独学で心理カウンセラーの資格は取得できる?おすすめの資格を徹底解説!
対話を通して、相談者の悩み解決の手助けをする心理カウンセラー。心理カウンセラーの資格を取得したいと思ったときに「独学で取得できるのか?」ということは、まず最初に気になるポイントでしょう。
結論からいうと、心理カウンセラーの資格は多数あり、独学で取得できるものと、できないものとにわかれます。「自分が心理カウンセラーとして何をしたいのか?そのためにどの資格を取得すべきなのか?」により、独学で取得できるかどうかは変わってくるのです。
この記事では、心理カウンセラーの資格について、独学で取得できるものとできないものを紹介します。また、独学で資格取得を目指すメリットとデメリット、独学のおすすめ勉強法についてもお伝えします。参考にしてください。
目次
心理カウンセラーの資格は独学で取得できるの?
心理カウンセラーの資格は多数あり、独学で取得できるものと、できないものとにわかれます。
独学で取得できない資格は、大学での指定科目の履修や指定大学院の修了、養成講座の修了などが必要です。また、中にはこれらの過程を修了後、さらに資格試験に合格しなければならないものもあります。
独学で取得できないものは、基本的には難易度が高く、社会的認知度や信頼度も高くなっています。そのため、特に、心理カウンセラーを仕事にしたい方におすすめです。
一方、独学で取得できる資格は、比較的難易度が低めになっています。学んだ知識を活かして仕事をする方もいらっしゃいますが、どちらかというと自分を癒やしたい方や、コミュニケーション能力をUPしたい方などに人気となっています。
心理カウンセラー資格を取得する目的に合わせて、どちらの資格にチャレンジするかを決めましょう。
独学で取得できない心理カウンセラーの資格は?
「臨床心理士」「認定心理士」「公認心理師」「産業カウンセラー」は、独学で取得できない心理カウンセラー資格の代表格です。
特に、臨床心理士・認定心理士・公認心理師の3つは、大学や大学院で心理学などを専攻することが資格取得の条件となっており、ハードルが高くなっています。
産業カウンセラーについては「産業カウンセラー養成講座」を修了することでも受験資格を得られますが、講座には面接の体験学習なども含まれるため、独学よりはハードルが高いでしょう。
引き続き、この4つの資格について詳しく紹介しますので、ご覧ください。
参照:産業カウンセラー養成講座|一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
臨床心理士
臨床心理士とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、相談者のこころの問題にアプローチする専門家です。相談者の数だけある多種多様な価値観を尊重しながら、その相談者の自己実現をサポートします。
数ある心理カウンセラー資格の中でも知名度・信頼性・専門性が高く、資格所有者は病院・学校・児童相談所・家庭裁判所など幅広い場所で活躍しています。
臨床心理士資格は、公益財団法人日本臨床心理士資格協会が実施する「臨床心理士資格試験」に合格することで取得可能です。
ただし、臨床心理士資格試験は誰でも受けられるわけではなく、基本的には指定の大学院を修了した人、または指定の大学院を修了後に1〜2年の実務経験がある人しか受けられません。
実務経験が必要かどうかは、指定大学院の種類により異なります。指定大学院の一覧は、日本臨床心理士資格認定協会の公式ページから見られますので、チェックしてみてください。
認定心理士
認定心理士資格は、大学や大学院で、心理学に関する最低限の基礎知識・技術を修得したことを証明できる資格です。
例えば、大学の「教養学部」や「人間科学科」で心理学を重点的に学んだなど、学部・学科名と心理学を学んできたことが結びつきにくいケースがあります。そのようなケースにおいて、認定心理士資格があれば、自分の得意分野が心理学であることをアピールしやすくなるでしょう。
認定心理士資格は、公益社団法人日本心理学会に申請書を提出し、心理学の専門家として仕事するために必要な知識と技能を習得していると認定されれば取得できます。特別な試験を受ける必要はありませんが、認定されるためには3つの条件を満たしていなければなりません。
条件は「4年制大学を卒業、もしくは大学院修士課程を修了している」「16歳以降に通算2年以上日本に滞在した経験がある」「認定心理士認定資格細則が指定する心理学関係の単位を修得している」というものです。申請前に自分に当てはまるかを必ず確認してください。
公認心理師
公認心理師資格は、日本の心理カウンセラー資格のうち唯一の国家資格です。保険医療・福祉・教育などの分野において、心理学に関する専門知識・技術をもって、心理状態の分析・心理に関する助言や指導・心の健康に関する知識の普及を行うことができます。
公認心理師の仕事内容は、上述した臨床心理士とほとんど同じです。ただし、公認心理師は2018年に初めて試験が開始された新しい資格なため、今後は国家資格である公認心理師資格を持っていないとできないことが出てくる可能性が高いといわれています。
公認心理師資格は、文部科学省・厚生労働省指定の一般財団法人日本心理研修センターが、年1回各地で行う国家試験に合格すれば取得できます。
試験の受験資格は「大学と大学院で指定科目を修める」「大学で指定科目を修めた後、指定施設で2年以上実務経験を積む」「ほかの2つの条件と同等かそれ以上の知識・技術を有する」のいずれかです。詳細は厚生労働省の公式ページから見られますので、チェックしてみてください。
