簿記1級は独学で取得できる?難易度や勉強時間など独学の方法を徹底解説!
簿記1級をもっていると、会計のプロとしてあつかわれることも多いため、就職や転職にとても有利です。
しかしながら、きわめて高度な会計の知識を有していないと取得できないほど、難しい資格といわれています。そんな簿記1級を取得しようと考えたとき、独学で合格できるのか気になるところではないでしょうか。
そこで、今回は簿記1級が独学で取得できるのかについて解説してまいります。この記事を読めば、簿記1級の難易度や勉強方法がわかるので、資格取得までのイメージがしやすくなるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。
目次
簿記1級ってどんな資格?
簿記1級は難易度が高い資格といえます。この資格を取得すれば会計のスペシャリストと呼ばれるほどのスキルが身につくでしょう。
また、大企業の経理として活躍できる可能性もうまれます。簿記1級は、かずある資格の中でも価値の高い資格といえるでしょう。ここからは、簿記1級についての詳しい内容について解説してまいります。
簿記1級の種類
簿記1級には3種類の検定試験があります。日本商工会議所が主催する日商簿記検定試験(日商簿記)と、全国経理教育協会が主催する簿記能力検定(全経簿記)、そして全国商業高等学校協会が主催する簿記実務検定試験(全商簿記)です。一般的に簿記1級は日商簿記のことを指します。
簿記1級の試験の内容
簿記1級の試験内容は以下のとおりになります。簿記2級との違いは、会計学と原価計算の科目が加わっている点です。
商業簿記 | 一般的な企業で必要とされる簿記。決算書を正確に作成するための知識を問われる |
会計学 | 大企業での会計処理についての知識を問われる |
工業簿記 | 工企業(製造業)に適用される簿記の知識を問われる |
原価計算 | 製品の原価を計算する知識が問われる |
簿記1級の試験日程
簿記1級の試験日程は以下の通りです。
日商簿記 | 6月 11月(計3回) |
全経簿記 | 2月 5月 7月 11月(計4回) |
全商簿記 | 1月 6月(計2回) |
試験の種類によって、1年間で試験をうけられる回数は変わってきます。 受験料や申し込み方法も変わるので、確認してから申し込むことが大切です。
簿記1級の難易度と勉強時間は?
簿記1級の試験をうけるか検討する場合、難易度と勉強時間の目安を把握しておくと、試験までの道のりがイメージしやすいといえるでしょう。つぎに、簿記1級の難易度と勉強時間について解説してまいります。
簿記1級は合格率が約10%
日商簿記1級の合格率は8〜13%です。簿記3級は約50%の合格率で、簿記2級は約20%です。この割合からみても、簿記1級の難易度がいかに高いかがわかります。
試験によって合格率は変わりますが、ここ数年の簿記1級の合格率は15%に届いたことがありません。そのため、生半可な覚悟で受験しても合格するのは難しい試験といえるでしょう。
簿記1級の勉強時間は500~1000時間が目安
簿記1級の勉強時間は500〜1000時間が目安です。簿記3級が50〜100時間、簿記2級が150〜250時間なので、倍以上の時間が必要と考えられます。
講座を利用する場合は、独学とくらべてやや少なく、400〜600時間が勉強時間の目安になります。ただし、集中の度合いや勉強方法によって、勉強時間が変わってくる可能性は十分にあるといえるでしょう。
独学の場合は、勉強方法が確立するまで時間がかかるため、さらに多くの勉強時間が必要となるでしょう。そのため、あくまでも時間は目安としてとらえることが大切です。
簿記1級を独学で取得は可能?
