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公開:2023.3.4 公開:2023.3.4

税理士は独学でも合格できる?難易度や勉強方法を徹底解説!

税理士は独学でも合格できる?難易度や勉強方法を徹底解説! NEW

税理士とはその名の通り、税金に関する専門家で数ある国家試験の中でも取得が難しい資格としても有名です。試験に関しても誰でも受験できるわけではなく、ある一定の基準を満たさなければならないなどの条件が定められています。

一方で難しい試験でありながらも、資格取得後には就職に有利などの理由から人気の高い試験の一つにもなっています。そんな税理士試験ですが、実際に取得をするとなるとどのような勉強方法が良いのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、税理士試験の概要や独学での資格取得は可能なのかについて徹底的に解説いたします。これから税理士試験に挑戦する人は、ぜひ最後までご覧いただき勉強プラン作成の参考にしてみてください。

独学で税理士試験に合格することは可能なのか?

はじめに、税理士試験に独学で合格するために試験の概要や必要とされる勉強時間について解説します。

試験の概要を知らずして、試験に合格することは不可能ですので基礎的な部分についてはしっかりと理解をしておきましょう。

税理士試験の概要と難易度

税理士とは税に関する様々な書類の作成や、相談を受けることのできる「税の専門家」です。

この税理士になるための通過点の一つが「税理士試験」となっています。また実際の税理士登録を行うには、試験の通過とは別に、2年以上の実務経験も必要となってきます。

税理士試験は、必須科目・選択必須科目・選択科目の3つの分野で構成され、簿記、国税、地方税など勉強範囲は多岐に及びます。そのため難易度に関しても非常に高い試験の一つとなっています。

■会計科目(必須)
・簿記論
・財務諸表論

■税法科目(選択必須)
・所得税法
・法人税法

■税法科目(選択)
・消費税法または酒税法(どちらか1つを選択)
・相続税法
・固定資産税
・国税徴収法
・住民税または事業税(どちらか1つを選択)

気になる合格率については、過去4年で15〜20%前後で推移しています。2022年に行われた令和4年度試験においては、受験者数28,853人、合格者数5,626人で合格率19.5%となっています。

令和4年度試験の受験者層を見てみると、41歳以上が全体の37.4%と最も多く社会人として活躍をしながらも試験の合格を目指している人が多いということもわかります。

一方で合格率に関しては、25歳以下の30.9%が最も高くなっています。この層は受験勉強に十分な時間を確保できる学生さんが多いため、試験自体も勉強時間の確保が重要な試験であることがわかります。

税理士試験の受験資格

次は税理士試験を受けるのに必要な受験資格について解説します。

国税庁の公式ホームページによると、受験資格については大きく3つに分類され「学識による受験資格」・「資格による受験資格」・「職歴による受験資格」となります。3つに分類された受験資格のうち、いずれか一つの要件を満たすことで受験が可能です。

学識による受験資格については、「大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者」、「司法試験合格者」などが挙げられます。

資格による受験資格については、「日商簿記検定1級合格者」、「全経簿記検定上級合格者」の2つとなっています。

3つ目の職歴による受験資格については、「法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者」などが規定されています。大学を卒業していなくても実務経験を要していれば、受験資格が手に入るのは注目したいポイントです。

これら3つの受験資格は細かな認定要件が定められていますので、詳細については国税庁のホームページも合わせてご確認ください。

また、会計学科目(簿記論・財務諸表論)については、令和5年度の試験より受験資格が撤廃され誰でも受験ができるようになっています。

 

税理士試験受験資格の概要

学識による受験資格  大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
 司法試験合格者
 公認会計士試験の短答式試験に合格した者
資格による受験資格  日商簿記検定1級合格者
 全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格  法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

※引用:税理士試験受験資格の概要|国税庁

合格に必要な科目数は?

税理士試験に合格するには、会計学の2科目、税法科目の3科目で満点の60%以上を獲得すると合格となります。税法科目においては、選択必須の科目もありますので勉強の際は注意が必要です。

また、税理士試験は科目合格制を採用しているため一度にすべての科目を受験する必要はなく、1科目ずつの受験も可能です。

合格に必要な勉強時間は?

