簿記2級は独学でも合格できる?勉強方法のコツなどを徹底解説!
日商簿記検定は正式名称を「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験」といいます。公的な資格として1954年の第1回試験から60年以上という長い歴史がある資格です。
簿記は経理に関する資格として有名で、取得を目指していない人でも名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。日商簿記には、初級から1級までの4つの試験があります。そして、今回は日商簿記2級にフォーカスして「独学で合格する」ための勉強方法やコツを詳しく解説していきます。
目次
簿記2級は独学で合格できる?
日商簿記検定には受験資格がなく、独学で取得を目指せる資格です。2級の難易度は決して低くなく、簿記の基礎的な知識が問われる3級と比較して2級では、出題範囲が広くなり専門性が高くなります。加えて、3級にはない工業簿記の分野の知識も問われます。配点は、商業簿記で60点、工業簿記で40点となり、合格基準は70点です。
簿記2級ってどんな資格?
簿記は、経理に関する資格です。試験を行っているのは日本商工会議所で、試験は毎年3回で2月、6月、11月に実施されています。
簿記2級では、経理に関する基礎だけではなく、企業の経営状況を理解した上での経理実務の知識が求められます。商業簿記に加えて工業簿記の科目が加わるため、簿記3級より難易度・専門性ともに高くなります。
工業簿記とは、企業における部門別の製品別のコストや、資材などの使用をすべて記録して計算するというもので製造業において欠かすことができないものです。
このように、専門性が高い簿記2級は一般企業から求められる資格として上位に名前があがる資格でもあり、取得していれば就職や転職に有利な資格といえます。受験資格はとくに定められておらず、簿記3級を持っていなくても2級から受験することもできます。
簿記2級の合格基準と難易度
転職や就職に有利な簿記2級の合格率と合格基準をチェックしましょう。簿記2級の合格基準は100点満点のうち70点を取ることです。そして、合格率は以下のようになっています。
実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2022.11.20 | 15,570名 | 3,257名 | 20.90% |
2022.6.12 | 13,118名 | 3,524名 | 26.9% |
2022.2.27 | 17,448名 | 3,057名 | 17.5% |
2021.11.21 | 22,626名 | 6,932名 | 30.6% |
2021.6.13 | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
合格率は難易度や受験者数、試験内容で変化していますが、だいたい合格率15%から30%で推移しています。合格する人より不合格の人の方が多い試験です。
独学で取得を目指せる資格ではありますが、近年は合格率が下がっており、簿記2級試験の難易度が上がっていると言われています。同データによれば、簿記3級の合格率は43%〜56%程度です。基礎的な知識が問われる簿記3級より簿記2級の方が難易度が高いことは合格率にも現れています。
簿記2級に独学で受かるための勉強時間は?
簿記2級に独学で合格するためには、どのくらいの勉強時間が必要なのでしょうか。必要な勉強時間を把握して、学習スケジュールに役立てましょう。
簿記経験者が簿記2級を独学で取得する場合
すでに簿記3級を取得していて基礎的な簿記の知識があるひとが独学で簿記2級を取得する場合に必要な勉強時間はおおよそ250〜350時間です。
すでに簿記を持っている経験者であっても、最低でも250時間の勉強時間を必要とする難易度の高い資格です。
学習スケジュールを立てる時には、簿記3級の出題範囲でもある基礎をしっかりと固めた上で、さらにそこから2級合格に必要な専門性と簿記2級で追加される工業簿記をマスターするするための十分な学習時間を確保できるようにしましょう。
独学で簿記2級に合格するためのコツとは?
簿記2級に独学で合格するためには、ただ手当たり次第に勉強するのではなく効率よく学習を重ねることがポイントとなります。難易度が高い資格ではありますが、効率よく適切な学習をすれば、簿記2級は独学でも目指せる資格です。合格のためのコツを解説します。
商業簿記・工業簿記の両方をマスターする
簿記2級の試験では、商業簿記と工業簿記(原価計算を含む)の分野からそれぞれ問題が出題されます。第1問から第3問までが商業簿記からの出題で、第4問と第5問は工業簿記からの出題となります。
前述のとおり、この両方を合計して全体で正答率が70%以上であれば合格となります。
簿記2級では、商業簿記と工業簿記の両方の知識が必要です。どちらかに偏ることなく、上手くバランスを取って勉強することが大切です。
まずは、テキストを複数回読み込んでしっかりと内容を頭に入れていきましょう。その後は、過去問をひたすら解いて出題範囲や出題傾向を把握します。そして、ひとつひとつ確実に正解できるように学習を積み重ねていきます。
地道な学習になりますが、確実に知識を積み上げて1問でも多く問題を解くことが、合格の鍵となります。人によっては、商業簿記・工業簿記どちらかがより得意だと感じることもあるかもしれません。得意不得意があるのは仕方のないことですが、試験ではどちらの科目も重要で偏った知識で合格するのは難しいため、どちらの科目にも過度な苦手意識を持たないようになるまで、学習を重ねましょう。
試験時間の配分を考える
簿記2級の合格のためのポイントとなるのが、試験時間の配分です。簿記2級の試験時間は90分となっており、合格するためには、限られた時間の中で正確に回答する必要があります。
簿記2級の試験では、全5問が出題されますので90分は意外と短く感じてしまうこともあるでしょう。
初心者の方は、最初はゆっくり時間をかけて確実に回答できるようにトレーニングしますが、最終的には学習しているときにも試験時間を意識し90分という時間の中で、すべての問題に回答できるようになるまで慣れておくといいでしょう。
学習中にも試験を意識した時間配分で、過去問題を解くのもオススメです。問題を解くときに、アラームをセットするなどして、すべての回答と見直しまでを90分の時間内でできるかを何度もシミュレーションしてみましょう。
そして、制限時間内にスムーズに回答するためには、使い慣れた電卓を使うことも大切です。電卓の操作のせいで貴重な時間をロスすることがないようにしてください。
簿記2級の試験では特殊な電卓は必要ありませんので、自分が見やすく使いやすい電卓を用意しましょう。そして、電卓そのものの扱いに慣れておく必要もあります。片手で電卓を使いながら、もう片方の手で回答を記入できるようになると理想的です。
簿記2級を独学で勉強するメリットとは?
