税理士のなり方とは?大学生や高卒社会人で税理士になりたい方必見!
この記事では税理士を目指している人に向けて、税理士のなり方をまとめました。
士業は試験をパスすればなれるイメージがありますが、税理士試験に合格しただけでは税理士にはなれません。さらに、税理士試験の受験にも条件があるので、これから税理士になりたいと考えている人は注意が必要です。
この記事を読めば税理士試験の概要から、税理士と名乗れるまでの流れがわかります。税理士になりたい人や税理士になれるのかを知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
税理士のなり方とは?
税理士になるには「税理士になる資格を持つこと」と「実務経験」が必要です。
では、税理士になる資格はどのようにして得るのでしょうか。一般的には税理士試験の合格が税理士資格を得るための主な方法です。
ここでは税理士になりたい人が受ける税理士試験と、試験の概要を詳しくみていきましょう。
税理士試験に合格する必要がある
税理士になりたい人が最初に目指すのが、税理士試験に合格することです。
税理士試験は大学生や社会人、高卒や現役高校生などでも受験できますが、簡単に合格はできません。
税理士試験の合格率は平成30年度が20.1%、令和2年が18.1%、令和3年が20.3%、令和4年が18.8%と毎年20%前後となっています。
税理士試験は難関ですが、社会人や大学生で税理士を目指すなら、税理士試験への合格が現実的な方法と言えるでしょう。
税理士試験は会計科目と税法科目の試験がある
税理士試験は税理士になる資格があるのか、会計や税の専門的な知識が問われる試験です。税理士試験は「会計学科目」と「税法科目」の2つで構成されています。
会計学科目は、簿記論と財務諸表論の2科目にわかれており、どちらも必須科目です。会社の帳簿管理から決算整理までを行える知識や、会社の経営状況を正確に読み取り資料を作成する能力があるかなどが問われるのが会計学科目です。
税法科目は下記の9科目にわかれており、内3科目を選択し受験します。ただし、所得税法と法人税法のどちらかの受験は必須なので注意してください。
・所得税法
・法人税法
・相続税法
・消費税法又は酒税法
・国税徴収法
・住民税又は事業税
・固定資産税
税法科目では説明を求める記述の問題が多く、各税法に関しての知識を活用する能力があるかが問われます。
「又は」と記載のある科目はどちらかを選んで受験するので、例えば「住民税」と「事業税」の両方は選択できません。
税理士試験の受験資格と合格条件
税理士試験は他の士業の試験と比べて、受験資格を得やすいのが特徴です。
例えば、税理士試験の受験資格に年齢制限はありません。税理士試験の会計学科目は、誰でも受験が可能です。ただし、税法科目は一定の受験資格がないと受験できません。
ここでは税理士試験の受験資格と合格条件を詳しく紹介します。税理士試験への合格は会計学科目と税法科目に合格して叶うことなので、税理士になりたい人は税法科目の受験資格があるかを確認しましょう。
税法科目を受験するには学識・資格・職歴いずれかの要件を満たす必要がある
記事の前半でお伝えしたように、税理士試験には会計学科目と税法科目があります。
会計学科目は令和5年の試験より受験資格要件がなくなったため、誰でも受験できます。受験資格が厳しいのは、税法科目です。といっても、会計学科目と同様に令和5年度より受験資格要件が緩和されたため、以前と比べると受験資格を得るのは難しくありません。
税法科目は学識・資格・職歴に各要件があり、いずれか1つを満たすことで受験できます。いずれを選択するにしても、要件を満たしていることの証明書が必要なので忘れずに準備してください。
では学識・資格・職歴、税理士試験の受験資格をそれぞれ詳しくみていきましょう。
学識による受験資格
■ 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
■ 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
■ 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
■ 司法試験合格者
■ 旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者
■ 公認会計士試験の短答式試験に合格した者(平成18年度以降の合格者に限る)
■ 公認会計士試験短答式試験全科目免除者
高卒以上の学歴を証明できる方と他士業の試験に合格している方におすすめなのが、学識による資格試験です。
例えば、「4年制大学の経済学部を卒業した」「すでに公認会計士の試験に合格している」といった人が考えられるでしょう。令和5年の試験からは、受験資格の学歴の部分が「法律学又は経済学」から「社会科学」となったため、教育学や心理学などを学んだ学生でも受験できるようになりました。
他にも社会科学に属する科目には社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、福祉学、統計学などの科目があります。文系だから理系だからと、学部で税理士試験の受験を諦めていた方は再確認をしてみましょう。
資格による受験資格
■ 日商簿記検定1級合格者
■ 全経簿記検定上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る)
最終学歴が高卒でも諦める必要はありません。税理士試験は上記の検定合格者にも受験資格があるからです。
日商簿記検定1級の合格者は10%程度と難関なので厳しい道ではありますが、学識や職歴がないところから税理士を目指すのであればおさえておくべき資格です。税理士試験の会計学科目でも役立つので、簿記の勉強や知識が無駄になることはありません。
職歴による受験資格
■法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者(複式簿記による仕訳、決算、財務諸表作成事務等)
■銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
■税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
会計や税に関する仕事に2年以上就いている社会人におすすめなのが、職歴による受験資格です。同じ職場でも、異なる職場でも経験が通算で2年以上あれば受験資格が得られます。
ただし税理士事務所で受付のみ、データ入力のみなど、専門的な知識を必要としない業務だけに携わっている人は受験資格にならないので注意しましょう。
