キャリアコンサルタントの年収を解説!年収アップ方法も紹介
キャリアコンサルタントの年収は少し低めですが、年収アップは可能です。
キャリアコンサルタントは2016年に国家資格となり、働き方が多様化していく中で職業選択・能力開発支援の専門家として注目されました。年々活躍の場は広がっていき、社会から必要とされる職業として需要は増加しています。
今回は、キャリアコンサルタントの仕事内容、年収事情そして年収アップ方法等についてご紹介します。
目次
キャリアコンサルタントとは
厚生労働省のサイトによると、以下のように説明されています。
◆「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。
◆「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
◆「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。
すなわち、キャリアコンサルタントの仕事は、相談者の人生に関わる重要な仕事といえます。
なお、キャリアコンサルタントは、国家資格であり登録制の名称独占資格でもあります。「キャリアコンサルタント試験」に合格後、登録することではじめて名乗ることができます。
参考サイト
・厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
キャリアコンサルタントの仕事内容を解説
ここでは、キャリアコンサルタントの仕事内容について、3つに分けて解説します。
① キャリアカウンセリング
キャリアコンサルタントは、相談者の問題点を明確にし、自ら希望する道に進めるよう支援します。相手の立場に立ち現状を把握することが必要で、安心して不安や悩みを話せるよう信頼されなければなりません。
これまでの経歴やスキル、アピールポイントをヒアリングすることで、キャリアを整理することができます。また、キャリアアップのための手段の提案も行います。
② キャリアサポート
キャリアコンサルタントは、相談者が自分の意志で職業を選択し、希望する職業に就けるように支援します。応募書類の作成サポートも行います。また、相談者に求人企業の実態等の情報提供も行い、ミスマッチやトラブルの排除に努めます。
③ ファシリテーション
キャリアコンサルタントは、学校や企業でのキャリア研修やセミナーを進行する業務も行います。その会合の目的を達成するために、参加者から意見を引き出し活発な議論へと発展させ、内容を整理し合意形成までもっていくスキルが必要です。
多くの方は①と②がメインの仕事となりますが、③をメインにしている方もいます。
キャリアコンサルタントの平均年収は?
キャリアコンサルタントの平均年収はどのくらいなのでしょうか。
労働政策研究・研修機構のデータ(2017年)によると、キャリアコンサルタントの年収は「200万円以上400万円未満」の階層が最も多く、全体の33.2%です。次に多い階層が「400万円以上600万円未満」で、21.5%です。
このことから、平均年収はおおよそ「300万円台後半」と考えられます。
また、国税庁のデータ(2017年)によると、民間企業の給与所得者の平均給与は「432万円」です。すなわち、キャリアコンサルタントの平均年収は、民間平均と比べて少し低い傾向があるといえます。
しかし、キャリアコンサルタントの需要は今後間違いなく増加していくので、平均年収も上がっていくことが予想されます。
キャリアコンサルタントの年収事情を解説
キャリアコンサルタントの年収事情について、上述の労働政策研究・研修機構の2017年のデータを参考に、さらに深掘りして分析を行います。
2017年とやや古いデータですが、現在の状況と傾向は大きく変わっていないのでそのデータを元に分析をします。
「雇用形態」、「就職先」、「年齢」の違いで、どのくらい年収に違いがあるのか見ていきます。民間平均「432万円」と同等以上の年収を得ることは可能なのでしょうか。
1 雇用形態の違い
キャリアコンサルタントの雇用形態別に、年収についてどの階層が多いのかを以下にまとめました。
・経営・管理職: 600万円以上800万円未満、800万円以上
・正社員: 400万円以上600万円未満、600万円以上800万円未満、800万円以上
・非正規社員: 200万円未満、200万円以上400万円未満
・自営業・フリーランス: 200万円未満、200万円以上400万円未満
正規の方が非正規よりも年収が高く、正規の中でも管理職や役員が高い傾向がみられます。また、自営業・フリーランスは非正規と同程度の年収という傾向もみられます。年収432万円以上を狙うのなら、正社員になるのがいいでしょう。
