HOME 資格に関する記事一覧 FP2級は独学で取得できる?難易度や勉強時間など独学の方法を徹底解説!
公開:2023.3.2 公開:2023.3.2

FP2級は独学で取得できる?難易度や勉強時間など独学の方法を徹底解説!

FP2級は独学で取得できる?難易度や勉強時間など独学の方法を徹底解説! NEW

キャリアアップや副業、住宅ローンの検討などをきっかけに、お金の知識を深める目的でFP2級の受験を検討する人もいるでしょう。

FP2級は、FP3級よりも難易度と専門性が高い検定試験ではありますが、独学でも十分合格を目指せる資格だとされています。

本記事では、FP2級の試験概要や難易度から勉強方法までを徹底解説。FP2級を独学で勉強するメリット・デメリットについてもまとめています。

スクールに通う余裕がなく、「独学でFP2級に合格できるか不安」「FP2級の勉強方法がわからない」といった悩みを抱えている人は、ぜひ最後まで目を通してみてください。

FP2級試験の概要

FP2級の試験は、正式には「2級ファイナンシャル・プランニング技能検定(2級FP技能検定)」という名称です。

日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい)の2つの団体が実施している国家検定試験で、1月・5月・9月の年3回試験日が設けられています。試験に合格すると、「2級FP技能士」としての資格を取得することが可能です。

試験は学科試験と実技試験に分かれており、資格取得のためには両方に合格しなければなりません。学科、実技ともに同日に実施され、学科試験はマークシート式(120分・60問)で午前中に、実技試験は記述式(90分・40問)で午後に行われます。

また、FP2級の受験には受験資格が定められています。2年以上の実務経験がある、3級FP技能検定に合格している、「厚生労働省認定金融渉外技能審査」で3級に合格している、日本FP協会が認定する「AFP認定研修」を修了している、のいずれかに該当する必要があります。

受験申し込み前に、FP2級の受験資格があるかどうか必ず確認しておきましょう。

FP3級との違い

FP2級は、FP3級に比べてより専門的な知識が求められます。FP2級もFP3級も出題科目は共通していますが、2級には専門的な範囲が一部追加されています。

FP3級は基礎知識がメインで、FP2級はより専門的で実務に適した内容が出題されるイメージを持っておきましょう。

具体的には、「ライフプランニングと資金計画」と「タックスプランニング」、「相続・事業承継」に項目が追加されます。

詳細は以下の通りです。

「ライフプランニングと資金計画」の科目に、「中小法人資金計画」が追加。「タックスプランニング」の科目に、「法人税」「法人住民税・法人事業税」「消費税」「会社と役員の税務」「法人の決算書と申告」「諸外国税制」が追加。「相続・事業承継」の科目に、「事業承継対策」と「事業と経営」が追加されます。

FP2級には、法人に関する範囲がプラスされるということを抑えておきましょう。

また、FP2級の学科試験はFP3級の試験同様マークシート方式ですが、実技試験はFP3級がマークシート方式であるのに対し、FP2級は記述式です。

実技試験の問題数も、FP3級は20問ですが、FP2級は40問です。解答方式からも、FP2級に合格するためには、より深い理解が必要であることがわかります。

FP2級試験の難易度・合格率

FP2級の試験を実施している日本FP協会によると、FP2級の合格基準は、学科は60点満点中36点以上、実技は100点満点中60点以上です。

日本FP協会における受験者の直近の合格率をまとめると、以下の通り。

2022年1月 2022年5月 2022年9月
学科試験 41.51% 49.20% 42.16%
実技試験
(資産設計提案業務)
56.33% 62.11% 56.55%

実施時期によって多少のバラつきはあるものの、学科試験は40%台、実技試験は55〜60%前後で推移しています。

上記は、日本FP協会の受験者データですが、FP2級の試験を実施しているもうひとつの団体「金融財政事情研究会(きんざい)」における受験者の合格率はもう少し低めです。

ただ、両団体の試験に、難易度の開きがあるわけではありません。学科試験の内容は両団体共通です。一方で、実技試験の内容は受験者が選択できるようになっており、両団体で選べる内容が異なります。

両団体で合格率の数値が異なる理由としては、日本FP協会は個人申込みが多いのに対し、金融財政事情研究会(きんざい)は団体申込みが多く、受験者のモチベーションが関係していると考えられています。

いずれにせよ、受験資格を持っている人だけが受けられる試験であるにも関わらず、合格率が高いとはいえず、難易度が高い試験であることがわかります。FP2級の試験には、しっかりと対策をして臨む必要がありそうです。