簿記1級は難しい資格なので、完全に独学で取得できる人は限られています。独学で合格できる可能性がまったくない訳ではありませんが、きわめて難しいといえるでしょう。
簿記1級を独学で取得するのが難しい理由に、「試験の難易度が高い」「出題範囲が広い」「理解しづらい範囲が多い」などが挙げられます。ここでは、独学が難しいと考えられる理由について詳しく解説してまいります。
試験の難易度が高い
簿記1級は、公認会計士や税理士など、国家資格の登竜門といわれるほど難易度が高い資格です。理論を正確に理解していないと解けない問題ばかりなので、丸暗記だけではとうてい合格はできません。
簿記1級は出題範囲がとても広いので、まんべんなく勉強するのにも膨大な時間を要します。しかしながら、問われる問題の難易度が高いので、表面上の浅い知識では合格できない可能性が高いといえるでしょう。
そのため、出題傾向を把握し、効率よく勉強していく必要があります。スクールに通えば、無駄のない勉強が可能になりますが、独学の場合は、自分自身で過去の出題傾向をつかまなければなりません。
膨大な範囲の内容を把握するだけでも、大変な労力を必要としますが、さらに深く理解しなければならないので、モチベーションの維持も大切になります。。
出題範囲が広い
簿記1級は、簿記2級と比べると2〜3倍範囲が広いといえます。簿記1級では、簿記2級にはなかった、会計学と原価計算の科目が加わるためです。広く浅く勉強すれば受かるわけではなく、問われる問題も知識が深くないと解けないような問題ばかりになります。
いままで独学で勉強してきたとしても、この膨大な範囲から、出題傾向をつかむのが大変難しいとはずです。。スクールに通えば、よく出題される問題を重点において勉強をするので、独学よりもスクールのほうが効率よく勉強ができるでしょう。
理解しづらい範囲が多い
簿記1級は、実務で経理をしている人でも理解しづらい問題が多く出題されます。そのような問題を独学で理解するには、大変な勉強時間を必要になります。
また、簿記1級は選択式の問題ではなく、記述式の問題です。計算問題が豊富にふくまれているので、深く理解できていないと、解くことは難しいといえます。
スクールに通えば、わからないことがあれば、すぐに聞くことができますが、独学ではそうはいきません。理解できていない範囲が増えていくと、挫折にもつながりやすい可能性があります。
簿記1級を独学で取得するのに向いてる人は?
簿記1級を独学で取得するのはきわめて難しいことがわかりました。しかしながら、簿記1級を取得する人のなかには、独学が合っている人もいます。ここでは、独学での取得が向いている人について解説してまいります。
実務で経理に関わっている人
実務で経理に携わっている人は、独学に向いているといえます。普段から実務に触れていることで、簿記の重要なポイントをおさえているためです。
加えて、経理をまったく経験したことのない人にくらべて、日頃から簿記の専門用語にも触れていますし、計算能力も高いといえます。
また、大学の時に経済学部や商学部で簿記を学んだ経験がある人も独学に向いています。授業で簿記の重要ポイントを学んできているため、独学で勉強をすすめやすいといえます。
勉強時間をコンスタントに確保できる人
独学で取得しようと考えたとき、まとまった勉強時間がとれるか確認することが大切です。簿記1級の勉強時間の目安は500〜1,000時間なので、まとまった時間を確保できないと、合格するのは困難です。
たとえば、働きながら資格の取得を目指す場合、仕事のあと2時間は勉強の時間がとれるとします。それでも、500時間勉強するのに8ヶ月、1000時間勉強するとなると1年4ヶ月かかることになります。それだけの長い間、同じ勉強時間を確保できる人は独学に向いているといます。
モチベーションを維持できる人
簿記1級は難しい試験なので、モチベーションが維持できるかが合格へのかぎとなります。ストイックにモチベーションを維持し続けられる人は、独学に向いています。
しかしながら、簿記1級の試験は、長期間勉強しなければならないので、独学でモチベーションを保つには強い精神力が必要になります。独学は、孤独や不安感を感じやすいので、そのような感情がうまれたときに、モチベーションが下がりやすいといえるでしょう。