参照:公認心理師|厚生労働省
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、職場でカウンセリングを行うことができます。心理学的手法により、働く人たちが抱える問題を、本人たちの力で解決できるようサポートするのが主な業務です。
キャリアナビゲーター・職場における人間関係開発や職場環境改善への支援者・リストラで苦しむ人の援助者などとして活躍しています。
産業カウンセラー資格は、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が、年1回主催する産業カウンセラー試験に合格することで取得できます。試験の受験資格は「産業カウンセラー養成講座を修了している」「大学院で指定の専攻を修了している」などです。
詳細は日本産業カウンセラー協会の公式ページから見られますので、チェックしてみてください。
参照:2022年度 産業カウンセラー試験について|一般社団法人 日本産業カウンセラー試験
独学で取得できる心理カウンセラーの資格は?
心理カウンセラーの民間資格の中には、独学で取得できるものもあります。
特に「心理学検定」と「メンタルヘルス・マネジメント検定」は、独学だけで勉強から資格の取得までが可能なため、時間的・経済的理由などにより学校に通うのが難しい方にもおすすめです。
どちらの資格も、心理職のプロフェッショナルとして活躍するためにはやや物足りないともいわれます。しかし、実践的な内容を習得できるので、日常生活や心理職以外の仕事で心理学を役立てたいという場合には、価値ある資格となってくれるでしょう。
引き続き、この2つの資格について詳しく紹介しますので、ご覧ください。
心理学検定
心理学検定は、大学卒業レベルの心理学の基礎知識・能力を認定するもので、心理学の基礎資格として活用されることを目的につくられました。心理学系の大学院入学や、公認心理師などのより専門的な資格取得を目指す方が、その前段階として取得することも多い資格です。
心理学検定は、一般社団法人日本心理学諸学会連合が年2回行う試験に合格することで取得できます。受験資格は特に設けられておらず、学歴や年齢問わず誰でも受験可能です。心理学検定の概要については心理学検定公式ページから見られますので、チェックしてみてください。
参照:心理学検定概要| 一般社団法人日本心理学諸学会連合 心理学検定
参考:https://www.brush-up.jp/guide/sc49/self_education
メンタルヘルス・マネジメント検定試験
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、働く人たちのメンタルヘルスの不調に対処したり、未然防止することを目的としてつくられました。職場内の役割に応じて必要な、メンタルヘルスに関する知識や対処法を習得できます。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験には、公開試験と団体特別試験の2種類があります。どちらも学歴や年齢などによる受験制限はありませんが、団体特別試験の場合は原則10人以上での受験が条件となっています。
試験概要についてはメンタルヘルス・マネジメント検定試験公式ページから見られますので、チェックしてみてください。
心理カウンセラーの資格を独学で取得するメリットとは?
心理カウンセラー資格を独学で取得することには「自分のペースで学習できる」「費用を抑えられる」というメリットがあります。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
自分のペースで学習できる
独学には、自分のペースで学習できるというメリットがあります。
大学や大学院、養成講座などに通う場合、指定の日時に合わせて通学する必要があります。受講時間や通学時間の確保を最優先に考えなければいけないため、社会人や主婦の方の場合、仕事・家事・育児に影響が出てしまうことも少なくないでしょう。
また、学校や講座では、基本的にはカリキュラムにそって学習が進められていきます。そのため、自分の苦手な分野に多くの時間をさくといったことは難しく、効率的に学習を進められない可能性もあります。
その点、独学なら、仕事が終わった後や子供が寝た後などの空いた時間に取り組むことも可能です。また、苦手分野に重点を置いて取り組めば、効率良く理解を深められるでしょう。
費用を抑えられる
費用を抑えられるというのも、独学の大きなメリットです。
独学の場合、かかる費用はテキスト代くらいです。「心理学検定」と「メンタルヘルス・マネジメント検定」には公式テキストがありますが、高いものでも1冊4,700円程度で購入できます。数冊使うとしても1万円程度あれば十分ということになります。
一方、心理学が学べる大学や大学院に通う場合には、卒業までに数十万〜数百万円かかるのが一般的です。
例えば、臨床心理学が学べる私立大学院の場合、入学金として15〜20万円程度、授業料として年額50〜70万円程度が必要になるといわれます。また、産業カウンセラー養成講座を受講する場合、受講料として30万円程度かかります。
独学を選べば、通学する場合の数十分の一程度に費用を抑えられるというわけです。
6か月コースと10か月コースの比較|一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
心理カウンセラーの資格を独学で取得するデメリットとは?