FP2級を取得するメリット

FP2級を取得するには、さまざまな分野のお金の知識を深める必要があります。お金の知識は私たちが生きるうえで必ず必要で、損得に直接つながる分野でもあり、その分、FP2級の資格を取得したり学んだりすることにはメリットがたくさんあります。

1つ目は、キャリアアップにつながることです。FP2級を取得すると有資格者になるため、専門分野に対応できるようになります。

実際に、仕事での必要性を感じてFP2級の取得を目指す人も多いでしょう。専門知識があることを強みにできるので、転職や副業でも有利になることが考えられます。

2つ目は、ライフスタイルに合った働き方が可能になることです。FP技能士は国家資格であり、有効期間はなく、更新の手続きも必要ありません。一度取得すると、以降生涯有効であり、経験や実績によっては独立することも可能です。

ファイナンシャルプランナーは誰でも名乗ることができますが、国家資格を持ったより知識が深いFPとして差別化できます。フリーランスとして、自分らしく働くことも夢じゃありません。

3つ目は、自身の生活に知識を活かせることです。FP2級の勉強で得た知識は家計管理にも役立ちます。節約や貯蓄などの身近なところに活かすことができ、家計の見直しを自身でできるようになります。

また、住宅購入や保険の加入・見直しもスムーズに進められるでしょう。株式投資や投資信託などの知識も身につくので、資産運用に知識を活用できるのもメリットのひとつです。

FP2級は独学でも受かる?

FP2級は受験資格があるうえに、幅広い専門知識が必要なため、誰でも合格できる試験ではありません。

しかし、受験の機会が年に3回あるため、ほかの国家資格に比べるとチャレンジしやすいといえます。通信講座や通学講座など、スクールに通って勉強する方法もありますが、集中して効率よく勉強することで、独学でも合格する可能性がある試験です。

独学で勉強するメリットは?

FP2級を独学で勉強するメリットは、コストを抑えて自分のペースで勉強できることです。予備校や通信講座を活用する方法があるなかで、あえて独学を選択する人も一定数存在します。

以下で、FP2級を独学で勉強するメリットを具体的に説明します。

自分のペースで学習できる

独学のメリットは、自分のペースで学習できることです。社会人で仕事が忙しいと、時間や場所のしばりがあることからスクール通いを諦めるケースもあり得るでしょう。

独学の場合は、まとまった時間がとれなくても隙間時間を活用して勉強できます。場所も自宅でOKです。リラックスできる環境で思い立ったときに勉強をはじめられるのは、独学ならではのメリットです。

費用を抑えられる

費用を抑えて勉強できるのが、独学の最大のメリットです。講座や予備校などのスクールに通うと、5万〜10万円が必要となります。一方で、独学であればテキストや問題集の購入費のみの負担で勉強できます。

できるだけお金をかけずに、FP2級の資格を取得したい人には、独学がおすすめです。

独学で勉強するデメリットは?

FP2級を独学で勉強するメリットがある一方、デメリットも複数あります。独学の場合、勉強の計画を立てるだけでなく、時間の管理やモチベーションの維持まで、すべてを一人で行う必要があり、計画性と自律心が問われます。

以下でデメリットを具体的に説明します。

自分に合う教材選びが難しい

独学合格のカギは教材選びにあり、自分に合った教材を選ぶことが重要です。しかし、FP2級試験用の教材はたくさんあり、教材選びが難しい点はデメリットといえます。

FP2級の問題は年1回の税制改正を反映してつくられるため、改正内容についての問題が出題されることも多々あります。スクールの場合は、その時々に合った教材を適宜提供してもらえますが、独学の場合は最新情報を自分でキャッチアップしておくことが必要です。

また、疑問点や不明点を気軽に人に聞くことができないため、自身にとってわかりやすい内容のテキストを見つける必要があります。

時間管理が難しい

時間の管理が難しい点も、独学のデメリットのひとつです。FP2級の試験は全部で6科目あり勉強範囲が広いため、効率的に勉強することが必要です。

スクールでは、学習の理解度や進捗を客観的に見てくれる人が存在しますが、独学だと勉強時間やペース配分を一人で管理しなければなりません。

その結果、学習の進捗の良し悪しがわかりづらく、「どのくらい勉強が進んでいるのかわからない」「学習の到達度と勉強量が釣り合っているか不安」などの疑問や不安を抱えることにつながってしまう可能性があります。

