色彩検定は独学でも合格できる?勉強方法やメリットなどを徹底解説!
「色の知識を仕事や生活に活かしたい」という人が受験する「色彩検定」。色彩検定は、学習を通して色彩に関する知識を学ぶことができ、仕事での資料作成や自宅のコーディネート、ファッションなどさまざまな分野に活かせます。
本記事では、色彩検定の合格を独学で目指そうと思っている人向けに、色彩検定の概要や勉強方法を解説。独学で勉強するメリット・デメリットや検定試験の合格率などについてもあわせてまとめています。
色彩検定の合格を目指すために、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
色彩検定の概要
色彩検定は、色の基礎や配色技法から専門分野における色の扱い方まで幅広く学習し、色に関する知識が身についているかを測る試験です。
合格するためには、色についての理論的・体系的な知識を習得する必要があり、感性や経験によらない理論の土台を身につける必要があります。
1990年に第1回目が開催され、累計150万人以上が受験。国家資格ではないものの、文部科学省後援の公的資格というのもポイントです。
色彩検定の受験者の年齢層は幅広く、学生が多いのも特徴です。近年は社会人による受験も増えており、デザイナーをはじめ、ファッション関係や広報・PR職、事務職など、さまざまな職種の人が色彩検定の合格を目指し、受験しています。
また、色彩検定合格後の活躍分野は、コスメやフラワー、インテリアのほか、各種メーカーや教育など、さまざまな業界に及ぶようです。
志願者の職業 | 合格者の活躍分野 |
学生 流通・販売・小売 サービス業 IT・コンピュータ 各種メーカー ファッション・デザイン 住宅・建築 公務員・教職員 専業主婦 その他 |
アパレル 流通 コスメ フラワー 各種メーカー 教育 建築・環境計画 広告 インテリア |
引用元:色彩検定公式HP
色についての知識があると、センスを身につけることができ、色を自由に使いこなせるようになります。色について学んでいるかいないかで、人生の豊かさが変わるといっても過言ではありません。
色彩検定は、すでに色を扱った仕事をしている人はもちろん、色の基礎から学びたい初心者にも対応した検定であるといえます。
色彩検定は3級、2級、1級、UC級の4種類
色彩検定は、3級、2級、1級、UC級の4つのレベルに分かれています。各級によって対象者や学習内容が異なります。級によっては受験日程も異なるので、注意が必要です。
以下の表で、各級それぞれの特徴をまとめています。
UC級 | 3級 | 2級 | 1級 | |
受験対象 | 一般社会人、公共、福祉、設計者など | 初めて色を学ぶ人 | 実務に応用したい人 | プロフェッショナル |
出題内容 | 色が見えるしくみ、ユニバーサルデザイン、色覚の多様性、高齢者の見え方など | 光と色、色の分類と三属性、色彩心理、色彩調和、配色イメージ、ファッション、インテリアなど | 色のUD、照明、表色系、色彩調和、配色イメージ、ビジュアル、ファッション、インテリア、景観色彩など | 色彩と文化、色彩調和論、測色、色彩とビジネス、ファッションビジネス、景観計画における色彩基準など |
試験方法 | マークシート方式(一部記述式) | マークシート方式 | マークシート方式(一部記述式) | 1次:マークシート方式 2次:記述式(一部実技) |
検定料 | 6,000円 | 7,000円 | 10,000円 | 15,000円 |
※「色彩検定」の公式HPを参考に作成 ※検定料は税込
3級は基礎、2級と1級は基礎に加え、技能的な部分も試されます。1級の2次試験では、配色カードを切り貼りする実技試験が行われるのがポイントです。また、UC級は2018年冬期より新設。色のユニバーサルデザインを扱う内容なのが特徴です。
UC級、3級、2級は、夏期(6月)と冬期(11月)に分けて年2回実施されているのに対し、1級は冬期のみ(1次11月・2次12月)の実施です。併願や飛び級も可能なので、必要に応じて検討してみてください。
色彩検定は独学で合格できる?
色彩検定は、独学でも十分合格が可能です。いずれの級も特別な受験資格はないので、誰でもチャレンジすることができます。
合格ラインは各級70%程度とされていますが、1級は試験が1次・2次に分かれており、解答方式に記述式を多く含むうえに実技試験もあり、難易度が高め。合格率に関しても、ほかの級に比べるとガクッと下がるのが特徴です。
色彩検定は、飛び級ができる試験ではありますが、初学者がいきなり1級を目指すのはハードルが高いといえます。色に関して学びはじめたばかりの人は、まずは、3級や2級を目標に学習を進めることがおすすめです。
色彩検定の合格率はどのくらい?