簿記1級を独学で取得するためのコツ
簿記1級を独学で取得するのは難しいといえますが、合格できる可能性はゼロではありません。いくつかのポイントをおさえることで、独学でも資格を取得できる可能性があります。ここでは、簿記1級を独学で取得するためのコツを3種類解説してまいります。
合格までの勉強計画を作成する
合格までの勉強計画を作成することで、試験までの道のりがイメージしやすくなります。勉強をはじめたばかりの時期は、テキストを流し読みしたり、例題を解けるように勉強をすすめます。
試験の2〜3ヶ月前からは、過去問題集を繰り返しおこない、出題傾向をつかみます。本番近くになってきたら、予想問題集に取り組み、最新の傾向を踏まえて学習をすすめましょう。
科目ごとで勉強方法を確率する
簿記1級は科目ごとに問題の出題形式が違うので、それぞれに合った勉強方法を確立することが大切です。そうすることで、科目の理解度が格段にあがります。
また、過去問題集や予想問題集を活用して、自分の苦手分野を確認することも重要なポイントです。苦手分野を積極的に学習し、克服することで、得点アップにつながり、合格へ近づくことができるでしょう。
疑問点を解消してくれる人を作る
独学は基本的に1人で勉強することが多いので、わからないことがあったときに、すぐに解消しないと、思うように勉強がすすみません。そのため、すぐに疑問点を解消してくれる人を見つけることが大切です。
理想的なのは、家族や身近な人に会計のプロがいることです。もし近くに聞ける人がいないのであれば、SNSで同じ目標を持っている人や簿記1級を取得している人を探して、DMなどですぐに疑問点を解消できる環境をつくっておくと良いでしょう。
簿記1級の独学におすすめなテキスト3選
簿記1級を独学で取得するには。あなたに合うテキストを探す必要があります。さまざまな出版社からテキストは販売されているので、どれを選んだらよいかわからないこともあります。
それぞれのテキストの特徴を理解することで、あなたに合うものが見つけやすくなります。ここでは、おすすめのテキスト3選をご紹介します。
サクッとうかる日商簿記1級シリーズ
このテキストは日商簿記2級のテキストとしてもメジャーといえます。もし複数のテキストで迷っているとするならこのテキストを選んでおけば間違いないでしょう。このテキストは日商簿記1級の全範囲を短期間でマスターすることを目的としています。
論点別の構成ではなく、難易度別の構成となっているのが大きな特徴です。難易度別になっていることで、出題範囲の広さにも対応でき、効率よく勉強ができるテキストといえます。
加えて、キャラクターが多く出てくるので、親しみやすく、はじめての人でも読みやすく感じるテキストです。このシリーズは、テキスト6冊、問題集6冊が出版されています。
簿記1級 みんなが欲しかった簿記の教科書シリーズ
このテキストは大手予備校の「TAC」が出版しています。ある程度簿記の知識がある人におすすめのテキストです。全体として、イラストつきでわかりやすく読み進められますが、専門用語がそのまま記載されていることがあります。そのため、これまでに簿記の試験を受けたことがある人に向いているテキストといえます。
また、図解が豊富で、疑問点を解消できるような工夫が随所にほどこされているテキストであるため、独学にも向いています。PDFをダウンロードすることによって、スマホでの学習も可能です。テキストを持ち歩く必要がないので、移動中や外出先などでも、手軽に勉強ができるのはうれしいポイントです。
スッキリわかる日商簿記1級シリーズ
このテキストも大手予備校の「TAC」が出版しているテキストです。このテキストは、費用をおさえたい人に向いています。特徴として、テキストと問題集が一体型になっていることが挙げられます。
すべてのテキストを揃えても8冊ですむので、ほかのテキストに比べて安く抑えられます。また、テキストを読んだあとに、すぐに問題が解けるため、内容が理解しやすいといえます。