心理カウンセラー資格を独学で取得することには「独学では取得できない資格がある」「モチベーションの維持が難しい」というデメリットもあります。それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
独学では取得できない資格がある
心理カウンセラー資格の中には、大学や大学院を修了することが取得の条件となっているものもあります。「臨床心理士」「認定心理士」「公認心理師」などがその代表です。
このような独学で取得できない資格は、専門性や社会的認知度が高く、取得後の活躍の幅も広くなります。そのため、心理職のプロフェッショナルとして活躍したいと考える場合は、独学で取得できない資格に挑戦する必要が出てくるかもしれません。
独学で資格取得を目指す場合、その資格を取得することで、自分が心理カウンセラーとしてやりたいことが実現できるのかをよく考える必要があります。
モチベーションの維持が難しい
モチベーションの維持が難しいというのも、独学のデメリットです。
心理学系の大学や大学院、養成講座に通う場合、クラスメイトは自分と同じこころざしを持っています。勉強に行き詰まったとき、将来心理カウンセラーとして活躍できるか不安に思ったとき、同じ目標を持つクラスメイトの姿に励まされることもあるでしょう。
しかし、独学の場合、こうした同志は側にいません。モチベーションが下がらないように、合格者の体験談をネットで探す・受験生をSNS上で探して声を掛けるなど、工夫が必要になるでしょう。
独学での心理カウンセラーの資格取得が向いている人の特徴
独学で心理カウンセラー資格取得を目指すのに向いているのは「自分自身をコントロールできる人」や「心理学の基礎知識がある人」です。どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
モチベーションの維持ができる人
どんな資格においても、モチベーションを維持して最後まで勉強をやり遂げられるかは、合格の鍵を握る重要なポイントです。
独学では同じこころざしを持つ仲間を見つけにくいため、大学や養成講座などに通う場合よりもモチベーションの維持が難しくなります。しかし、自分から積極的に動くことで、独学でもモチベーションを維持することは可能です。
例えば「心理学検定 独学 ブログ」とネット検索すれば、独学で合格を勝ち取った人の体験記が複数ヒットします。また、Twitter上で「心理学検定」と検索すれば、同じ目標を持つ人と簡単につながることができるでしょう。
どんなときもモチベーションが一定という人はほとんどいません。最後までやり遂げられる人は、モチベーションを維持する努力をしているだけです。今は、ネットやSNSを活用してモチベーション維持をしやすい時代なので、積極的に利用してみましょう。
スケジュール管理が可能な人
独学で心理カウンセラー資格取得を目指す場合、自分でスケジュール管理をしなければなりません。
大学や大学院、養成講座などに通う場合、それらのスケジュールに自分の予定を合わせなければならないという大変さがあります。
しかし、学校や講座では、あらかじめ万人が無理なく取り組みやすいスケジュールが組まれているため、流れに乗って最後まで学習を進めることはそこまで難しくありません。
一方、独学では、仕事や家族の予定に合わせてスケジュールを組むことができます。しかし、ハードなスケジュールを組んでしまい、モチベーションが維持できなくなったり体調を崩したりして、学習が進まなくなることは珍しくありません。
このように独学では、最初に決めたスケジュール通りに進まなくなることが多々あります。そのため、都度、進捗状況と照らし合わせてスケジュールを軌道修正していく必要があり、スケジュール管理に時間や労力がかかるのです。
心理系の勉強をしたことがある人
心理学の勉強をしたことがある人や、すでに心理学系の資格を有している人も独学に向いています。
これらの人は、ベースとなる心理学の知識が身についているため、知識ゼロの初学者に比べて知識の吸収が早くなります。自分の苦手分野などもある程度わかっているため、スケジュール管理も適切に行うことができるはずです。
また、医療や福祉の現場で働いた経験があり、心理学の大切さを理解している人も独学向きといえます。現場で求められることがわかっているので、仕事につながる分野を重点的に学習するなど、効率的な方法で学習を進められるでしょう。
独学で心理カウンセラーの資格を取得するための勉強方法とは?
