公開:2023.12.18 更新:2025.12.5
公開:2023.12.18
税理士試験の受験資格は?緩和された内容や特例についても詳しく解説
「税理士を目指すのは大変」そう思っていませんか?
令和5年度から、税理士試験の受験資格要件が変更され、ハードルが低くなりました。
税理士試験には試験の免除制度もあります。制度をきちんと理解していれば、資格取得も効率的に進めることが可能です。
今回は、より目指しやすくなった税理士について、受験資格と免除制度について解説します。
目次
H2:令和5年度から税理士試験の受験資格が緩和
令和4年度に税理士法が改正され、令和5年度4月1日以降に実施する税理士試験から受験資格要綱が緩和されました。
今までは全教科に課されていた受験資格が一部廃止され、より早期に税理士資格取得が目指せるようになっています。
会計科目の受験資格を撤廃
税理士試験の受験科目は、「会計学に属する科目」と「税法に属する科目」に大別されます。会計学2科目、税法8科目から3科目を受験して合格する必要があります。
このうち会計学の2科目について、令和5年度から受験資格の制度が廃止され、条件がマッチする人は誰でも受験できるようになりました。
基礎教養を学ぶ必要があるため、税法に属する科目の受験資格要綱は残されていますが、会計学に属する科目については年齢の制限もないため、未成年でも受験できます。
「簿記論」「財務諸表論」は誰でも受験可能!
会計学に属する科目は「簿記論」と「財務諸表論」の2科目で、両科目に合格する必要があります。令和5年度からは、この2科目についての受験資格要綱が撤廃されました。
税理士試験は一度で全部の科目に合格する必要はなく、1科目ずつ受験が可能です。さらに、一度合格した科目は生涯有効です。
税理士登録に至っていなくても、科目合格をしていれば就職活動をする際の評価も高くなります。早いうちから1科目ずつ合格しておくのが良いでしょう。
税理士試験の受験資格を解説
税法に属する科目を受験するための、受験資格要綱は残されています。
次の3つのうち、どれかを満たす必要があります。
・学識による受験資格(社会科学に関する科目を履修)
・資格による受験資格(日商簿記検定1級または全経簿記検定上級に合格)
・職歴による受験資格(関係する職種で2年以上の実務経験)
| 学識による受験資格 | ・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者 ・一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 ・司法試験合格者 ・公認会計士試験の短答式試験に合格した者 |
| 資格による受験資格 | ・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者 |
| 職歴による受験資格 | ・法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者 ・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者 |
学識による受験資格
学識による受験資格は、次の5種類です。
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
・一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者
社会科学とは、人間集団や社会の在り方を主な研究対象とする学問を指しているとされ、いわゆる「専門科目」ではなく「共通科目」「一般教養」として位置づけられていても認められます。放送大学のような通信制の大学でも履修が可能です。
資格による受験資格
資格取得による受験資格は、日商簿記検定1級または全経簿記検定上級に合格していることです。
簿記検定試験には、
・日商簿記検定試験(日商簿記)
・簿記能力検定試験(全経簿記)
・簿記実務検定試験(全商簿記)
の3種類がありますが、全商簿記では税理士試験の受験資格が得られないので注意しましょう。
簿記の試験は、誰でも受けられます。日商簿記の1級と全経簿記の上級は、それぞれの最上位であるため、早いうちから取得を目指すほうが良いでしょう。
また、資格取得により受験資格を満たす場合、合格証明書の提示が必要になります。受験票や合格証では認められません。
職歴による受験資格
職歴による受験資格は実務経験が必要で、以下の3パターンがあります。
・法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事
学校に通わず、実務経験だけで受験資格が得られるため、大学や短期大学を卒業していなくても税理士を目指せます。銀行や保険会社でも問題ありませんが、会計事務所や税理士事務所で実務経験を積むのが良いでしょう。税理士補助として勤務するのが、税理士業務の理解を深めるのに適しています。
税理士の受験資格の特例
税理士試験の受験資格は、一般的に「大学卒業(法律学または経済学の科目履修)」や「特定の会計・税務職歴」などが定められています。しかし、これらの一般的な基準に直接当てはまらない人でも、国税審議会から個別に認定を受けた場合は受験資格が認められる特例措置があります。
現在、この特例として主に以下のケースが該当します。
・海外の大学を社会科学に属する科目を履修した上で卒業した者について、日本の大学等の卒業者と同等であると認められる場合
・商工会・青色申告会のおける記帳指導事務に2年以上従事した者
この特例を利用する際は、必要書類を揃えて国税庁に申請し、個別の審査(認定)を受ける必要があるため、詳細は国税庁のQ&Aなどを確認しましょう。
税理士試験の免除制度とは?
