公務員試験は独学でも合格できる?合格率や勉強時間など独学の方法を徹底解説!
民間企業ではできない国政を司るような専門業務、地域創生など地方自治の業務に関わることができるのが、公務員です。社会的信用度も高く、将来就きたい職業としても人気の公務員ですが公務員として働くには「公務員採用試験」に合格をする必要があります。
本記事ではそんな公務員試験をこれから受験する方に向けて、公務員試験の概要や合格率、合格に向けて独学でも勉強が可能かどうかについて解説します。
結論から申し上げると公務員試験は独学でも十分に合格が可能です。
一方で、合格までには一般教養や憲法など幅広い分野への教養が求められるため、効果的な勉強法についても本記事で紹介します。
目次
公務員試験は独学で合格できる?
いつの時代も人気の就職先として取り上げられる「公務員」ですが、公務員として働くには「公務員試験」で合格をする必要があります。試験の際に問われる知識については、一般常識や時事問題など様々な分野に及びます。
公務員試験に向けては、大学の講義や専門学校が開設されているためスクールに通わなければ合格ができないのかと思われている方も多いと思います。
結論から申し上げると、公務員試験は独学でも合格をすることのできる試験となっています。
1つ目の理由は広範囲に及ぶ試験範囲ですが設問傾向が例年パターン化がされているため、しっかりと事前準備を行えば十分に対策ができる点。
2つ目は、公務員試験に関する問題集や参考書は試験に合わせて多数出版されているため、簡単に入手できる点が理由として挙げられます。
公務員試験の試験概要と合格率
次に、公務員試験の概要と試験における合格率について解説いたします。
試験を受けるに当たり概要を把握することは、計画的な学習プランを立てる上でも非常に重要です。
初めて試験を受ける方は、しっかりと把握しておきましょう。
公務員試験の試験概要
公務員試験は一般的に、一次として筆記試験、二次試験として面接、試験によっては小論文試験が課せられる二段階方式となっています。
筆記試験については、数的処理や文書理解といった一般知能、人文科学や社会科学、時事問題といった一般知識で構成される「教養科目」。受験する職種に合わせた専門性を図る「専門科目」の2つの分野で構成されています。
教養科目に関しては、国語、数学、理科、社会など幅広い範囲の知識が求められるだけでなく、その年話題になった時事問題についても問われるため、勉強範囲は多岐にわたります。
専門科目については、行政事務系区分では憲法や民法、行政法など業務をする上で必要となる基礎的な法的知識までも必要となります。
教養科目と専門科目を合わせると、約30科目ほどが試験範囲の対象となります。
地方自治体など受験をする公務員試験によっては、専門科目の試験が実施されない場合もありますが、教養科目の試験についてはどの試験もほぼ必須となっています。
どの試験を受けるか決まっていない場合についても、教養試験は共通の範囲となるため基礎的な勉強や時事問題への対応は早めに始めておくことをおすすめします。
公務員試験の試験内容
一次試験 | 筆記試験 | 教養科目と専門科目を合わせて約30科目 |
二次試験 | 面接試験 | 面接と合わせて、論文試験が課せられる場合あり |
公務員試験の合格率
次に、国家公務員試験と地方公務員試験の合格率について解説します。
合格率に関しては、それぞれの試験で差があり試験内容や受験者数全体の数も異なっています。
そのため、合格率が高い・低いで試験の難易度を一概に比較することはできません。
国家公務員試験の合格率
下記の表は、2022年度に行われた代表的な国家公務員試験の合格率を表したものです。
総合職の大卒程度試験は国家公務員の中でも人気の職種で、倍率が10.9倍、合格率に関しては9.1%となっています。
航空管制官のような専門職試験については、総合職に比べると合格率は高く19.8%となっています。
代表的な試験(2022年度) | 合格率 | 合格倍率 |
国家公務員採用総合職試験(春)(院卒者試験) | 37.3% | 2.7倍 |
国家公務員採用総合職試験(春)(大卒程度試験) | 9.1% | 10.9倍 |
国税専門官採用試験(大学卒業程度) | 36.9% | 2.7倍 |
航空管制官採用試験(大学卒業程度) | 19.8% | 5.0倍 |
労働基準監督官(法文・理工合計)(大学卒業程度) | 28.4% | 3.5倍 |
※引用:2022年度国家公務員採用総合職試験(春)の合格者発表について
地方公務員試験の合格率
こちらの表は各自治体が実施している、2022年度の地方公務員試験の合格率を表したものです。