一般的に、税理士試験の合格までに必要な時間は3000〜5000時間と言われています。これはあくまで目安で、税務に関する基礎知識の有り無しや、実務経験の有無によっても大きく影響されます。仮に毎日2時間の勉強をした場合でも、すべての科目の勉強を終えるには4年〜5年ほどの歳月が必要になる計算です。

必須科目である簿記論・財務諸表論に関していうと、それぞれ500時間程度の学習が必要と一般的に言われているため、学習量が多い分野であることがわかります。また所得税法に関してはより勉強量が多く、700時間と言われています。

このように試験までの道のりは非常に長いため、計画を立てて勉強を進めることがとても重要だとわかります。

独学での合格は困難だが不可能ではない

受験資格や必要な勉強時間がわかったところで、気になるのが果たして独学でも合格の可能性はあるのかという点です。

結論から申し上げると、大学などで勉強をしている学生さんに比べ難易度は格段に上がりますが、不可能ではありません。医師免許などとは異なり、受験資格も大学卒業以外の部分でクリアをすれば学校に通わずとも獲得可能です。

一方で難しいと言われている弁護士試験の合格率が30%〜40%と言われているため、税理士試験の方がより難しい試験であるということもわかります。独学で勉強を進めるのであれば、非常に難しく困難であるという実態を踏まえた上で、挑戦することが勉強を始めたあとのギャップを埋めることにも繋がります。

税理士を独学で取得するのに向いてる人は?

税理士試験が難易度がとても高いとわかったところで、試験に向けて独学で勉強をするのに向いているのはどんな人であるか解説します。

勉強手段には向き不向きがあるので、自分の性格が果たして独学に向いているのか否か、2つのポイントに注力をしてチェックしてみてください。

モチベーションを維持できる人

独学の勉強を継続していくためには、「強いモチベーションを維持」していける人が向いているということができます。

先にご説明をしたとおり、税理士試験に向けては4〜5年という非常に長い期間の勉強が必要です。その間に、様々な心境の変化や生活の変化が受験者に襲いかかります。

そんな中でも継続して試験に合格するという、強いモチベーションを持ち続けることができる人だけが合格を勝ち取ることができます。スポーツなどなにか一つの分野で、長い間努力をしてきた人は税理士試験に合格する可能性を秘めた人であるといえます。

勉強が得意な人

次にやはり重要となるのが「勉強が得意な人」です。一口に勉強と言ってもその手段は様々です。

机に向かって集中的に覚えることが好きな人もいれば、スキマ時間にこつこつ勉強を進めるのが好きな人もいます。

独学で勉強を始めるのであれば、どのような勉強スタイルが自分は得意で継続できるかを考えてみてください。特に会社員などまとまった時間が取れない中で試験に挑戦をするのであれば、日々の業務から税に関する知識を学ぶなど自分の環境を最大限活用することが合格の近道となります。

独学で税理士を目指すメリット

次に、スクール形式などの勉強方法がある中で「独学」で税理士を目指すメリットについて解説します。独学にはスクール形式にはないメリットや忙しい社会人でも税理士を目指せる、様々なメリットが存在しています。

自分のペースで学習できる

独学の一番のメリットとも言えるのが、自分のペースで学習計画を組むことができる点です。

スクール形式の授業では予めカリキュラムが決められているため、自身の理解度ではなくスケジュール優先の学習進度となります。また中にはある一定の知識をお持ちで、その部分については授業が不要という方もいらっしゃいます。

このようにスクール形式では、決められたルールに従って勉強を行うため理解をしていないのに先に進んだり、二重の勉強で時間のロスといったことにも繋がります。独学であれば、自分のペースで勉強を進めることができるため、無駄なく効率的に知識を増やしていくことが可能です。

経済的負担が少ない

次のメリットは経済的な負担が圧倒的に少ないことです。資格取得のために予備校に通うには、予算にして数十万円ほどの出費となります。

例えば、様々な資格を取得できることで有名な資格の大原が開講している、「2023年受験対策 1月開講 簿記・財表初学者短期合格パック」であれば102回の授業で281,000円が必要となります。