税理士になる資格は、次の4種類です。
・税理士試験に合格した者
・税理士法の規定により、試験科目の全部について税理士試験を免除された者
・弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)
・公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)
試験に合格する以外の項目を、詳しく解説します。
弁護士または公認会計士資格を持っている人
弁護士又は公認会計士の資格を持っていれば、それだけで税理士になる資格があります。
これらの有資格者は、科目試験が免除されるだけでなく、実務経験の必要もありません。また、弁護士・公認会計士として登録をしていなくても、登録資格があるだけで税理士になれるのです。
弁護士と税理士または公認会計士と税理士、というダブルライセンスを取得するのも容易です。仕事の幅を広げるために、ダブルライセンスで活躍されている方も多くいます。
大学院において学位を取得している人
大学院において学位を取得していれば、税理士試験科目の一部が免除されます。
会計学に属する科目で修士の学位の場合は、会計学に属する科目から1科目、博士の学位の場合は2科目両方が免除されます。
税法に属する科目で修士の学位の場合は、税法に属する科目から2科目、博士の学位の場合は3科目すべてが免除されます。
すでに働いていて、大学院に通うのは忙しい方でも問題ありません。通信制の大学院でも、学位の取得はできるので、税理士試験の免除条件を満たせます。
税務署に一定期間勤務していた人
税務署に一定期間勤務すると「国税従事者の免除制度」により、税理士試験の受験科目が免除されます。勤務年数によって、免除科目の数は変わってきます。
10年以上税務署で国税法の賦課・立案業務に従事した国税従事者は、税法に属する科目が全て免除されます。また、23年以上勤務して指定研修を修了することで、会計学に属する科目も免除になります。
国税法の立案・賦課以外の事務に従事する国税従事者の場合は、15年以上の勤務で税法に属する科目が免除されます。また、28年以上勤務して指定研修を修了することで、会計学に属する科目も免除になります。
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税理士の受験資格に関するよくある質問
高卒でも税理士試験は受験できる?
会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)は、学歴に関係なく誰でも受験可能です。税法科目の受験には通常、大学卒業などの学歴が必要ですが、高卒でも一定の職歴(会計・税務に関する事務に3年以上専従)があれば受験できます。また、資格・職歴による受験資格を満たして受験する方法もあります。
通信大学や放送大学でも学歴として認められる?
はい、認められます。税理士試験の受験資格は、最終学歴が大学卒業(学士の学位取得)であれば、通信制大学や放送大学であっても問題なく認められます。
ただし、社会科学に属する科目を1科目以上履修し、62単位以上を取得している必要があります。
税理士試験についてのお問い合わせ先を知りたい
受験資格の確認や試験に関する詳細については、国税庁が公表している情報を参照するのが最も確実です。国税庁ホームページ内の「税理士試験に関するQ&A」を確認するか、国税庁の税理士試験担当窓口(国税庁のサイトで確認可能)に直接問い合わせましょう。
まとめ
税理士になるためには、複数のルートが用意されています。
どれも簡単ではありませんが、必ず大学に行かなければならない、などという制約はありません。受験資格要件が緩和されて、試験を受けやすくなりました。
受験資格を満たせる資格を取得する方法を選択することも可能ですし、実務経験を重ねたり、大学院で学位を取得したりといった方法を選択することも有効です。自分に合った手段で税理士をぜひ目指してみてください。
令和5年度から税理士試験の受験資格が緩和
令和4年度に税理士法が改正され、令和5年度4月1日以降に実施する税理士試験から受験資格要綱が緩和されました。
今までは全教科に課されていた受験資格が一部廃止され、より早期に税理士資格取得が目指せるようになっています。
会計科目の受験資格を撤廃
税理士試験の受験科目は、「会計学に属する科目」と「税法に属する科目」に大別されます。会計学2科目から2科目、税法8科目から3科目を受験して合格する必要があります。
このうち会計学の2科目について、令和5年度から受験資格の制度が廃止され、誰でも受験できるようになりました。
基礎教養を学ぶ必要があるため、税法に属する科目の受験資格要綱は残されていますが、会計学に属する科目については年齢の制限もないため、高校生でも受験できます。
「簿記論」「財務諸表論」は誰でも受験可能!