職歴による受験資格では働いてる場所ではなく、専門的な知識を活用して仕事をしているかがポイントです。
税理士試験の合格条件
税理士試験の合格条件は各科目で満点の60%を取ることです。各科目とは会計学科目2つ、税法科目3つの計5つを指します。
合格した科目は次の税理士試験に繰り越せ、生涯有効です。
税法科目は選択性のため各科目の合格率が異なり、平成29年~令和4年の税法科目の各科目の受験者数と合格者から、合格率を出すと下記のようになりました。
①住民税:15.78%/②固定資産税:14.62%/③法人税法:13.16%
④酒税法:12.80%/⑤事業税:12.79%/⑥所得税法:12.77%
⑦国税徴収法:12.45%/⑧相続税法:12.13%/⑨消費税法:11.94%
過去6回の結果から考えると、必須科目は法人税法を選んだほうが、やや合格率は高くなっています。税法科目を各科目の合格率で選ぶか、税理士になった後に自分の強みとなる科目を選ぶかはあなた次第です。
税理士試験には免除制度がある
そもそも税理士試験は、税理士になりたい人が税理士になるための資格を得るために受ける試験です。
なので、会計や税に関して専門的な知識をすでに持っていると認められている人は、税理士試験が免除されます。では具体的にどのような人が、税理士試験免除の対象となるのでしょうか。
次で、税理士試験が免除される人を詳しく紹介します。
弁護士または公認会計士資格を有している人
弁護士や公認会計士の資格がある人は、税理士となる資格があるので、税理士試験は免除となります。
ただし、あくまでも弁護士の資格を有している人なので、司法試験に合格しただけでは税理士試験免除にはならないので注意してください。
司法試験の合格者は、税理士試験の学識による受験資格になり、試験免除の対象ではありません。
公認会計士の場合は『公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した公認会計士』と定められているので注意してください。
このように、弁護士や条件に当てはまる公認会計士は試験免除の対象となります。
大学院にて学位を取得している人
大学院にて学位を取得している人は、個人の研究分野によって税理士試験の一部が免除されます。ただし大学院生で学位を授与されている人の全てが、試験免除の対象ではありません。
下記の全ての要件を満たす必要があります。
・税理士法第7条第2項又は第3項等に基づき、修士の学位を授与されている
・研究指導に基づく修士論文等の写しを提出できる
・研究が税法に属する科目等又は会計学に属する科目等に関するものであることについて国税審議会から認定を受けた
修士学位を取得した人で税理士試験の免除を検討している方は、合格した試験や審査が税理士法第7条第2項又は第3項等に基づいていたものかを確認する必要があります。
税務署に一定期間勤務していた人
・10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者(税法科目の免除)
・23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者(会計学科目の免除)
税務署に一定期間勤務していた人も税理士試験の免除の対象です。勤務年数や指定研修を受けたかによって、税理士試験で免除される科目が違います。
30代後半〜40代にかけて次のキャリアを考え、税理士試験を受ける選択肢もあるでしょう。税務署に勤務して得た知識だけでなく、経歴も一部の試験免除に役立ちます。
税理士試験に合格したら税理士として登録する
税理士試験に合格し「税理士になれる資格」を得たら、税理士として登録をしましょう。
登録は「税理士になれる資格を持っていること」と「実務経験」が前提条件です。登録の際に実務経験の日数が足りないと、税理士にはなれないので注意してください。
ここでは税理士試験に合格後、税理士を名乗るまでの流れを具体的に紹介します。
日本税理士会連合会に登録することで税理士を名乗れるようになる
税理士になるには、日本税理士会連合会への登録が必要です。
登録には必要書類の提出と、登録免許税領収証書として6万円、登録手数料として5万円がかかります。登録の申請をしたら、税理士として能力や人柄に問題がないか調査され、登録が決定されたら登録通知が送られてきます。
登録決定までの期間は2〜3ヶ月ほどかかるので、書類を提出してすぐに「税理士」を名乗らないよう注意しましょう。
登録がない状態では「税理士になる資格を持っている」だけなので、税理士を名乗ることや税理士のみが行える独占業務はできません。税理士を名乗って仕事をするためには、日本税理士会連合会への登録が必須です。
日本税理士会連合会に登録するには2年以上の実務経験が必要
・租税に関する事務
・会計に関する事務で政令で定めるもの
日本税理士会連合会に登録するには、上記いずれかの実務経験が2年以上必要です。
転職によって複数の会社で上記の実務経験を積んだ場合は、合算して計算しましょう。実務経験とは、税と会計の知識を活用して仕事をする能力や実績を確認するものを指します。
そのため会計事務所で事務をしていても、帳票されたものを入力するだけでは実務経験として扱われないので注意してください。
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最短で税理士になるには実務経験を積みながら、税理士試験を受けるのがおすすめです。
現在の職場では実務経験が積めない人は、まずは経理や法務などの管理部門や会計事務所への転職を得意とするエージェントに相談してみましょう。
しかし、税理士試験の勉強を考えると、転職先を探すのに時間をかけるのはもったいないですよね。そこで今回は、確かなマッチング力で、スピーディーに満足いく転職のサポートをしてくれるヒュープロをおすすめします。ヒュープロで転職成功をした人の満足度は92%と高く、掲載している求人のなかには未経験でも応募できるものが多くあります。
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まとめ
この記事では、税理士のなり方を詳しく紹介しました。
税理士になるには資格と実務経験、そして登録が必要となり、誰もがなれるわけではありません。一方で税理士になる資格を得るために受ける税理士試験は受験資格のハードルが低く、高卒や大学生でも受けられる試験です。
実務経験を積める会社へ転職をすれば社会人として働きながら、勉強もできるでしょう。税理士には独占業務があるため、将来的に仕事がなくなる心配が少ないおすすめの職業です。
税理士試験を受けて、税理士への一歩を踏み出しましょう。