶対条件となっています。
この記事では、栄養士資格を独学で取れない理由について詳しく解説します。また、資格を取る方法やかかる費用、独学で取れる栄養士に近い資格についても紹介します。栄養士に興味がある方の参考にしていただける記事になっていますので、ご覧ください。
目次
栄養士は独学でも合格できる?
栄養士になるには独学だけでは不可能
「食生活アドバイザー」や「フードコーディネーター」など、食に関する資格の中には独学で取得しやすいものもたくさんあります。そのため、栄養士資格を独学で取りたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、残念ながら、栄養士資格は独学で取ることができません。通信講座を受講して取ることもできません。栄養士資格は、栄養士養成施設と呼ばれる学校で2年以上学ぶことが、取得の絶対条件となっているからです。
そもそも栄養士とは「栄養士法」という法律により定められた国家資格です。栄養士法の第一条には、栄養士の定義について「栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう。」と明記されています。
さらに、第二条には、栄養士の免許について「栄養士の免許は、厚生労働大臣の指定した栄養士の養成施設において二年以上栄養士として必要な知識及び技能を修得した者に対して、都道府県知事が与える。」と記載されています。
つまり「栄養士」という名称で栄養指導をするには、都道府県知事から免許を受けなければならず、その免許を受ける条件が養成施設で2年以上学ぶことというわけです。
引用:「栄養士法(昭和22年12月29日法律第245号)」厚生労働省
栄養士と管理栄養士の違い
栄養士資格を取りたいと考えて、いろいろ調べていると「管理栄養士」という名称を目にすることがあるでしょう。
栄養士と管理栄養士の大きく違う点は「資格の取得条件」と「栄養指導の対象者」です。
| 栄養士 | 管理栄養士 | |
| 資格の取得条件 | 「2〜4年制の栄養士養成施設」または「4年制の管理栄養士養成施設」を卒業 | 管理栄養士国家試験に合格 (管理栄養士国家試験の受験資格は「2〜4年制の栄養士養成施設を卒業+1〜5年の実務経験」または「4年制の管理栄養士養成施設を卒業」) |
| 栄養指導の対象者 | 健康な人 | 健康な人、病気の人 |
栄養士の場合、栄養士養成施設を卒業すると免許がもらえます。一方、管理栄養士の場合、免許をもらうには養成施設を卒業後に「管理栄養士国家試験」に合格しなければなりません。
このように、栄養士と管理栄養士では資格の取得条件が異なるわけですが、どちらも養成施設を卒業することは必須です。そのため、栄養士、管理栄養士ともに、完全に独学で資格を取るのは不可能なのです。
資格取得後、栄養士は健康な人に向けて栄養指導をできるようになります。給食センターや企業の社食などで、健康な人向けに食事提供が可能です。
一方、管理栄養士は、健康な人だけでなく病気の人にも栄養指導ができます。そのため、病院や介護施設など、食事や栄養に関するより高度な知識を求められる職場でも活躍しています。
参照:「管理栄養士国家試験について」公益社団法人 日本栄養士会
栄養士の資格取得方法
栄養士・管理栄養士資格の取り方は以下の通りです。
| 栄養士 | 管理栄養士 | |
| 2〜4年制の栄養士養成施設を卒業した場合 | 卒業を条件に取得可能 | 1〜5年の実務を経験→管理栄養士国家試験に合格後、取得可能 |
| 4年制の管理栄養士養成施設を卒業した場合 | 卒業を条件に取得可能 | 管理栄養士国家試験に合格後、取得可能 |
栄養士資格は「2〜4年制の栄養士養成施設(専門学校・短大・大学)」または「4年制の管理栄養士養成施設(大学)」の卒業を条件に、取ることができます。
一方、管理栄養士資格を取る流れは、卒業した養成施設の種類により異なります。
「4年制の管理栄養士養成施設」を卒業した人には、管理栄養士国家試験の受験資格が与えられ、合格すれば管理栄養士資格を得られます。
「2〜4年制の栄養士養成施設」を卒業した人は、実務経験を1〜5年以上積まないと管理栄養士国家試験を受験できません。
養成施設に通う期間と実務経験の期間が合計5年間以上になる必要があるため、4年制の管理栄養士養成施設を卒業した人より、資格を取るまでに時間がかかります。
なお、栄養士、管理栄養士ともに、免許の取得申請手続きは住民票のある都道府県で行います。
専門学校・短大の学費は?