会計学に属する科目は「簿記論」と「財務諸表論」の2科目で、両方に合格する必要があります。令和5年度からは、この2科目についての受験資格要綱が撤廃されました。
税理士試験は一度で全部の科目に合格する必要はなく、1科目ずつ受験が可能です。さらに、一度合格してしまえばそれは生涯有効となっています。
税理士の資格を取るところまで行っていなくても、科目合格をしていれば就職活動をする際の評価も高くなります。早いうちから1科目ずつ合格しておくのが良いでしょう。
税理士試験の受験資格を解説
税法に属する科目を受験するための、受験資格要綱は残されています。
次の3つのうち、どれかを満たす必要があります。
・学識による受験資格(社会科学に関する科目を履修)
・資格による受験資格(日商簿記検定1級または全経簿記検定上級に合格)
・職歴による受験資格(関係する職種で2年以上の実務経験)
学識による受験資格
学識による受験資格は、次の5種類です。
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
・一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者
社会科学とは、人間集団や社会の在り方を主な研究対象とする学問を指しているとされ、いわゆる「専門科目」ではなく「共通科目」「一般教養」として位置づけられていてもカウントされます。放送大学のような通信制の大学でも、履修することは可能です。
資格による受験資格
資格取得による受験資格は、日商簿記検定1級または全経簿記検定上級に合格です。
簿記検定試験には、日商簿記検定試験(日商簿記)、簿記能力検定試験(全経簿記)、簿記実務検定試験(全商簿記)の3種類がありますが、全商簿記では税理士試験の受験資格が得られないので注意しましょう。
簿記の試験は、誰でも受けられます。日商簿記の1級と全経簿記の上級は、それぞれの最上位であるため、早いうちから取得を目指すほうが良いでしょう。
また、資格取得により受験資格を満たす場合、合格証明書の提示が必要になります。受験票や合格証では認められなません。
職歴による受験資格
職歴による受験資格は実務経験が必要で、以下の3パターンがあります。
・法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事
学校に通わず、実務経験だけで受験資格が得られるため、高卒でも税理士を目指せます。銀行や保険会社でも大丈夫ですが、会計事務所や税理士事務所で実務経験を積むのが良いでしょう。税理士補助として勤務するのが、学びを得やすいのは、間違いありません。
税理士試験の免除制度とは?
税理士になる資格は、次の4種類です。
・税理士試験に合格した者
・税理士法の規定により、試験科目の全部について税理士試験を免除された者
・弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)
・公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)
試験に合格する以外の項目を、詳しく解説していきます。
弁護士または公認会計士資格をもっている人
弁護士又は公認会計士の資格を持っていれば、それだけで税理士になる資格があります。
これらの有資格者は、科目試験が免除されるだけでなく、実務経験の必要もありません。また、弁護士・公認会計士として登録をしていなくても、登録資格があるだけで税理士になれるのです。
弁護士と税理士または公認会計士と税理士、というダブルライセンスを取得するのも容易です。仕事の幅を広げるために、ダブルライセンスで働く方も多くいらっしゃるでしょう。
大学院にて学位を取得している人
大学院において学位を取得していれば、税理士試験科目の一部が免除されます。
会計学に属する科目で修士の学位の場合は、会計学に属する科目から1科目、博士の学位の場合は2科目両方が免除されます。
税法に属する科目で修士の学位の場合は、税法に属する科目から2科目、博士の学位の場合は3科目すべてが免除されます。
すでに働いていて、大学院に通うのは大変な方でも心配ありません。通信制の大学院でも、学位の取得はできるので、税理士試験の免除条件を満たせます。
税務署に一定期間勤務していた人
税務署に一定期間勤務すると「国税従事者の免除制度」により、税理士試験の受験科目が免除されます。勤務年数によって、免除科目の数は変わってきます。
10年以上税務署で国税法の賦課・立案業務に従事した国税従事者は、税法に属する科目が全て免除されます。また、23年以上勤務して指定研修を修了することで、会計学に属する科目も免除になります。
国税法の立案・賦課以外の事務に従事する国税従事者の場合は、15年以上の勤務で税法に属する科目が免除されます。また、28年以上勤務して指定研修を修了することで、会計学に属する科目も免除になります。
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税理士になるためには、試験に合格するだけでなく2年以上の実務経験が求められます。税理士補助として経験を積むか、経理の仕事を行うことで経験を重ねましょう。
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まとめ
税理士になるためには、いろいろな方法があります。
どれも簡単ではありませんが、必ず大学に行かなければならない、などという縛りはありません。受験資格要綱が緩和されて、試験を受けやすくなりました。
資格取得を目指すのも良し、実務経験を重ねたり大学院で学位取得を目指したりするのも良いですね。自分に合った手段で税理士を目指してみませんか?