公開:2023.3.5 更新:
公開:2023.3.5
簿記1級は独学で取得できる?難易度や勉強時間など独学の方法を徹底解説!

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簿記1級は会計の高度な知識を問われる難関資格であり、合格すれば「会計のプロ」として高く評価され、就職や転職にも大きなアピールポイントになります。しかしその分、難易度は非常に高く、独学での合格を目指すには合格までの学習計画と十分な準備が必要です。
今回は、簿記1級の難易度や必要な勉強時間、そして独学で合格を目指すための具体的な方法を詳しく解説します。独学を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
簿記1級ってどんな資格?
簿記1級は難易度が高い資格といえます。この資格を取得すれば会計のスペシャリストと呼ばれるほどのスキルが身につくでしょう。
また、大企業の経理として活躍できる可能性も生まれます。簿記1級は、数ある資格の中でも価値の高い資格といえるでしょう。ここからは、簿記1級についての詳しく解説していきます。
簿記1級の種類
簿記1級には3種類の検定試験があります。1つ目は、日本商工会議所が主催する「日商簿記検定試験(日商簿記)」で、一般的に「簿記1級」といえばこれを指します。2つ目は、全国経理教育協会が主催する「簿記能力検定(全経簿記)」、そして3つ目は、全国商業高等学校協会が主催する「簿記実務検定試験(全商簿記)」です。中でも日商簿記は知名度が高く、就職や転職でも評価されやすいので、多くの人がこの試験にチャレンジしています。
簿記1級の試験の内容
簿記1級の試験では、次の4科目が出題されます。簿記2級との違いは、会計学と原価計算の科目が加わっている点です。
商業簿記 | 一般的な企業で必要とされる簿記。決算書を正確に作成するための知識 |
会計学 | 大企業での会計処理や理論に関する知識 |
工業簿記 | 工業系企業(製造業)に適用される簿記の知識 |
原価計算 | 製品の製造にかかるコスト計算・管理する知識 |
簿記1級の試験日程
簿記1級の試験日程は以下の通りです。
日商簿記 | 6月・11月(計2回) |
全経簿記 | 2月・5月・7月・11月(計4回) |
全商簿記 | 1月・6月(計2回) |
試験の種類によって、1年間の受験回数は変わってきます。 受験料や申し込み方法もそれぞれ異なってくるので、確認してから申し込むことが大切です。
簿記1級の難易度と勉強時間は?
簿記1級の受験を試検討する場合は、あらかじめ難易度や勉強時間の目安を把握しておくと、試験までの道のりがイメージしやすくなります。簿記1級の難易度と勉強時間について解説します。
簿記1級の合格率は約10%とハードルが高い
日商簿記1級の合格率は8〜13%といわれ、過去10回の平均合格率は11.68%となっています。3級と2級の合格率と比較すると、3級は約50%、2級は約20%となっており、この割合からみても、簿記1級の難易度がいかに高いかがわかります。
<日商簿記1級受験者データ(第156~168回)>
回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
168(2024.11.17) | 10,420名 | 1,572名 | 15.1% |
167(2024.6.9) | 9,457名 | 992名 | 10.5% |
165(2023.11.19) | 10,251名 | 1,722名 | 16.8% |
164(2023.6.11) | 9,295名 | 1,164名 | 12.5% |
162(2022.11.20) | 9,828名 | 1,027名 | 10.4% |
161(2022.6.12) | 8,918名 | 902名 | 10.1% |
159(2021.11.21) | 9,194名 | 935名 | 10.2% |
158(2021.6.13) | 7,594名 | 746名 | 9.8% |
157(2021.2.28) | 6,351名 | 502名 | 7.9% |
出典:日本商工会議所 商工会議所の検定試験 1級受験者データ
簿記1級の勉強時間は500~1000時間が目安
簿記1級の勉強時間は独学で500〜1000時間が目安とされています。参考として、簿記3級が50〜100時間、簿記2級が150〜250時間といわれているので、倍以上の時間が必要と考えられます。
講座やスクールを利用する場合は効率よく学習ができるため、独学とくらべてやや少なく、400〜600時間に短縮できることもあります。ただし、集中力やモチベーションの維持、勉強方法によって、必要な時間は変わってきます。
独学の場合は、勉強方法が確立するまで時間がかかることもあるため、さらに多くの勉強時間が必要となるでしょう。そのため、あくまでも時間は目安としてとらえることが大切です。
簿記1級を独学で取得は可能?