2 就職先による違い
キャリアコンサルタントの就職先別に、年収についてどの階層が多いのかを以下にまとめました。
なお、「教育機関」とは大学のキャリアセンター等、「需給調整機関」とはハローワークや人材派遣会社等、「地域」とは地域若者サポートステーションや女性センター等のことです。
・企業: 400万円以上600万円未満、600万円以上800万円未満、800万円以上
・教育機関: 200万円以上400万円未満、400万円以上600万円未満
・需給調整機関: 200万円以上400万円未満
・地域: 200万円未満、200万円以上400万円未満
最も年収が高いのは企業、次いで教育機関。そして需給調整機関、地域の順に低くなる傾向がみられます。年収432万円以上を狙うのなら、企業に就職するのがいいでしょう。
3 年齢による違い
キャリアコンサルタントの年齢別に、年収についてどの階層が多いのかを以下にまとめました。なお、年齢別の動きがわかりやすい「男性のみ」のデータを使います。
・20代: 200万円以上400万円未満、400万円以上600万円未満
・30代: 200万円以上400万円未満、400万円以上600万円未満
・40代: 400万円以上600万円未満、600万円以上800万円未満、800万円以上
・50代: 800万円以上
・60代: 200万円以上400万円未満、400万円以上600万円未満
・70代以上: 200万円未満、200万円以上400万円未満
20代と30代とでそこまで大きな差はありませんが、管理職や役員に昇進する40代から年収が上がり、50代で最も高い傾向がみられました。60代からは非正規雇用となったり退職するため、年齢が上がるほど低くなる傾向がみられます。しかし、60代や70代以上でも年収600万円以上の方が20%近くいます。独立したりフリーランスとして活動すれば実力次第で高収入を狙うことが可能です。
キャリアコンサルタントに求められる資格
「キャリアコンサルタント」は名称独占資格であるため、国家資格「キャリアコンサルタント試験」に合格し、キャリアコンサルタント名簿に登録しなければ名乗れません。登録後も5年ごとの更新が必要です。
また、実務経験を積んで受験資格の条件を満たした方は、上位資格で国家検定である「キャリアコンサルティング技能検定」(1級と2級がある)の取得もおすすめします。これにより自身のスキルアップやキャリアアップにつながります。
他にも、業務に直接役立つ資格としては、民間資格「CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)」等があります。
さらに、社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士等の資格もキャリアコンサルタント業務との相性が良いです。超難関国家資格の代表格ばかりですが、取得できれば仕事の幅が急激に広がり職場や顧客からの評価も上がります。
キャリアコンサルタントの年収アップ方法!
先述の通り、キャリアコンサルタントの平均年収は民間平均より少し低いです。しかし、企業の正社員として就職し、管理職や役員になるまで勤めれば年収800万円以上も可能です。
ここでは、主としてフリーランスの方が年収をアップさせる方法について、3つご紹介します。
1 カウンセリング単価を引き上げる
長年実務経験を積んでキャリアコンサルタントとしてのスキルに自信がついたら、相場の範囲内で思い切って単価を引き上げることをおすすめします。
ただし、それに見合うだけのスキルが伴っていなければ、顧客が減って収入が下がります。日頃から自己研鑽を怠らず、様々な分野の仕事に積極的に手を広げ、スキルを磨き続けることが重要です。
2 大企業や転職エージェントと契約する
次に、大企業や転職エージェントと契約するという方法もあります。これはどちらかというと副業でプラスαの収入を得るという考え方です。
2016年の改正職業能力開発促進法の施行により、事業主による労働者のキャリア開発支援が義務化されたことで、キャリアコンサルタントを導入する企業が増えています。
マッチングサイトを使い、大企業と外部キャリアコンサルタントの契約をすれば、それなりの報酬をもらうことができます。
また、転職エージェントと業務委託契約を結び、求職者に対するキャリアコンサルタント業務をして報酬をもらうという道もあります。
3 上位資格を取得する
そして、キャリアコンサルタントの上位資格である「1級・2級キャリアコンサルティング技能士」を取得するという方法もあります。これは、フリーランスだけでなく企業等に勤めている方にも有効です。