主要3都市を比較してみると、自治体によって人口や都市の規模により採用数も異なるため合格率や倍率にも大きな違いがあることがわかります。
代表的な試験(2022年度) | 合格率 | 合格倍率 |
北海道行政職員採用試験(一般行政A(第1回)) | 35.9% | 2.8倍 |
東京都(I類A採用試験(事務)) | 22.8% | 4.4倍 |
大阪府職員採用試験 行政(大学卒程度) | 12.6% | 7.9倍 |
※引用:【北海道】合格発表、採用試験等実施状況 – 人事委員会事務局任用課
※引用:試験選考実施状況|試験選考情報|東京都職員採用
※引用:大阪府/令和4年度大阪府職員採用試験(大学卒程度)の実施結果
独学で公務員試験に合格するための勉強方法
ここからは、公務員試験にむけてどのように勉強をすればよいのかわからない、何から準備をすればよいかわからない方のために、合格をするための手順や勉強方法について解説します。
6つのポイントに沿って学習を進めれば、合格までの道筋を明確にすることができます。
受験する自治体を決める
一口に公務員試験といっても、自治体や職種により試験の内容については様々です。
そのため、自分が受験を目指す公務員試験にはどのような科目が必要であるか早めに確認するためにも、受験先は早めに決める必要があります。
一般的に、教養科目についてはどの自治体・職種においても必須となっています。
専門科目については、多くの国家公務員試験と地方上級公務員試験、一部の市役所の公務員試験で必要とされています。
警察官や消防官など一部の職種については、教養試験のみとなっています。
また試験によっては、筆記試験もしくは面接試験の際に小論文試験が実施される場合があります。
必要な勉強時間を把握して勉強プランを立てる
一般的に公務員試験に合格するには、1,000〜1,500時間程度の勉強が必要といわれています。
この時間は仮に毎日3時間勉強した場合、333日〜500日の日数に値します。
十分な勉強時間を確保するためにも、1年〜2年前には勉強をスタートすることをおすすめします。
また、通信講座で有名なユーキャンの「国家一般職・地方上級コース」の標準学習期間は12ヵ月と定められています。
自分が1日にどれくらい勉強時間を確保できるか考え、それにあったプラン立てが重要です。
優先順位をつけて勉強する
公務員試験の出題範囲は多岐にわたるため、幅広い範囲の学習をする必要があります。そのため、出題頻度の高い範囲から重点的に学習をすすめるのがおすすめです。
教養試験に関しては、「数的処理」や「文章理解」の問題が出題数も多いため最初の段階で取り組んでおくと、効果的に得点の獲得が可能です。
専門分野の試験を受ける方は、「民法」・「行政法」・「憲法」・「経済学(ミクロ・マクロ)」に重点を置いて取り組んでいきましょう。
各試験科目の頻出分野を知る
学習範囲の広い公務員試験ですが、各試験にはそれぞれ頻出の分野や頻出の傾向といったものが存在します。
そのため限られた時間の中で効率的に勉強をすすめていくには、それぞれの試験にあった過去問が活用できます。
基礎的な知識を参考書などで学んだあとは、過去問などを利用し頻出分野を把握した上で足りない知識を補っていくことが合格への近道となります。
試験対策に特化した参考書を選ぶ
公務員試験の一般教養や専門試験で出題される内容については、世間一般的な知識を問われる内容のため参考書でなくても学習をすることができます。
しかしながら、公務員試験に望むのであれば公務員試験に特化した参考書を選ぶことが効率的な学習に繋がります。公務員試験対策用の参考書に関しては、試験に出題される分野や内容に沿って解説がされていますので、不要な範囲の勉強時間の削減に繋がります。
参考書を選ぶ際は「公務員試験対策」などと記載のあるものを選ぶようにしてください。
また時事問題に関する参考書を選ぶ際は、その年に発行された最新版を選ぶように注意をしましょう。
過去問を繰り返し解く
基礎的な知識を身に着けたあとは、過去問を繰り返し解くことで実践的な知識を身につけることができます。
公務員試験の問題は過去問から出題される場合も多く、過去問を暗記しておくだけで解答ができる場合があります。
過去問からは出題傾向なども掴むことができるため、参考書を読んでいるだけでは得ることのできない知識も学ぶことができます。
試験までには最低過去5年分くらいの過去問は網羅しておくようにしましょう。
またより実践に近づけるために、本番と同じ試験時間を想定し時間を図って解答をおこなうのもおすすめです。
公務員試験を独学で勉強するメリットとは?