簿記1級は難しい資格なので、完全に独学で合格するのは簡単なことではありません。独学で合格できる可能性がまったくない訳ではありませんが、きわめて難しいといえるでしょう。
簿記1級を独学で取得するのが難しい理由に、「試験の難易度が高い」「出題範囲が広い」「理解しづらい範囲が多い」などが挙げられます。ここでは、独学が難しいと考えられる理由について詳しく解説します。
試験の難易度が高い
簿記1級は、公認会計士や税理士など、国家資格の登竜門といわれるほど難易度が高い資格です。理論を正確に理解していないと解けないため、丸暗記だけでは合格は難しいでしょう。
また、受験時の試験時間も長く、商業簿記と会計学で90分、工業簿記と原価計算で90分と、合計3時間もあります。この長い時間集中力を持続させる力も重要です。
出題範囲が広い
簿記1級は、簿記2級と比べて出題範囲が2〜3倍広くなっています。これは簿記2級にはなかった、会計学と原価計算の科目が加わるためです。範囲が広いだけでなく、内容も深くなるため、しっかり内容を理解しておかなければ解けないような問題ばかりです。
今まで独学で勉強してきたとしても、この膨大な範囲から出題傾向をつかむのは大変難しくなります。スクールに通えばよく出題される問題に重点において勉強をするので、効率よく勉強ができるでしょう。
理解しづらい範囲が多い
簿記1級は、実務経験者でも難解で複雑な問題が多く出題されます。そのような問題を独学で理解するには、相当な勉強時間と努力が必要です。
また、簿記1級は選択式の問題ではなく、記述式の問題です。計算問題も多く出題されるため、深く理解できていないと、解くことは難しくなります。
スクールに通えば、わからないことがあればすぐに聞くことができますが、独学ではそうはいきません。理解できていないまま勉強を進めようとすると挫折にもつながりやすくなってしまいます。
簿記1級を独学で取得するのに向いてる人は?
簿記1級を独学で取得するのはきわめて難しいことですが、なかには、独学でも合格できる人もいます。ここでは、独学での取得が向いている人について解説します。
実務で経理に関わっている人
実務で経理に携わっている人は、独学に向いているといえます。普段から実務に触れていることで、簿記の重要なポイントをおさえているためです。
加えて、経理をまったく経験したことのない人にくらべて、日頃から簿記の専門用語にも触れているため、計算能力も高いといえます。
さらに、大学の時に経済学部や商学部で簿記を学んだ経験がある人も独学に向いています。授業で簿記の重要ポイントを学んできているため、独学で勉強をすすめやすいといえます。
勉強時間をコンスタントに確保できる人
独学で取得しようと考えたとき、まとまった勉強時間がどれだけとれるかが重要です。勉強時間の目安は500〜1,000時間なので、まとまった時間を確保できないと、合格するのは困難です。
たとえば、働きながら資格の取得を目指す場合、仕事のあと2時間は勉強できたとしても、500時間勉強するのに8ヶ月、1000時間勉強するとなると1年4ヶ月かかることになります。それだけの長い間、同じ勉強時間を確保できる人は独学に向いているといます。
モチベーションを維持できる人
簿記1級は難しい試験なので、モチベーションを維持できるかが合格へのカギとなります。ストイックにモチベーションを維持し続けられる人は、独学に向いています。
しかしモチベーションを保つには強い意志が必要となります。独学は孤独や不安を感じやすいので、そのような感情に左右されずに上手にコントロールできる人なら独学でも合格を目指せる可能性は高いでしょう。
簿記1級を独学で取得するためのコツ
簿記1級を独学で取得するのは簡単ではありませんが可能性はゼロではありません。いくつかのポイントをおさえることで、独学でも資格取得を目指せます。ここでは、簿記1級を独学で取得するためのポイントを3つ紹介します。
ポイント①:合格までの勉強計画を作成する
合格までの勉強計画を作成することで、試験までの道のりがイ
合格を目指すにはあらかじめ勉強計画を立てておきましょう。計画を立てることで試験までの道のりがイメージしやすくなります。勉強をはじめたばかりの時期は、テキストをしっかり読んで、問題を解くことよりも内容を理解することを優先しましょう。
試験の2〜3ヶ月前からは、過去問題集に繰り返し取り組んで、出題傾向をつかみます。本番近くになってきたら、予想問題集で最新の傾向を踏まえて学習をすすめましょう。
ポイント②:科目ごとで勉強方法を確立する
簿記1級は科目ごとに問題の出題形式が違うので、それぞれに合った勉強方法を確立することが大切です。そうすることで、科目の理解度が格段にあがります。
また、過去問題集や予想問題集を活用して、自分の苦手分野を確認することも重要なポイントです。苦手分野を積極的に学習し、克服することで、得点アップにつながり、合格へ近づくことができるでしょう。
ポイント③:疑問点を解消してくれる人を作る
独学でわからないことがあったとき、すぐに解消しないと思うように勉強がすすみません。そのため、すぐに疑問点を解消してくれる人を見つけることが大切です。
理想的なのは、家族や身近な人に会計のプロがいることです。もし近くに聞ける人がいないのであれば、SNSやインターネット上のコミュニティで、同じ目標を持っている人や簿記1級を取得している人との交流を持って相談できる関係をつくっておくと良いでしょう。
簿記1級の独学におすすめなテキスト3選
簿記1級を独学で取得するには。自分に合ったテキストを探す必要があります。しかし、さまざまな出版社からテキストは販売されているので、どれを選んだらよいかわからないこともあります。