一方で、独学で勉強を進めるのであれば参考書や問題集の購入が主な支出となるため、数千円から数万円の出費で抑えることができ圧倒的に、経済負担が少なくなります。

家族を支えるサラリーマンなど、少しでも出費を抑えたい方に「独学」は非常におすすめの勉強手段の一つです。

仕事や家事と両立しやすい

最後に紹介するおすすめポイントは、仕事や家事と両立しやすいことが挙げられます。

スクール形式であれば、決められた時間に決められた場所で講義を受けなければならないため、自分のスケジュールを授業に合わせる必要が出てきます。

忙しい社会人や主婦の方は、会議や出張、子供のケアなど自分自身ではコントロールの難しいスケジュールも多いため、プライベートの管理も加わると大きなストレスの原因にもなります。

また、一度講義を欠席してしまうと該当範囲の学習を自分で行わなければならず受講費用の無駄にも繋がります。

一方で、独学での勉強であれば自分自身で学習計画を立てているため、スケジュール調整は容易です。また学習をする場所に縛られることもないので、出張先や電車での移動中でも学ぶことができます。

独学で税理士を目指すデメリット

次は反対に、独学で勉強を進めるデメリットについても合わせて解説します。

メリットとデメリットの両方を理解しておくことは効率的な勉強につながるため、デメリットもしっかりと把握しておいてください。

自分に合う教材選びが難しい

独学での勉強の必須となるのが参考書や問題集です。一方で、いざ書店に赴くと関連書籍が大量に販売されているため、どれを選べばよいのか初めて勉強する人が判断をするのはなかなか難しいです。

またインターネットでの購入となると、書籍の中身を購入前に確認することができないためより難易度が上がります。

そのため独学用の書籍を購入するのであれば、まずは1冊を購入してみて自分にあった内容かを確認し、問題なければ似たようなテイストで書かれている書籍を追加購入していくのがおすすめです。

またインターネットなどでは、書籍に関する口コミを確認することもできます。良かった点、悪かった点など実際に使ったユーザーの声を確認できるためぜひ参考にしてみてください。

モチベーションの維持や管理が難しい

次に、勉強を進める上で必要なモチベーションの管理が難しいという点です。先にご説明をした通り、税理士試験の合格までには約4年の歳月と5科目合格という非常に高いハードルをクリアしなければなりません。

4年間に渡る長期の期間、合格に向けて一人で集中して勉強するには強い意志が必要となります。勉強が嫌になったり、わからない部分が出てきても自分で乗り越えていく覚悟が独学での試験合格には求められます。

独学でモチベーションを保つ一つの方法としておすすめなのが、コミュニティーの活用です。SNS上には、同じく独学で合格を目指す人達のコミュニティが多数存在しています。自分と同じ境遇の人に出会うことができれば、切磋琢磨しながら勉強ができるため孤独に感じることが少なくなります。ときに有益な情報交換もできますので、うまく活用をしてみてください。

税理士試験を独学で効率良く勉強する方法とは?

次に、税理士試験に向けて独学で効率的に勉強をする方法について解説します。

多くのことを覚えなければならない税理士試験において、効率的な勉強方法を身につけることは合格の近道となります。すでに勉強を開始されている人も、自分の学習方法をぜひこの機会に見直し効果的に学習を進めてみてください。

受験する科目から選ぶ

税理士試験は必須科目と選択科目の2種類で構成されています。選択科目については、自分が得意な科目を見つけることで勉強を効率的に進める事ができます。

受験に向けて選択科目はどの科目で受験をするか早い段階で見極め、必須科目に関しては苦手と感じるようであれば早急に手を打つようにしてください。

学習用途で選ぶ

参考書を選ぶ際に関しては、知識を学ぶ教科書、実践問題に取り組む問題集の2つを使い分けると効果的な勉強をすることができます。

教科書で知識を学び、問題集で自分の弱点を見つける。この繰り返しをするのが、効果的に知識を身につけることができます。中にはいきなり問題集から取り掛かろうとする人もいますが、それはNGです。

正しい知識の上で問題を解くことにより、出題形式が変わった時にも幅広く対応する力をつけることができます。

参考書や問題集の出版社で選ぶ

参考書や問題集を選ぶ際は、歴史のあるTACや資格の大原から出版されているものを選ぶのも効果的です。

これらの出版社は、資格試験に特化した書籍を発売しているため他の出版社に比べ、受験生にとってわかりやすく、つまずきやすいポイントなどを的確に指摘をしている傾向があります。