色彩検定の2021年度の受験状況は以下の通りです。
志願者(人) | 合格率(%) | |
1級 | 2,303 | 52.7 |
2級 | 18,886 | 77.9 |
3級 | 33,278 | 76.8 |
UC級 | 4,901 | 89.7 |
合計 | 59,367 | – |
出典:「色彩検定」の公式HP
UC級、3級、2級に関しては、約7〜9割の人が合格しています。1級は、より深い知識が求められるうえに実技試験もあるため、ほかの級に比べて合格率が低めです。
しかし、ほかの色彩系検定であるカラーコーディネーターの直近の合格率が過半数程度であることを考えても、色彩検定の合格率は全体的に高め。色彩検定の難易度はそこまで高くなく、公式テキストを使ってしっかり対策すれば合格が可能だといえます。
色彩検定の合格に必要な勉強時間は?
色彩検定の合格に必要な時間は、級によって異なります。また、もともと保有している知識の深さや受ける人の職種などによっても異なるため、一概に「どのくらい勉強したら合格できる」という基準はありません。
ただ、あくまで目安とはなりますが、3級の場合は1ヶ月程度でも合格可能という見解が多々あります。この場合の1ヶ月とは、毎日1時間ほどの勉強時間を確保した場合です。人によって1日あたりの勉強量は異なるので、勉強期間も自ずと変化することが考えられます。
さらに、2級や1級に関しても、もともとほかの級や色彩系の資格の勉強をしている場合は、3級と同様の期間でも合格できる可能性があります。
色彩検定の勉強時間には個人差があるので、十分に理解したという実感が持てるまで、それぞれに応じた勉強時間を確保することが重要です。
1日のうち勉強に割ける時間が長い人は短期集中で、スキマ時間でしか勉強できない人は長期的に、というふうに、自分に合ったスタイルを見つけるようにしてください。
独学で色彩検定に合格するための勉強方法とは?
色彩検定に独学で合格するためには、ポイントをおさえて効率よく勉強することが重要です。色彩検定は合格率が高いとはいえ、独学の方法を誤ると合格から遠のいてしまうこともあります。
以下では、合格するための勉強方法をまとめているので、独学の参考にしてみてください。
公式テキストを重点的に勉強する
色彩検定の試験問題は、公式テキストから出題されることも多いのが特徴です。つまり、公式テキストをすみずみまで読んで、知識を深めておくことが大切。重点的に理解を深め、公式テキストの内容をマスターしておくことが、合格の秘訣です。
もし公式テキストだけでは理解が深まらない場合は、一度市販のテキストを参考にしてみてもいいでしょう。ただし、市販のテキストで知識を習得した後に、必ず公式テキストに戻って学習することをおすすめします。
スキマ時間を有効活用すること
仕事や家庭の事情でなかなか勉強時間がとれない人には、スマホを使ってスキマ時間に勉強する方法がおすすめです。色彩検定の対策に対応したアプリもあるので、積極的に活用してみてください。
講義動画を視聴できるものは、効率的にインプットが可能です。また、復習に活用できる○×問題や試験内容に近い応用問題が充実している場合は、アウトプットにも最適。教材がダウンロードできるものもあり、オフラインで学習できるのもメリットのひとつです。
また、学習進捗機能がついているタイプは、独学で合格を目指す人にぴったりです。
過去問を繰り返し解くこと
色彩検定は、過去問から出題される場合もあり、過去問と似た傾向の問題が出される可能性も十分にあります。過去問を繰り返し解いて、しっかり対策しておくと、試験本番でもスムーズに解ける確率が高まります。
また、過去問を解くことは、設問や選択肢の方式を把握するのにもつながります。本番で焦らずに解答するためにも、本番までに過去問を必ず解いておくことがおすすめです。
慣用色を覚える
色彩検定では色を見て答える問題が多く出題されるため、慣用色を覚えておく必要があります。色を覚えるためには、カラーカードを用いて学習するのがおすすめです。
とくに、1級の合格を目指す人にとって、カラーカードは必須アイテム。1級の2次試験は、例年、配布されたカラーカードを切り貼りする内容です。カラーカードを使って色を覚える作業を行い、各色の特徴を頭に入れておくことが大切です。
感覚で覚えようとすると、こんがらがって間違いやすいので、どんな色なのか色の本質を理解することを意識してみてください。
色彩検定を独学で勉強するメリットとは?