モチベーションの維持や管理が難しい

FP2級の合格に向けたすべてのプロセスを一人で考えなければいけない独学は、勉強方法や段取りに自信がなくなってしまって挫折につながりやすい点もデメリットといえます。

通信講座や通学講座だと、同じ試験を目指す人同士の交流や講師とのやりとりが発生し、それがモチベーションにつながることもあるでしょう。プロに教えてもらっていることで理解が深まり、自信ややる気が向上する可能性も期待できます。

独学の場合は、学習に適した環境づくりを自ら行う必要があり、人によってはモチベーションの維持や管理が難しい場合があります。

FP2級の独学合格するための勉強方法・時間

FP2級は独学でも合格できる可能性があるとはいえ、ただむやみに勉強するだけでは合格は困難です。勉強範囲が広いので、効率的に勉強し、着実に知識を深めることが必要です。

以下では、FP2級の合格を目指すための勉強方法や合格に必要な時間について解説します。今のままの勉強方法でいいのか疑問に思っている人は、参考にしてみてください。

FP2級に独学合格するための勉強方法

FP2級に独学合格するためには、自分に合ったテキストや問題集を選ぶことが重要です。手当たり次第にさまざまなテキストに手を出すのは効率的ではありません。自身がわかりやすいと感じるテキストを使って、理解を深めることを意識してみてください。

また、FP2級の試験対策としては、過去問題を繰り返し解いて、不明点を確実に解消していく方法がおすすめです。

FP2級の試験内容は、過去問題からの流用が多い傾向にあり、例年似たような問題が出題されています。よって、過去問題を繰り返し解いてミスをなくしていくことが、合格圏を狙う近道です。

ただし、1年に1回税制改正が行われていることを考えると、手をつける過去問は直近3〜6回分にとどめるのをおすすめします。

FP2級の独学合格に必要な勉強時間

FP2級の独学合格に必要な学習時間は、150〜300時間といわれています。毎日コンスタントに1〜3時間ずつ勉強すると、約3〜6ヶ月で合格が見えてくる計算です。目安時間に幅があるのは、もともと持っている知識の差や受験回数、学習スタイルを考慮してのこと。

勉強時間を最低でも150時間は確保する必要があるので、試験日から逆算して計画を立てるようにしましょう。スケジュールに余裕を持たせておくのがポイントです。

ファイナンシャルプランナー3級・2級の勉強時間の目安は?効率的な勉強法で試験合格を目指そう!

FP2級の取得に必要な勉強時間が150〜300時間であるのに対し、FP3級は80〜150時間が目安とされています。

FP3級もFP2級も勉強におけるポイントは同様で、まずは学科用の問題集を解いて出題傾向を把握することからはじめます。苦手な分野を理解したら、次は実技用の問題集を解き、過去問へうつる流れです。

実技試験の内容は学科試験とリンクしているものも多く、実技の問題を解くと、学科の問題の理解がより深まります。過去問、問題集ともに、間違った部分はテキストに戻って復習し、苦手な分野を減らしていくことがポイントです。

FP2級の実技試験の種類

FP2級の実技試験は全部で5種類あります。FP2級の試験は、学科においては共通問題ですが、より深い知識が必要な実技においては選択できるようになっています。5つの選択科目(業務)から自身の得意分野や関連が深い分野を選ぶイメージです。

実技試験においては、日本FP協会が1種類、金融財政事情研究会(きんざい)が4種類の科目を担当しています。合格基準は5つの全選択科目で共通しています。

FP2級の実技試験に合格するには|種類や対策の方法を紹介

FP2級の実技試験は、日本FP協会からは「資産設計提案業務」が、金融財政事情研究会(きんざい)からは「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」が用意されています。

以下でひとつずつ見ていきましょう。

・資産設計提案業務(日本FP協会)
日本FP協会の唯一の実技試験です。資産運用、年金、保険、不動産、相続・承継といった学科試験の範囲がすべて含まれています。勉強の範囲が広い分、全範囲から広く浅く出題される傾向にあります。

きんざいの「個人資産相談業務」と内容が似ており、FP2級受験者の多くが選択する科目です。

・個人資産相談業務(きんざい)
学科試験の6分野であるライフプランニング、リスク管理、金融資産、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継がすべて含まれた内容です。