栄養士資格を取るには、栄養士養成施設に2年以上通わなければなりません。どのくらい学費がかかるかは、気になるところでしょう。
栄養士・管理栄養士養成施設を卒業するまでにかかる学費は、2年制の専門学校で260万円ほど、2年制の私立短大で230万円ほど、4年制の私立大学で340万円ほどといわれています。
栄養士・管理栄養士養成施設では、実習や研究系の授業が多いため、学費が高めに設定されているようです。
また、栄養士・管理栄養士養成施設には、夜間部や通信教育課程がありません。昼間の学校に通うことになるため、社会人の場合は仕事を続けられなくなる可能性があります。生活費の蓄えが必要になることも理解しておきましょう。
参照:「「栄養士になるために」卒業までにかかる学費はいくらかかる?栄養士養成施設別に費用目安を紹介!」栄養士転職ナビ
栄養士の資格取得後はどんな場所で活躍できる?
資格取得後に具体的にどのような場所で活躍できるのか、主な就職先とその役割を解説します。
医療機関(病院・クリニックなど)
病院や怪我で入院・通院している患者さんの治療を、食の面からサポートする仕事です。
医師や看護師・薬剤師などと連携し、患者さんの病状や体調に合わせた食事の献立作成・調理管理を行います。医療の一環として食事を提供するため、非常に高い専門知識が求められますが、患者さんの治癒や回復に貢献できるため、大きなやりがいを感じられる現場です。
教育機関(保育園・幼稚園・小・中・高等学校)
学校給食や保育園のおやつの献立作成、アレルギー対応、調理指示などを行う仕事です。
成長期に必要な栄養バランスを満たすだけでなく、子どもたちが「美味しい」と喜んでくれるメニューを考える楽しさがあります。近年は、アレルギーや肥満・糖尿病などの個別的な指導・食事提供の重要性も高まっており、非常に重要な役割です。
さらに、子どもたちの成長を支え、正しい即習慣を身に付けさせる「食育」を担当することもあります。
企業の社員食堂・寮
働く大人たちの健康維持や、パフォーマンス向上を食で支える仕事です。
企業の社員食堂や学生寮、工場などの給食施設で、バランスの良い日替わりメニューの作成や栄養管理、調理を担当します。多くの場合、給食を専門に受託する「給食受託会社」に所属して各施設に赴任します。生活習慣病をはじめとする身体の不調を予防するだけでなく、忙しいビジネスパーソンの元気を支える重要な役割を担います。近年は企業の健康経営や福利厚生の観点からも、社員食堂における栄養士の存在価値が非常に高まっています。
福祉施設(高齢者・児童・障がい者施設)
特別養護老人ホームやデイサービス、児童養護施設などで、利用者の生活と健康を支える仕事です。
高齢者施設では、噛む力や飲み込む力が弱くなった方向けの介護食の献立作成・調理を行います。児童養護施設では、食習慣の改善や安心感の提供、自立に向けた食育などを支援します。障がい者施設では、利用者の特性や身体の機能レベルに合わせて、食べやすい食事の提供や、自立支援のためのサポートを行う役割があります。
ただ栄養を満たし、食事をサポートするだけでなく、食事の時間を楽しむ工夫も重要です。高齢化社会や多様化が進む現代において、各福祉施設からのニーズは非常に高まっています。
行政機関・地域活動(保健所や市区町村の窓口など)
地域住民全体の健康づくりや、病気予防をミッションとする公的な場所で働く仕事です。
主に都道府県や市区町村の保健所・保険センターなどに所属し、乳幼児健診での栄養指導、高齢者向けの料理教室の企画、地域の飲食店への衛生指導などを行います。