次に、公務員試験に向けて独学で勉強をすすめるメリットについて解説します。
独学での学習には時間や費用の面でスクール形式の勉強方法にはないメリットがあります。
独学とスクール形式の勉強法のどちらにするか悩まれている方は、選択の際の参考にしてみてください。
自分のペースで学習できる
独学での勉強には、自分のペースで学習をすすめることができるメリットがあります。
スクール形式の場合、自分自身の理解度に関係なくカリキュラムに沿って授業が進んでいきます。そのため、重点的にわからない分野を勉強をしたいなどといった要望を叶えるのは基本的に難しくなります。
一方で独学に関しては、自分の理解度に合わせて勉強ができるため、わからない部分に集中をしながら、試験までの時間を有効的に活用することができます。
費用を抑えられる
独学で試験対策を行えば、費用の面でも大幅に節約をして試験に望むことができます。
公務員試験に関しては様々な予備校などで講座が開設されているため、学校に通って勉強をすることも可能です。
スクール形式の場合、1年や半年といった単位で入学をすることが多く入学金や授業料だけでも数十万円程度の出費となります。
一方で独学で勉強をする場合は、参考書などの購入のみで済むため数千円程度の出費で抑えることが可能です。
また、学校まで通う交通費はもちろん移動時間の節約にも繋がり、空いた時間を勉強に回すことも可能です。
公務員試験を独学で勉強するデメリットとは?
反対に、独学で勉強をすすめる際のデメリットも併せて解説します。
デメリットもしっかりと把握しておくことで、勉強開始後の挫折を避けることができます。
面接試験や論文試験の対策が難しい
公務員試験の中でも、小論文と面接試験に関しては独学では対策が難しい分野となっています。
小論文に関しては与えられた課題に対して論理的に意見を述べることができるかを問われるため、自分自身で◯✕の採点は行なえません。
また面接に関しても、相手に対しての論理的な思考や会話ができているかを問われるため、自分自身で良し悪しを判断するのが非常に困難と言えます。
この2つの分野においては、独学ではなく講習などを活用し対策をするのもおすすめです。
試験の情報収集や勉強法のサポートを受けられない
公務員試験は直近の年にあった出来事や過去数年間に行われた法改正などから問題が出題されることがあります。そのため予備校の講義では最新情報を試験対策として取り入れた講義が行われています。
また、勉強につまずいた際にも講師に相談できるのも予備校ならではということができます。
一方で、独学の場合に関しては最新情報のキャッチアップは自分自身で行い、つまずいた際にも自分自身での解決が必要となるためデメリットの一つとなっています。
モチベーションの維持が難しい
先に説明をしたとおり、公務員試験は1〜2年ほどの長期間に渡る勉強が必要となります。そのため、独学で勉強をしている人の中にはモチベーションを保つことができず途中で挫折をしてしまうケースも見受けられます。
独学で勉強を続けるためにも、ときには息抜きなどリラックスをした時間を作ることも重要です。
また同じく公務員試験を目指しているSNSなどのコミュニティーを活用することでモチベーションのアップにつなげることも可能です。
独学での公務員試験対策にオススメの参考書や教材、過去問の選び方
最後に、独学で勉強をすすめる上でおすすめの教材や過去問の選び方を解説します。
今回は実際に公務員試験を受講したユーザーの声やインターネット上での評価などから厳選した教材となっています。
また、公務員試験の教材は分野に絞った教材が多数販売されています。自分には何が必要なのかを明確にした上で、参考書を選定するのが効率的な学習に繋がります。
はじめに勉強するならこれ!【翔泳社】公務員教科書 2か月完成 動画とアプリで学ぶ 教養試験 全公務員試験対応
初めて公務員試験の勉強をする人や短期集中で勉強をしたい人におすすめなのがこちらの教材です。
数的処理、文章理解、社会科学、人文科学、自然科学の5つの分野の基礎的な内容について学ぶことができます。
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また1ページに設問1問と解説といった構成で記載されているため、非常に見やすい作りとなっているのも特徴です。
地方初級、高卒警察官など各公務員試験向けに様々なシリーズが発売されているのも魅力的なポイントです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。公務員試験の概要や独学で勉強をすすめる際のメリット、デメリット、勉強方法について解説をしました。
多岐にわたる学習が必要となる公務員試験ですが、予備校などに通わなくても十分に合格をすることができる試験であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
これから公務員試験を受ける方はしっかりと計画を立てて、本記事を参考に要点に絞った勉強を心がけてみてください。そうすることで、最短の道のりで合格を勝ち取ることができます。