日本FP協会の「資産設計提案業務」同様、広範囲の項目から出題されます。多くの参考書が出されているので、勉強がしやすい試験とされています。

・中小事業主資産相談業務(きんざい)
中小事業主への資金計画に特化した内容です。企業所有の金融資産や不動産を含めた経営状況を鑑みて、ニーズや問題点を把握し解決策を提案したり、相談にのったりというシーンを想定して出題されます。

FP1級の試験と通じる内容でもあるため、FP1級の取得を考えている人におすすめの実技試験です。

・生保顧客資産相談業務(きんざい)
生命保険におけるファイナンシャルプランに特化した内容で、生命保険分野のファイナンシャルプランを専門にしようと検討している人におすすめの実技試験です。

生命保険と医療保険をメインとしており、保険の配点が4割を占めています。年金、相続贈与、税金からも出題されますが、損害保険の問題は出題されないのが特徴です。

・損保顧客資産相談業務(きんざい)
損害保険分野におけるファイナンシャルプランに特化した内容です。自動車保険、火災保険、地震保険、損害保険から出題されます。「生保顧客資産相談業務」と同様の特徴で、生命保険や医療保険の問題は出題されません。

実技試験は、キャリアと関連のある分野や将来進みたい専門分野を選ぶのが得策です。「どれを選択したらいいかわからない」という人は、広く浅く出題されて対策がしやすいとされるFP協会の「資産設計提案業務」か、きんざいの「個人資産相談業務」を選ぶのがいいでしょう。

FP2級独学におすすめの本(過去問、テキスト、参考書)やアプリ

FP2級試験の対策教材はさまざまあるため、独学においてどんな教材を選んだらいいのか迷うこともあるかもしれません。FP2級に合格するためには、解説が充実していてわかりやすい内容の教材を選ぶことが重要です。

具体的には、情報が最新なものや図表が使われていて内容を視覚的に捉えられるものを選ぶのがおすすめです。テキストや参考書から学習アプリまでツールも複数あるので、ライフスタイルや学習の進捗に合ったものを適宜選ぶようにしてください。

最終的には、自分にとってわかりやすいかどうかをポイントにして、自身に合った教材を見極めましょう。以下で、おすすめの教材を紹介します。

2022-2023年版 みんなが欲しかった! FPの教科書2級・AFP/TAC出版

出典:Amazon

資格・検定試験受験対策書籍に強いTAC出版が手がける「みんなが欲しかった!」シリーズ。「FPの教科書2級」は、基礎学習に対応した初心者にもやさしい内容です。

シンプルでわかりやすい言葉でまとめてあり、図解やイラストを用いた解説が充実しています。重要ポイントのまとめもあり、効率的に理解を深めたい人にもおすすめです。

また、解説のほかに例題も充実しており、学習後のアウトプットがしやすく定着が早まる構成なのもポイントです。同じ「みんなが欲しかった!」」シリーズの問題集をあわせて活用することで、より理解が深まり、FP2級試験合格を目指せます。

同書は日本FP協会ときんざいの両団体の試験に対応しています。内容が随時更新されるので、最新のテキストを購入するようにしてください。

FP2級 過去問道場(学科)/FP2級ドットコム

FP2級の過去問題が集約された、解説付きのクイズアプリです。学科試験問題1,860問が集約されていて、学習履歴の記録が可能。試験年度や分野を指定できたり、模擬試験を解くことができたりと、出題モードを選んで過去問学習に取り組むことができます。

模擬試験をPDFファイルとしてダウンロードできるので、本番同様に紙で学習したい人にもおすすめです。

情報は随時更新され、最新法令に対応しているのもポイント。実技試験に対応した「FP2級 過去問道場(実技)」もあり、市販の問題集が不要だと感じるくらい充実した内容です。

まとめ

日頃の暮らしやビジネスとお金は密接に関わっているので、お金の知識があるのとないのとでは、人生において大きな差を生み出します。FP2級は生きるうえで欠かせないお金の知識をより深める内容であり、学習で得た知識は一生役立ちます。

FP2級を取得するためには、専門的な内容の知識を習得する必要があり、決して簡単ではありません。しかし、時間やお金をかけられない人も、効率的に正しく勉強することで独学合格を目指せます。

本記事では、FP2級の試験内容や取得のメリット以外にも勉強方法やおすすめ本まで網羅的に解説しています。FP2級の取得を考えている人や勉強に行き詰まっている人は、ぜひ本記事の内容を参考にして、合格までのプランを検討してみてください。

POPULAR ARTICLES
[資格の記事]

NEW ARTICLE
[新着記事]