ここまでご覧になってきた方の中には「独学で心理カウンセラーの資格を取得するための、具体的な勉強法が知りたい」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
心理カウンセラー資格を独学で目指す場合「本を読む、もしくは目指す資格試験の過去問を解く」「セミナーを受講する」という方法で勉強するのがおすすめです。それぞれの方法について、引き続き詳しく見ていきましょう。
本を読む、もしくは目指す資格試験の過去問を解く
本を読む、もしくは目指す資格試験の過去問を解くことは、独学の王道勉強法といえます。
独学で取得できる心理カウンセラー資格の代表格である「心理学検定」と「メンタルヘルス・マネジメント検定試験」は、試験主催団体から公式テキストが発行されています。まずは、これらの公式テキストを用いて独学に取り組んでみましょう。
心理学検定を主催する一般社団法人日本心理学諸学会連合からは、現在4冊の公式問題集が発行されていますが、中でもおすすめなのは下記の「心理学検定 公式問題集 2023年版」です。公式問題集の最新版となりますので、ぜひチェックしてみてください。
【心理学検定のおすすめ公式問題集】
一般社団法人 日本心理学諸学会連合 心理学検定局 編
第15回検定で出題された過去問を厳選して紹介した1冊です。受験ガイドや10科目の模擬問題合計450問も掲載されています。詳しい解説つきなので、初めて心理学検定を目指す方や、心理学の勉強自体が初めてという方にもおすすめです。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験を主催する大阪商工会議所からは、現在3冊の公式テキストが発行されています。中でも、下記の「メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト Ⅲ種 セルフケアコース 第5版」は、Ⅲ種(セルフケアコース)を受験する一般社員向けの最新テキストとなっています。Ⅲ種(セルフケアコース)を目指す方はチェックしてみてください。
【メンタルヘルス・マネジメント検定試験のおすすめ公式テキスト】
メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト Ⅲ種 セルフケアコース 第5版
大阪商工会議所 編
メンタルヘルスケアの意義、ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識など、Ⅲ種(セルフケアコース)の出題内容にそった勉強ができる1冊です。他社からもテキストは発行されていますが、こちらのテキストに準拠したものが多いため、まずはオリジナルのこちらで勉強するのがおすすめです。
参照:メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト Ⅲ種 セルフケアコース 第5版|Amazon
セミナーを受講する
独学というと、テキストや問題集を使って1人黙々と勉強する方法を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、勉強にメリハリをつけるため、ときにはセミナーを受講するのもおすすめです。
心理カウンセラー関係の資格試験を主催する団体の中には「受験対策講座」などのセミナーを開いているところもあります。セミナーでは、講師から噛み砕いた説明を聞けるため、理解を深めることができるでしょう。また、受講者同士でコミュニケーションをとれることもあり、モチベーションを回復するのにも役立つはずです。
会場に足を運んで受講するものだけでなく、オンラインで手軽に参加できるセミナーもありますので、検討してみましょう。
まとめ
心理カウンセラー資格には独学で取得できるものと、独学では取得できないものがあります。
独学で取得できる資格の代表格は「心理学検定」や「メンタルヘルス・マネジメント検定試験」で、どちらも資格試験を受験するための条件が特に設けられていません。
受験へのハードルが低いことが魅力の資格ですが、心理職のプロフェッショナルとして活躍するには物足りないといわれることも多く、どちらかというと自分自身を癒やしたい方やコミュニケーション能力をUPさせたい方におすすめの資格となっています。
一方、独学で取得できない資格には「臨床心理士」「認定心理士」「公認心理師」などがあります。どれも大学や大学院の修了が取得条件の一つになっており、ハードルが高い資格です。
ただし、これらの資格は専門的な知識が身につき、社会的信頼度も高いことから、心理職のプロフェッショナルを目指す方にもおすすめできます。
自分が心理カウンセラーとして、どんな場所でどんなふうに活躍したいのかをよく考えて、挑戦する資格を決めましょう。独学で取得できる資格を目指す場合は、この記事で紹介した勉強方法も参考にしてみてください。