個人の食事だけでなく、地域社会全体の健康寿命を延ばすための仕組みづくりに携わることができ、大きなやりがいを感じられる仕事です。
スポーツの現場(プロチーム・フィットネスジムなど)
アスリートのパフォーマンス向上や、一般の方のボディメイクをサポートする仕事です。
プロスポーツチームや実業団、フィットネスクラブ、パーソナルジムなどで、「筋力アップ」「減量」「スタミナ強化」といった、選手や会員一人ひとりの目標に合わせた食事メニューの提案・アドバイスを行います。
近年スポーツ栄養への注目度が高まっていることもあり競争率は高めですが、民間資格の「公認スポーツ栄養士」などを合わせて取得すると、さらに活躍の場が広がります。
※「公認スポーツ栄養士」は、受験資格として管理栄養士の国家資格を保有していることが条件です。
研究・開発機関(食品メーカーなど)
新しい食品やサプリメントを生み出す、最前線で働く仕事です。
食品メーカーや製薬会社、化粧品メーカーなどの研究開発部門で、栄養価の高い新商品の開発、成分の分析、マーケティング調査などを担当します。栄養学の知識を生かして、世の中に広く流通する「ヒット商品」の開発に携われるのが魅力です。デスクワークや実験室での作業が多く、一般企業ならではのキャリアステップを歩むことができます。
独学で取れる栄養士に近い資格
フードコーディネーター
栄養士・管理栄養士資格は、独学で取ることができません。しかし、栄養士に近い資格の中には独学で取れるものもあり「フードコーディネーター」はその一つです。
フードコーディネーターは、食に関する基礎知識や実践的知識を身につけられる資格です。
フードコーディネーターの主な仕事は、身につけた知識をもとに新しい食のブランドやトレンドをつくることで、具体的には、食品メーカーの商品開発・飲食店の空間コーディネート・料理教室の開催などを行います。
フードコーディネーターの資格認定試験は、中学校を卒業していれば誰でも受験可能です。1・2・3級にわかれており、級によって難易度が変わるものの、入門レベルである3級の合格率は70〜80%以上といわれています。比較的挑戦しやすい資格といえるでしょう。
参照:「フードコーディネーター認定試験の難易度・合格率・費用」キャリアガーデン
食生活アドバイザー
「食生活アドバイザー」も、独学で取れる栄養士に近い資格です。
食生活アドバイザーは、栄養素・食品の分類・食中毒予防・食文化・テーブルマナーなどの、食に関する幅広い知識を身につけられる資格です。食生活全般の指導・助言を行えるので、食品メーカー・飲食店・学校など幅広い業種で役立つでしょう。
食生活アドバイザーの試験は、年齢・性別・学歴・実務経験に関係なく誰でも受験できます。2・3級の2つにわかれており、合格率は2級が約40%、3級が約65%となっています。独学でもしっかりと対策すれば、十分合格を狙えるでしょう。
参考:「食生活アドバイザー(R)の試験について知りたい!」生涯学習のユーキャン
まとめ
栄養士資格を取るためには、最低でも2年間、栄養士養成施設に通う必要があります。しかし、栄養士養成施設には、夜間部や通信教育課程がありません。
そのため、社会人や主婦の方が通う場合は、時間や生活費をどうやって確保するかが大きな課題になるでしょう。学業と両立しやすい仕事に転職する、子供を実家や保育園に預けるなど、大きな決断が必要になるかもしれません。
もしも、現在の仕事や家庭の状況を大きく変えられないという場合は、栄養士に近い資格についても検討してみましょう。「食」への関心が高まっている昨今、栄養士以外にも食に関わる魅力的な資格はたくさんありますので、視野を広く持って探してみてはいかがでしょうか。