また参考書や問題集を複数の出版社から購入すると、解釈や見解が異なり混乱を招くもとになります。極力同一の出版社から出ている書籍で揃えるのがおすすめです。

税理士試験対策でおすすめの予備校

ここまで独学での勉強方法について解説いたしました。独学での資格取得が少し大変そう、講師から学ぶことのできる講座形式の勉強も検討したいと思われた方に、資格講座を開講しているスクールを4つ紹介します。

どのスクールも専門性が高く、独学と合わせて利用することで合格の可能性が高まります。それぞれのスクールの違いを理解し、自分にあったスクールを活用ください。

資格の大原

資格の大原は、日本全国に114の拠点を構え教員数も1,800を超える幅広い教育サービスを提供している機関です。

税理士試験に関しては、2023年3月時点で380を超えるコースが用意され様々なニーズに対応した学習をすることができます。

学習方法についても、教室通学・映像通学・Web通信など受講者の希望に合わせて様々なものが用意されているのが特徴です。コースについては、初学者・学習経験者とレベルに合わせて教材の難易度が複数用意されています。また税理士試験に関しては、自分の苦手な分野を集中して学ぶことのできる科目別コースも用意されています。

このように大手ならではの多種多彩なコースと日本全国に学校がある点が、大原が人気を集める理由の一つとなっています。2019年度においては、税理士試験の合格者のうち57.9%が大原の受講生というのも驚きのポイントです。

TAC

プロフェッショナルな人材を育成することを企業理念に掲げ、40年以上の歴史がある老舗のスクールがTACです。日本全国の駅チカの立地に直営校が22、提携校が12の教室を構えています。

TACの税理士試験のコースについては、すべての科目に対応し、Web通信か通学のどちらか選んで学習を行います。TACの特徴としては、初回の授業料は無料なためどんな雰囲気の授業かを気軽に体験することができます。

また、学習の途中でWeb通信と通学講座を無料で変更も可能です。Web通信を選んだけれど、集中力が続かない。といったよくある失敗体験もTACであれば心配不要です。

またTACは合格実績についても確かな成果を出しており、2011年〜2021年の間に合計3,388名の生徒が実際に税理士試験の合格を勝ち取っています。

CPA

東京CPA会計学院は、税理士・公認会計士・簿記などお金や会計に関する資格を専門に扱うスクールで、東京中野区にある校舎とオンラインで学ぶ事のできる形式を用意しています。

CPAの最大の特徴は、1年間という短い期間で基礎から合格までに必要な知識を集中して学べる点です。1年という短期間で確実な成果を上げるため、「基礎期」・「応用期」・「直前期」と3つの段階に分けたカリキュラムを用意しています。

インプットだけではなく、アウトプットを大切にしているためミニテストや練習問題も多数用意されており、より実際の試験に近い内容で勉強を進めていくことが可能です。

短期集中型の授業となるため受講生の負担は大きくなりますが、短時間で知識の取得を行い実践の場で活躍をしたいと考えている学生さんや社会人の方には特におすすめです。

LEC

LEC東京リーガルマインドは、1979年に創業し日本全国に30校の直営校を構える歴史あるスクールです。受講方式は、他のスクール同様に通学、DVD、Webの3種類から選べるのも嬉しいポイントです。

基礎的な知識などを学ぶコースの他に、直前対策パックと呼ばれる試験の総仕上げを行う、模試や予想答練だけができるコースも用意されています。

またLECの特徴の一つに豊富な割引制度が用意されている点があります。

例えば、昨年から継続して同じ科目を受講すると40%の割引、日商簿記2級以上を取得していると20%の割引を受けることができますさらに試験に合格をすると合格祝賀金がもらえるなど、受講生のモチベーションアップに繋がる施策も行っています。最新のキャンペーン情報は公式WEBも合わせてご確認ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。税理士試験の概要、受験の難易度、独学での勉強方法などについて解説いたしました。

税理士試験は非常に難しい試験で、長期的な勉強が必要とされる試験であることがおわかりいただけたと思います。一方で、正しい知識を事前に身に着け、効率的な方法で勉強をすることで独学でも合格する事のできる試験であることもわかりました。

これから税理士試験を独学で目指す方は、本記事で紹介した方法をうまく活用して勉強のプランを計画してみてください。模擬試験など独学では対策が難しい分野については、その分野だけスクールを併用するといった勉強も効果的です。

さまざまな勉強方法を組み合わせて、試験の合格を勝ち取りましょう。

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