中身がとてもやさしいので、はじめて簿記1級を受ける人に向いています。ただし、このテキストだけだと、内容がやさしすぎる部分があるので注意が必要です。ほかのテキストと併用することで、難しい部分を補えるでしょう。
簿記1級の取得におすすめな資格講座3選
簿記1級を取得するのに、独学では難しいと感じた場合は、資格講座を検討しましょう。資格講座はそれぞれ特徴が異なります。
あなたに合う資格講座かどうかは特徴をしっかりとおさえてから検討しましょう。つぎに、それぞれの資格講座の特徴について解説してまいります。
クレアール
クレアールは場所や時間にしばられず、自分のペースで学習をすすめたい人におすすめです。
この通信講座は、Vラーニングシステムをとりいれていて、講義動画をパソコンやスマホなどでもみられます。気分を変えて外出先で勉強したいときにも、講義動画を見ながらの学習が可能です。
また、クレアールでは担任制を採用しています。ひとりで勉強することに不安をかかえている場合でも、アドバイスをしてくれる担任がいることで安心して学習をすすめられます。
疑問点も電話やメール、インターネットなどで何回でも質問ができるので、すぐにわからない点を解消できます。加えて、無駄のない内容のテキストを使用しているのもクレアールの特徴のひとつです。
最低限度の範囲だけを学習し、出題する可能性が低い部分は省かれているので、効率よく勉強ができます。短期間で膨大な範囲を網羅できるのがクレアールの魅力です。
スタディング
スタディングは、教室の運営費や営業人件費などのコストを削減しているので、ほかの講座よりも受講料がおさえられるのが魅力です。費用がおさえられるうえに、簿記1級に合格したらお祝い金10,000円がもらえます。
教材はWebテキストを採用。補足説明がついていることから、講義の内容をノートにまとめる必要がありません。また、スタディングが実施する検定対策模試では、実力を確認できるため、本番でも落ち着いて試験をうけられるでしょう。
加えて、苦手な分野を集中的に学ぶさいに、問題横断復習という機能があります。そのため、十分なアウトプットも可能です。
効率の良い学習ができるようなフローシステムを取り入れていることから、学習計画をたてるのが苦手な人でも安心して勉強をすすめられます。
加えて、通信講座にはめずらしい、同じ目標をもつ仲間と話せる「勉強仲間機能」も活用できます。この機能をつかえば、孤独感を解消でき、モチベーションの維持につながります。
資格の大原
ライフスタイルに合わせて学習スタイルを選択したい人は、資格の大原がおすすめです。選択できる学習スタイルは、「教室通学」「映像通学」「Webライブ」などです。
直接講義をうけたい人は、教室通学がおすすめです。決まった時間に教室に通えば、講師の授業がリアルタイムでうけられます。講義に集中したい人は映像通学がよいでしょう。
これは、収録された講義の映像を、大原のブースで視聴する学習スタイルです。個別の学習スペースで視聴できるのでほかの人が気になりません。
Webライブでは、自宅に居ながら授業をうけられます。落ち着ける環境で学習したい人はこの学習スタイルを検討するとよいでしょう。ほかにもDVD通信コースや資料通信というコースもあります。
また、教材がわかりやすいのも大原の魅力のひとつ。図解やイラストが全体を通して多くつかわれていて、計算方法や処置方法についても具体的な解きかたがのっています。
加えて、わからない問題は解説動画を聞くことが可能です。テキストだけでは理解がおいつかない部分も、動画を活用することで、効果的な学習が可能になります。
まとめ
今回は、簿記1級は独学で取得できるのかについて解説しました。簿記1級の難易度は大変高く、独学で取得するには難しい資格であることがわかります。
独学では、孤独感や不安感により、モチベーションが下がってしまうことも多く、合格まで勉強し続けるには強い精神力を必要とするでしょう。
独学だけでは難しいと感じる場合には、ほかの勉強方法を検討するのもおすすめです。資格講座では、疑問点についてもしっかりとサポートしてくれるので、独学に比べて安心感があるでしょう。
簿記1級の取得を目指す方や勉強に行き詰まっている方は、ぜひこの記事を参考にして合格までの計画を考えてみてください。