1級は「指導者レベル」、2級は「熟練レベル」とされ、豊富な経験と高度な知識やスキルの証明になります。フリーランスの方は単価を上げやすくなり、企業勤めの方は職場での評価が上がって昇給・昇進につながり、さらに転職時にも有利な武器になります。
確実に年収アップになるため、実務経験年数等の受験資格の条件を満たした方は、取得することをおすすめします。
キャリアコンサルタントの活躍の場
キャリアコンサルタントの活躍の場は、働き方の多様化に伴い非常に広範囲になっています。
ここでは主要な職場をご説明しますが、これら以外にも様々な領域があります。さらに、フリーランスで活躍している方も多いです。
① 需給調整機関
まずはハローワークや派遣会社等の需給調整機関です。「就職活動の進め方」、「応募書類の書き方・添削」、「キャリアの棚卸し」等が主な相談テーマとなっています。
求職者の年齢や置かれている事情は様々で、女性・障害者・外国人等の特定の分野に強みがあると、それを活かすことができます。
② 一般企業
次に一般企業の人事部等です。「現在の仕事の内容」、「今後の生活設計、能力開発」、「職場の人間関係」等が主な相談テーマとなっています。他にも、部下育成やメンタルヘルス等の相談も多いです。
③ 教育機関
そして学校等の教育機関です。セミナーや授業の講師をしたり学生からの相談を受けたりします。「応募書類の書き方・添削」、「就職活動の進め方」、「面接対策」等が主な相談テーマとなっています。
キャリアコンサルタントの求人情報をチェック
それでは、キャリアコンサルタントの求人件数は実際のところどうなのでしょうか。
大手求人情報サイト「スタンバイ」で、「キャリアコンサルタント」をキーワードにして、雇用形態別に求人数を調べました。(2024年3月28日現在)
・正社員: 376,374件(年収 450万円以上は 27,683件)
・アルバイト・パート: 69,874件(年収 250万円以上は 585件)
・派遣社員: 45,488件(年収 250万円以上は 29件)
・契約社員: 15,299件(年収 250万円以上は 2,451件)
・業務委託: 1,022件(年収 250万円以上は 139件)
・新卒: 352件(月給 20万円以上は 326件)
正社員の求人件数は 37万件以上もあり、年収 450万円以上も 2万件以上ありました。ちなみに、「ITエンジニアの正社員」は 220,928件、「経理の正社員」は 123,661件です。
キャリアコンサルタントの正社員として働きたい方は、求人が少なくて困る心配はありません。
最短最安で国家資格者になれる!オンライン【キャリアコンサルタント養成講習】がおすすめ!
キャリアコンサルタントになるには、まずは「キャリアコンサルタント試験」に合格しなければなりません。しかし、試験合格を目指して勉強を始めてもやる気が出ず挫折する方もいらっしゃると思います。
そんな方には、「地域連携プラットフォーム」によるキャリアコンサルタント養成講習をおすすめします。
授業は完全オンラインで、学科はもちろん多くの方が苦労する論述や面接の対策も万全です。知識ゼロからでも、一流の講師による丁寧な指導により3カ月で基礎から学べるカリキュラムになっています(1.5カ月の「最速コース」もあります」)。
しかも、厚生労働大臣が認定するキャリアコンサルタント講習に該当するため、修了すればキャリアコンサルタント試験の受験資格を得ることができます。さらに、資格取得後も就職等の手厚い支援を受けられます。
講座説明会や質問受付会も開催しているので、お気軽にご参加してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、キャリアコンサルタントの年収事情とそのアップ方法をメインにご紹介しました。
・キャリアコンサルタントはキャリアコンサルティングの専門家。国家資格で名称独占資格。
・仕事はキャリアカウンセリングやキャリアサポートがメインである。
・平均年収は「300万円台後半」と考えられ民間平均「432万円」より少し低い。
・企業の正社員として就職し管理職や役員になれば、年収800万円以上も狙える。
・フリーランスで年収アップするには、「単価を上げる」、「企業と契約する」、「上位資格を取る」という方法がある。
・活躍の場は「需給調整機関」、「企業」、「教育機関」等、幅広い。
・正社員の求人は他の職種と比べて非常に多い。
キャリアコンサルタントは今後ますます需要が高くなると予想され、将来性の高い職業です。人の役に立ちたい方やコミュニケーションを取るのが得意な方は、目指してみてはいかがでしょうか。