簿記2級を独学で勉強するメリットとして、学習のペースを自分の生活スタイルに合わせたものにできるということ、そして、費用面や勉強方法を自分で選択できるという点が上げられます。
自分のペースで学習できる
独学の場合、学習のペースを自分で自由に決めることができます。短期間で集中して勉強して合格を目指すこともできますし、じっくりと時間をかけて勉強して合格を目指すこともできます。
自分の今の生活の中に学習を取り入れることができるため、無理のないペースで学習を進められます。また、まとまった時間が取りにくいときでも、移動中や家事の合間に勉強することもできます。
費用を抑えられる
独学の大きなメリットが、費用を抑えることができるという点です。教室に通ったり、通信教育のオンライン授業を利用したりした場合は受講料がかかります。また、教室に通う場合は交通費も必要になります。
独学であれば、必要な参考書や過去問集の購入費用や電卓を購入する費用と、受験料がかかる程度で、それ以外の大きな出費がありません。
できるだけ費用をかけずに合格を目指したいという場合は、独学が適していると言っていいでしょう。
自分に合った勉強方法を選べる
独学で勉強する場合、自分にあった勉強方法を選ぶことができます。参考書や問題集も自分が気に入ったものを使えますし、勉強に充てる時間帯も自分で決めることができます。
そして、勉強する場所も一番集中できる場所を選べますし、学習する場所が自宅であれば服装も気にする必要はありません。勉強方法や場所が自分にあっているかは、学習のスピードにも影響します。自分に最もあった方法や場所を選べるのは独学の大きな魅力です。
簿記2級を独学で勉強するデメリットとは?
簿記2級を独学で学習する場合には、デメリットもあります。独学のデメリットをチェックしておきましょう。
学習計画を自分で立てる必要がある
どのような資格でも同じですが、独学で学習を進める場合には、自分で学習計画を立てる必要があります。自分のライフスタイルと簿記の知識量に合わせた学習計画を立てて、試験の日までにある程度のゆとりをもって合格できるだけの知識や制限時間内に回答するためのスキルを身に着けなればなりません。
教室などであれば、既存の学習計画を進めればいいわけですが、独学の場合はまず学習計画を立てるところからスタートしなければなりません。
モチベーション管理が難しい
簿記2級の合格までには長い学習時間が必要です。数か月あるいは年単位での学習計画が必要になるため、学習意欲が低下してしまうことがあります。テキストや問題集を一人で読んでコツコツと勉強するため、途中でつまらなくなってしまったり、躓いてしまって進めることができなくなったりすることもあります。
学習を開始した直後はやる気に満ちていても、徐々にやる気が失われてしまうこともあります。
長期間にわたる試験勉強の期間にどのように自分のモチベーションを保つかがひとつのポイントになります。モチベーションを維持するために、計画的に勉強を進めたり、合格のための目標や自分へのご褒美などを用意するといいかもしれません。
間違った理解をしても気づくことができない
自己流で理解をしていくため、どこかで間違えた理解をしていても気づけないことがあるという点です。
教室で、講師や仲間がいるのであれば間違った理解をしていてもすぐに指摘してもらえます。ですが、独学だとなかなか気づけないものです。
また、わからないことや疑問点に関しても誰かにすぐに聞くことができないため、自己解決することが求められます。
場合によっては、間違えた理解をしたままで試験に望むこととなるケースもあります。学習を進めていく中で、少しでもおかしいなと思うことがある場合は、そのまま先に進まず、一度、立ち止まって考えるようにするといいでしょう。
まとめ
簿記2級は、独学で合格を目指せる資格です。
簿記の基礎的な知識が問われる簿記3級より難易度が高く、簿記2級では商業簿記に加えて工業簿記も出題されます。合格率は15%から30%となっており、容易に取得できる資格ではありませんので、しっかりと学習をする必要があります。
独学で合格を目指す場合は、学習計画を立てて自分にあった参考書を使用し、モチベーションを維持すること。そして、制限時間内に正しい回答ができるようにシュミレーションをしておくことがポイントとなります。
独学で合格するためのポイントをしっかりと抑えて学習を進めていきましょう。