色彩検定は独学でも合格可能性が高い試験であり、実際に、独学で合格を目指す人も多くいます。以下では、色彩検定を独学で勉強するメリットを2つ紹介します。
自分のペースで学習できる
独学のメリットは、自分のペースで学習できる点です。講座やスクールに比べて勉強する時間にしばられることがないため、仕事が忙しい人や家庭を優先しながら試験勉強を行いたい人には、独学がおすすめです。
色彩検定には、用語や色の表示など、暗記が必要な分野が多々あります。独学においては、自分のペースで徹底的に暗記しながら、知識を習得していくことが重要です。
色彩検定は「色」という身近な分野の内容なので、暗記が続いて息が詰まる場合は、自身の生活と紐付けながら理解を深めていくのもいいかもしれません。
費用を抑えられる
費用を抑えられるのも独学のメリットです。独学の場合は、公式テキストや問題集をそろえるだけで学習をはじめられるので、トータルのコストは1万円以下で済みます。
講座やスクールに申し込むと、どうしても資格取得のための費用負担が大きくなるので、なるべくお金をかけずに資格を取得したい人にとっては、独学がぴったりです。
また、近年はインターネットでも情報収集が可能。不安点や不明点がある場合は、合格者の声を参考にするのもひとつの方法です。
色彩検定を独学で勉強するデメリットとは?
色彩検定に限った話ではありませんが、独学は孤独なものです。つまずいたときのサポートが受けられない点は、独学のデメリットといえます。以下で具体的に紹介します。
勉強スケジュールを自分で管理しなければならない
自分のペースで勉強できるのは、独学のメリットである反面、人によってはデメリットにもなり得ます。独学においてはスケジューラーの役目を自分で担う必要があり、学習計画を立て、管理するということを一人で行わなければなりません。
したがって、試験日から逆算して、しっかりと勉強スケジュールを立てることが重要。仕事や家庭の事情などでスケジュール通りに進まなかった場合は、計画を変更して軌道修正を行う必要があります。
試験当日に「勉強が間に合わなかった」と悔しい思いをしなくて済むように、余裕を持ったスケジュールで学習に取り組むのがおすすめです。
モチベーションの維持が難しい
モチベーションの維持が難しいのも、独学のデメリットです。勉強する気力を失ってしまったり、誘惑に負けたりすると、挫折につながります。
独学の場合、周りに相談できる人がいないケースが多く、不明点や不安の解消を自分で行う必要があります。知識の習得以外の部分に時間を持っていかれる可能性が高いので、自分なりの問題解決法をあらかじめ見つけておきましょう。
また、学習の進捗が悪いと、モチベーションの低下につながりやすく、悪循環です。モチベーションの低下を感じたら、受験の目的を改めて思い返してみてください。
色彩検定の独学が向いている人は?
最後に、色彩検定の独学が向いている人を紹介します。
他の色彩系資格を持っている人
カラーコーディネーターや色彩士検定といった、他の色彩系資格を勉強したことがある人は、色彩検定の独学に向いています。理由としては、いずれも色彩の知識を扱う内容であり、試験内容が重複する部分も多くあるためです。
すでに色に関する一定の知識を保有している人にとっては、色彩検定の学習内容もすんなり頭に入ってくることが多いでしょう。
独学で難関試験に合格したことのある人
色彩検定よりも難易度が高い検定試験に合格したことがある人は、独学でも色彩検定の合格を勝ち取りやすいといえます。
理由は、資格試験の受験に臨んだことがある人は、自分に合った勉強法をすでに確立している場合が多いからです。過去に何らかの合格体験がある人は、色彩検定の勉強も問題なくマイペースに進めることができると考えられます。
また、難易度の高い試験と比較すると、色彩検定の内容が易しく感じられることも理由のひとつです。
まとめ
ファッションやデザイン関連の仕事を目指す人以外にも、幅広い層が受験している色彩検定。色彩検定は文部科学省が後援している資格試験であり、取得すると就職や転職時のアピールにも有効だとされています。
そんな色彩検定は、独学でも十分に合格を目指せます。しかし、人によっては、独学だとスケジュール管理やモチベーションの維持に苦戦する場合も。色彩検定の合格を独学で目指すメリット・デメリットをしっかり把握して、合格可能性を考えてみてください。
本記事では、独学での勉強法や勉強時間から資格概要まで徹底解説しています。ぜひ今後の勉強方針の検討に役立ててください。