それぞれのテキストの特徴を理解することで、自分に合うものが見つけやすくなります。ここでは、おすすめのテキスト3選をご紹介します。
サクッとうかる日商簿記1級シリーズ
日商簿記1級の全範囲を短期間でマスターすることを目的としているテキストで、初めての人でも読みやすく工夫されています。テキスト6冊、問題集6冊のシリーズで、論点別の構成ではなく、難易度別の構成となっているのが大きな特徴です。難易度別になっていることで、出題範囲の広さにも対応でき、効率よく勉強ができます。
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サクッとうかる日商1級商業簿記・会計学基礎編1テキスト [ ネットスクール株式会社 ]
サクッとうかる日商1級工業簿記・原価計算基礎編1トレーニング [ ネットスクール株式会社 ]
みんなが欲しかった!簿記の教科書シリーズ
大手予備校の「TAC」が出版しているテキストで、イラスト付きでわかりやすく学習が進められるテキストです。専門用語がそのまま記載されているため、ある程度簿記の知識がある人におすすめです。
また、PDFがダウンロードできるため、テキストを持ち歩かなくても移動中や外出先などでも、手軽に勉強ができるのはうれしいポイントです。
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みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商1級 商業簿記・会計学 1 損益会計・資産会計編 第9版 [ TAC出版開発グループ ]
みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商1級 工業簿記・原価計算1 費目別計算・個別原価計算編 第2版 [ TAC簿記検定講座 鈴木隆文 ]
スッキリわかる日商簿記1級シリーズ
このテキストも大手予備校の「TAC」が出版しているテキストです。テキストと問題集が一体型になっているおり、すべてのテキストを揃えても8冊ですむので、費用を抑えたい人におすすめです。また、テキストを読んだあとに、すぐに問題が解けるため、内容が理解しやすくなっています
とてもわかりやすく編集されているので、はじめて簿記1級を受ける人に向いていますが、深く理解するには少し物足りなさを感じることもあるのでほかのテキストと併用するのがおすすめです。
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スッキリわかる日商簿記1級 工業簿記・原価計算1 費目別・個別原価計算編 第4版 [ TAC出版開発グループ ]
スッキリわかる日商簿記1級 商業簿記・会計学1 損益会計編 第10版 [ 滝澤 ななみ ]
簿記1級の取得におすすめな資格講座3選
独学では難しいと感じた場合は、資格講座を検討しましょう。自分に合う資格講座なのかをしっかり確認してから検討しましょう。
クレアール
クレアールは場所や時間にしばられず、自分のペースで学習をすすめたい人におすすめの通信講座です。
Vラーニングシステムを取り入れ、講義動画をパソコンやスマホなどでも見られるので、外出先でも気軽に学べてすき間時間を活用したい人におすすめです。
また、クレアールでは担任制を採用しています。ひとりで勉強することに不安をかかえている場合でも、アドバイスをしてくれる担任がいることで安心して学習をすすめられます。疑問点も電話やメール、インターネットなどで何回でも質問ができるので、すぐにわからない点を解消できます。さらに、出題頻度の高い内容に絞っているので、短期間でも効率的に学習が進められます。
スタディング
スタディングは、教室の運営費や営業人件費などのコストを削減しているので、ほかの講座よりも受講料がおさえられるのが魅力です。さらに、簿記1級に合格するとお祝い金10,000円がもらえる特典もあります。
教材はWebテキストを採用し、補足説明がついているため、講義の内容をノートにまとめる必要がありません。また、検定対策模試では、実力を確認できるため、本番でも落ち着いて試験を受けられるでしょう。
また、問題横断復習という機能では、苦手分野の集中的な学習も可能で、効率的な学習設計で計画を立てるのが苦手な人でも安心です。
さら、通信講座にはめずらしい、同じ目標をもつ仲間と話せる「勉強仲間機能」も活用でき、孤独感を感じにくくモチベーションの維持につながります。
資格の大原
ライフスタイルに合わせて学習スタイルを選択したい人は、資格の大原がおすすめです。「教室通学」「映像通学」「Webライブ」のほか、「DVD通信」「資料通信」などがあり、直接講義を受けたい人は教室通学、講義に集中したい人は映像通学、自宅でリラックスしながら学びたい方には「Webライブ」というように、ライフスタイルに合わせて選べます。
また、教材がわかりやすいのも大原の魅力のひとつです。図解やイラストが全体を通して多く使われていて、計算方法や処置方法についても具体的な解き方が解説されています。さらに、わからない問題は解説動画で補えるため、動画を活用することで、効果的な学習が可能になります。
まとめ
今回は、簿記1級を独学で取得するポイントについて解説しました。簿記1級の難易度は大変高く、独学で取得するには難しい資格であることがわかります。
独学では、孤独感や不安感により、モチベーションが下がってしまうことも多くありますが、独学では難しいと感じる場合には、ほかの勉強方法を検討してみましょう。資格講座では、疑問点もしっかりとサポートしてくれるので、独学に比べて安心感があります。
簿記1級の取得を目指す方や勉強に行き詰まっている方は、ぜひこの記事を参考にして合格までの計画を考えてみてください。